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第20回(最終回):適切性(デコーラム)と統合 満点の語りへ。【面接で満点合格を目指すためのレトリック理論講座】(20回連載シリーズ)
【面接で満点合格を目指すためのレトリック理論講座】(20回連載シリーズ) 第20回(最終回):適切性(デコーラム)と統合 満点の語りへ ★適切性(デコーラム)とは 適切性は、その場に合っているかどうかを見る働きです。 古典のレトリックでは、デコーラムと呼ばれてきました。 これまで十九回で、原理と技法を扱いました。 説得の三様式(エトス、パトス、ロゴス)、 五つの工程(発想、構成、修辞、記憶、演出)、 語りの型、 言葉の選び方、 覚え方、 届け方。 適切性は、その並びの中の一つではありません。 全体を見渡して、いまここで何を使うかを決める働きです。 古典でも、五つの工程のどれにも属さないものとして扱われてきました。 発想にも構成にも修辞にも効きますし、記憶と演出にも効きます。 工程の上から、全部を見ています。 一つ、はっきりさせておきます。 適切性は、無難にすることではありません。 その場に何が要るかで、合っているかどうかが決まります。 要るものを出すのが適切で、要らないものを出さないのが適切です。 全部を控えめにするのは、合っているとは言えません
河野正夫
1 日前読了時間: 8分


第19回:追質問のレトリック その場で組み立てる技術。【面接で満点合格を目指すためのレトリック理論講座】(20回連載シリーズ)
【面接で満点合格を目指すためのレトリック理論講座】(20回連載シリーズ) 第19回:追質問のレトリック その場で組み立てる技術 ★追質問は、どこから来るか 想定質問は、ある程度そろえられます。 志望動機、自己アピール、学級経営、授業、保護者への対応。 この範囲なら問題集にも並んでいますし、前の年に受けた方から聞くこともできます。 ところが、面接室で実際に受け取る質問のうち、かなりの数はそこに並んでいないものになります。 追質問です。 追質問には、出どころがあります。 こちらの答えです。 面接官は採用人事の専門家ではありません。 多くは夏の数日間の充て職ですので、一つ一つの質問に緻密な意図を込めてはいません。 手元の紙に書かれた質問を読み、答えを聞いて、気になったところをその場で聞きます。 ですから追質問は、面接官が前の晩に考えてきたものではありません。 こちらが数秒前に話した言葉から作られます。 そして、面接の後半になるほど増えます。 前半は紙に書かれた質問が中心ですが、こちらの答えがたまってくると、面接官はそこから聞き始めます。...
河野正夫
2 日前読了時間: 9分


第18回:演出。【面接で満点合格を目指すためのレトリック理論講座】(20回連載シリーズ)
【面接で満点合格を目指すためのレトリック理論講座】(20回連載シリーズ) 第18回:演出 ★演出とは、声と体で届ける工程です レトリックの五つの工程、発想・構成・修辞・記憶・演出のうち、演出は五番目です。 最後の工程になります。 発想で角度を決め、構成で順番を決め、修辞で言葉を決め、記憶で頭に入れました。 ここまでは、机の上でできる作業です。 演出は、それを声と体で届ける工程です。 間、速さ、声の大きさ、目線、表情、姿勢。面接室で面接官が受け取るのは、この形になったものです。 先に、二つのことを述べます。 一つ目。 演出で、中身は作れません。 角度が決まっていない答えを、声の出し方で良くすることはできません。 前の四つの工程でできたものを、そのまま届ける工程です。 二つ目。 それでも、この工程がいちばん重くなる場合があります。 第2回から第5回で扱った説得の三様式を思い出してください。 エトス(語り手への信頼)、 パトス(聞き手の感情が動くこと)、 ロゴス(筋道)の三つです。 説得の強さは、エトスが最も強く、次にパトス、ロゴスが最も弱いという順に
河野正夫
3 日前読了時間: 8分


第17回:記憶。【面接で満点合格を目指すためのレトリック理論講座】(20回連載シリーズ)
【面接で満点合格を目指すためのレトリック理論講座】(20回連載シリーズ) 第17回:記憶 ★記憶には、二つの仕事があります レトリックの五つの工程、発想・構成・修辞・記憶・演出のうち、記憶は四番目です。 発想で角度を決め、構成で順番を決め、修辞で言葉を決めました。できあがった答えを頭に入れる工程が、記憶です。 ただ、記憶の仕事は、それだけではありません。二つあります。 一つ目は、決めた答えを覚える仕事です。 二つ目は、用意していない質問に答えるための材料を蓄える仕事です。 古代の弁論でも、この二つが記憶の工程に入っていました。 原稿を覚えるだけでなく、その場で使える材料を手元に蓄えておく。 両方が記憶の作業でした。 面接でも同じです。想定していた質問が来ることもありますし、こちらの答えから作られた質問が来ることもあります。 後者に答えるのは、蓄えのほうです。 一つ目の仕事だけをやって面接に入ると、用意した質問には答えられて、追質問で止まります。 二つを分けて考える必要があります。 この記事の前半で、決めた答えの覚え方を説明します。 後半で、蓄えの
河野正夫
4 日前読了時間: 9分


第16回:インパクトフレーズ。【面接で満点合格を目指すためのレトリック理論講座】(20回連載シリーズ)
【面接で満点合格を目指すためのレトリック理論講座】(20回連載シリーズ) 第16回:インパクトフレーズ <この回こそ、レトリックの表現方法の極意です!面接で合格したい方は、是非とも、ご一読ください!> ★インパクトフレーズとは インパクトフレーズとは、面接が終わったあとに、面接官が口に出せる一行です。 前回、修辞の工程を扱いました。 レトリックの五つの工程、発想・構成・修辞・記憶・演出のうち、三番目の工程です。 答え全体の言葉を決める工程でした。 インパクトフレーズは、その中で、一行だけを特に磨いたものです。 二十分から三十分の面接で、面接官が受け取る言葉の量は限られます。 手元に残るのは、一語か二語、長くて一行です。 その一行を、自分で決めておく。これがこの回の作業です。 決めておかなければ、残る一行は面接官が選びます。 選ばれるのは、たいてい、こちらが力を入れていない箇所です。 もう一つ、効くところがあります。 残った一行から、追質問が来ます。 自分で決めた一行が残っていれば、話が自分の語れる場所に戻ってきます。 ★気の利いた言い回しは要りま
河野正夫
5 日前読了時間: 10分


第15回:修辞(表現)【面接で満点合格を目指すためのレトリック理論講座】(20回連載シリーズ)
【面接で満点合格を目指すためのレトリック理論講座】(20回連載シリーズ) 第15回:修辞(表現) <この記事は、絶対に読んでください! 面接の語りのクオリティが何倍も良くなります。 この記事で学んだことを実践すれば、面接で高得点が取れます!> ★修辞とは、どの言葉で言うかを決める工程です レトリックの五つの工程、発想・構成・修辞・記憶・演出のうち、修辞は三番目に来ます。 第8回で扱った発想の工程で、自分の経験のどこから見るかを決めました。第10回で扱った構成の工程で、文の順番を決めました。 残っているのは、言葉です。 何を言うかは、もう決まっています。 その中身を、どの言葉で言うか。 これを決めるのが修辞です。 同じ中身でも、言葉が替わると、届き方が替わります。 子ども一人一人に寄り添います。 その日、一度も声をかけていない子がいないかを、帰りの会の前に確かめます。 言っている中身は、近いものです。 ただ、面接官の手元に残るものが違います。 もう一組、見てみます。 保護者との信頼関係を大切にしています。 学級通信に書いたことは、家庭訪問でも子供の
河野正夫
6 日前読了時間: 9分


第14回:ナラティブ 経験を物語として語る。【面接で満点合格を目指すためのレトリック理論講座】(20回連載シリーズ)
【面接で満点合格を目指すためのレトリック理論講座】(20回連載シリーズ) 第14回:ナラティブ 経験を物語として語る ★同じ出来事を、二人が語ったとします 学級経営で工夫していたことは何ですか。 この質問に、二人の受験者が答えたとします。 二人は、同じことをやっていました。 提出物を集めるときに、学級の名簿に自分でチェックを付けていた、という行為です。 一人目の答えです。 「はい。私は、提出物を集めるときに、学級の名簿に自分でチェックを付けていました。係の生徒に数を数えてもらうと、誰が出していないかが分かりません。名簿で見れば、出していない生徒がその場で分かります。締切の日に全員分そろうように、前の日に声をかけるようにしていました。提出物の管理は、学級経営の土台になると考えています。」 二人目の答えです。 「はい。私は、提出物を集めるときに、学級の名簿に自分でチェックを付けていました。出していない生徒に、その日のうちに声をかけられるからです。中学生になると、用事がないのに話しかけられるのを嫌がる生徒がいます。提出物のことなら、こちらから声をかける
河野正夫
10月29日読了時間: 6分


第13回:STAR法。【面接で満点合格を目指すためのレトリック理論講座】(20回連載シリーズ)
【面接で満点合格を目指すためのレトリック理論講座】(20回連載シリーズ) 第13回:STAR法 ★STAR法とは STAR法は、経験を語るときの順番を決める型です。 四つの頭文字を並べた名前になっています。 S Situation 状況 T Task 課題 A Action 行動 R Result 結果 いつ、どこで、何があったか。これが状況です。 そこで何が問題だと考えたか。これが課題です。 自分が何をしたか。これが行動です。 どうなったか。これが結果です。 この四つを、この順に並べます。 もともとは、民間企業の採用面接で使われてきた型です。 応募者が過去に実際にどう動いたかを聞き取るために広まりました。 レトリックの五つの工程、発想・構成・修辞・記憶・演出のうち、STAR法は構成の工程で使う型です。 前回のPREP法と同じ場所にあります。 ★どのような質問で使うか STAR法は、経験を聞かれたときに使います。 実際の質問で挙げると、こうなります。 これまでに印象に残っている子どもとのエピソードを教えてください。 これまでに苦労した経験を話して
河野正夫
10月28日読了時間: 9分


第12回:PREP法。【面接で満点合格を目指すためのレトリック理論講座】(20回連載シリーズ)
【面接で満点合格を目指すためのレトリック理論講座】(20回連載シリーズ) 第12回:PREP法 ★PREP法とは PREP法は、話す順番を決める型です。四つの頭文字を並べた名前になっています。 P Point 結論 R Reason 理由 E Example 具体例 P Point 結論 結論から入り、理由を述べ、具体例を挙げ、もう一度結論に戻る。この順で話します。 もともとは、面接のための型ではありません。 仕事の報告や、会議での発言、短い文章など、短い時間で相手に伝える場面で広く使われています。 前回までに、レトリックの五つの工程のうち、構成の工程を扱いました。 発想・構成・修辞・記憶・演出の五つのうちの二番目です。 PREP法は、その構成の工程で使う型の一つです。 第10回で、面接の答えは最初の一文に結論を置くと述べました。 PREP法は、その置き方を四つの部分に広げた型になっています。 面接の一つの答えは30秒から40秒ですので、四つの部分がちょうど収まります。 ★一つの質問で、通してみます 実際に作ってみます。 授業で、子どもの考えを引
河野正夫
10月27日読了時間: 9分


第11回:ナンバリングとラベリング。【面接で満点合格を目指すためのレトリック理論講座】(20回連載シリーズ)
【面接で満点合格を目指すためのレトリック理論講座】(20回連載シリーズ) 第11回:ナンバリングとラベリング ★二つの技法の名前 今回は、ナンバリングとラベリングという二つの技法を扱います。 どちらも、話を聞きやすくするための技法です。 話の中身を変えずに、受け取りやすさだけを上げます。 覚えることは少なく、使い始めたその日から効きます。 順番に説明します。 ★ナンバリングとは ナンバリングとは、これから語る項目の数を、話の最初に示す技法です。 言い方は、こうなります。 私が考える理由は、三つあります。 取り組みたいことは、二点あります。 順番に、二つ申し上げます。 大きく二点に分けて、お答えします。 この一言を先に置くだけです。 置く場所は、冒頭の返事のすぐあとです。 はい、と答えてから、数を示します。 効果は、聞き手の側に出ます。 面接官は、三つあります、と聞いた時点で、今からいくつ話を聞けばよいのかがわかります。 終わりが見えている話は、楽に聞けます。 一つ目が終わったとき、まだ二つ来ると知っているので、安心して待てます。...
河野正夫
10月26日読了時間: 9分


第10回:構成。【面接で満点合格を目指すためのレトリック理論講座】(20回連載シリーズ)
【面接で満点合格を目指すためのレトリック理論講座】(20回連載シリーズ) 第10回:構成 ★同じ四つの文を、順番だけ変えてみます 学級担任として、学級づくりで大切にしたいことは何ですか。 この問いに対する答えを、四つの文で作りました。 まず、こう並べます。 「私が大切にしたいのは、黙っていられる場所を学級の中に作ることです。教育実習のとき、休み時間になると図書室へ行く生徒がいました。あとで聞いてみたら、教室は、ずっと誰かと話していないといけない感じがすると言いました。ですから、朝の会では、順番に話す形だけにせず、書いて出す形も選べるようにしています。」 次に、同じ四つの文を、順番だけ入れ替えます。 「教育実習のとき、休み時間になると図書室へ行く生徒がいました。あとで聞いてみたら、教室は、ずっと誰かと話していないといけない感じがすると言いました。私が大切にしたいのは、黙っていられる場所を学級の中に作ることです。ですから、朝の会では、順番に話す形だけにせず、書いて出す形も選べるようにしています。」 語句は一字も変えていません。文を足してもいません。順
河野正夫
10月25日読了時間: 10分


第9回:フレーミング 問いの枠を読み、枠を置き直す。【面接で満点合格を目指すためのレトリック理論講座】(20回連載シリーズ)
【面接で満点合格を目指すためのレトリック理論講座】(20回連載シリーズ) 第9回:フレーミング 問いの枠を読み、枠を置き直す ★問いには、言葉のほかに枠が付いてきます 面接室で、こう聞かれたとします。 厳しい先生と優しい先生、子どもにとっては、どちらが良い先生だと思いますか。 多くの場合、答えはこう始まります。 どちらも大切だと思います。ただ、私はまず子どもとの信頼関係を作りたいので、優しさのほうを大事にしたいと考えています。 この答えには、おかしなところが一つもありません。筋は通っています。 ただ、この受験者は、自分が思っていないことを述べ始めています。 教室の中で、厳しさと優しさは反対の方向にありません。 宿題を三日続けて出していない子に、放課後に声をかける。 この行為は、厳しさのようにも見えますし、優しさのようにも見えます。 実際にやっているのは、その子を放っておかない、という一つのことです。 厳しさと優しさを反対の方向に置いたのは、受験者ではありません。問いです。 問いには、言葉のほかに、枠が付いてきます。 枠とは、その問いが前提にしてい
河野正夫
10月24日読了時間: 14分


第8回:発想(インベンション)。【面接で満点合格を目指すためのレトリック理論講座】(20回連載シリーズ)
【面接で満点合格を目指すためのレトリック理論講座】(20回連載シリーズ) 第8回:発想(インベンション) ★はじめに 教員採用試験の面接において、もっとも恐ろしいこと。 それは、緊張して言葉に詰まることでも、難しい質問に答えられないことでもありません。 もっとも恐ろしいこと、それは「その他大勢の一人」として埋没してしまうことです。 面接官は、一日に何十人もの受験者と対峙します。 その中で、「真面目で、普通で、無難な答え」をする受験者は、残念ながら記憶の彼方へと消え去ります。 面接官が求めているのは、単なる情報の羅列ではありません。 「この人は、物事をどう見ているのか?」という、あなた独自の「眼差し」です。 古代ギリシャ・ローマから続く説得の技術「レトリック」において、スピーチを構成する5つのプロセス(Five Canons of Rhetoric)の中で、最初に位置し、かつ最も重要とされるのが「発想(Invention)」です。 これは、単に「何を話すか」を決めるだけの作業ではありません。 「世界をどのような切り口で切り取るか」という、知的な戦略
河野正夫
10月23日読了時間: 13分


第7回:レトリックにおける5つのキャノン。【面接で満点合格を目指すためのレトリック理論講座】(20回連載シリーズ)
【面接で満点合格を目指すためのレトリック理論講座】(20回連載シリーズ) 第7回:レトリックにおける5つのキャノン <今回の内容がわかっていないから、面接が苦手になるのです。 今回のレトリック理論が理解できていないから、面接で不合格になるのです。 面接で合格したいのであれば、今回の第7回は、絶対に読んでください!> ★手が止まる場所 面接の準備を始めた日のことを、思い出してみてください。 机に向かって、紙かパソコンを開く。まずは志望動機から書こうと考える。 「私は、子ども一人ひとりと向き合える教師になりたいと考えています」 一行書きました。その次が、出てきません。 しばらく考えて、二行目を足します。読み返すと、どこかで読んだような文が並んでいます。自分の言葉という感じがしません。 それでも書き進めようとして、十分ほど経ちます。手は、ほとんど動いていません。 この経験は、ほぼすべての受験者が通ります。そして、多くの方がこう考えます。 自分には、語ることがないのかもしれない。 文章が苦手なのかもしれない。 どちらも違います。 手が止まった原因は、能力
河野正夫
10月20日読了時間: 10分


第6回:モーダルチョイス 語りの様式を選ぶ。【面接で満点合格を目指すためのレトリック理論講座】(20回連載シリーズ)
【面接で満点合格を目指すためのレトリック理論講座】(20回連載シリーズ) 第6回:モーダルチョイス 語りの様式を選ぶ ★第一部の最後に、関門を置きます 次回から、語りを作る工程に入ります。 その前に、決めておかなければならないことがあります。 どの様式で語るのか、という選択です。 ここを決めないまま制作に入ると、あとで全部を作り直すことになります。 ★モーダルチョイスという言葉 この言葉は、辞書に載っていません。 レトリカの講座とブログのために造った言葉です。 モーダルチョイスとは、モードを選択することです。 モードとは、形式、様式、スタイルのことです。 人は、相手と場面によって、語りの様式を変えています。 無意識に変えています。 職場での話し方。 友人との話し方。 初めて会う人との話し方。 どれも、同じ人の言葉です。 しかし、様式が違います。 面接では、この選択を意識的に行う必要があります。 ★同じ人が、二通りに語ります 具体例から入ります。 友人に、なぜ中学校の教師を目指すのかを聞かれた場面です。 「だって、中学生って生意気でやんちゃだけど、
河野正夫
10月19日読了時間: 7分


第5回:ロゴス 筋道をどう通すか。【面接で満点合格を目指すためのレトリック理論講座】(20回連載シリーズ)
【面接で満点合格を目指すためのレトリック理論講座】(20回連載シリーズ) 第5回:ロゴス 筋道をどう通すか ★最も弱い経路に、なぜ一回を使うのか 第2回で、ロゴスを最も弱い経路としました。 エトスが最も強く、パトスが次に強く、ロゴスが最も弱い。 この順序は、変わりません。 それでも、一回分を使う理由があります。 弱いけれども、崩れると他の二つが死ぬからです。 筋道が通っていなければ、信頼は続きません。 話が散らかっていれば、感情も動きません。 ですから、今回の方向は、ロゴスを厚くすることではありません。 最小限の労力で、確実に満たす方法を扱います。 ★ロゴスは、正しさではありません ここが、出発点です。 多くの受験者は、ロゴスを正しさだと考えています。 正確な知識。 法令との整合。 施策との一致。 これらは、内容の属性です。 面接のロゴスは、別のものを指します。 聞き手が、最後まで追いかけられるかどうか。 正しさは、内容の中にあります。 筋道は、聞き手との関係の中にあります。 ここを混同すると、正しさの量を増やす方向へ進みます。 そして、増やすほ
河野正夫
10月18日読了時間: 8分


第4回:パトス 面接官の感情をどう動かすか。【面接で満点合格を目指すためのレトリック理論講座】(20回連載シリーズ)
【面接で満点合格を目指すためのレトリック理論講座】(20回連載シリーズ) 第4回:パトス 面接官の感情をどう動かすか ★二番目に強い経路を扱います 前回は、エトスを扱いました。 最も強い経路であり、自分で名乗れないという制約を持つものでした。 今回は、二番目に強いパトスです。 そして、パトスもエトスと同じ形の制約を持っています。 働く場所が、自分の側にありません。 ここから入ります。 ★パトスは、自分が感情的になることではありません パトスと聞いて、多くの方がこう考えます。 熱意を込めて語ればよい。 声に力を入れればよい。 想いを前面に出せばよい。 これは、誤解です。 語り手が熱を上げると、聞き手は引きます。 押されたと感じるからです。 パトスとは、聞き手の中に特定の感情が生じる条件を整えることです。 自分が感じることと、相手の心が動くことは、別の出来事です。 むしろ、この二つは逆方向に働く場合があります。 語り手が涙を見せると、聞き手は冷めます。 語り手が淡々と語ると、聞き手の中で何かが動きます。 ★感情には、生じる条件があります アリストテレ
河野正夫
10月17日読了時間: 7分


第3回:エトス 語り手への信頼をどう築くか。【面接で満点合格を目指すためのレトリック理論講座】(20回連載シリーズ)
【面接で満点合格を目指すためのレトリック理論講座】(20回連載シリーズ) 第3回:エトス 語り手への信頼をどう築くか ★最も強い経路を、どう築くか 前回、三つの経路(エトス・パトス・ロゴス)に強さの順序があることを示しました。 エトスが最も強く、パトスが次に強く、ロゴスが最も弱い。 今回は、その最も強いエトスの築き方を扱います。 そして最初に、エトスだけが持つ厄介な制約を押さえておきます。 ここを知らないまま準備を進めると、努力がそのまま逆効果になります。 ★エトスは、自分で名乗れません これが、出発点です。 「私は誠実です」 「私は責任感があります」 「私は信頼される教師になります」 これらを述べた瞬間に、エトスは下がります。 理由があります。 エトスは、聞き手が自分で判断するものです。 自己申告できる種類のものではありません。 名乗ると、かえって疑われます。 誠実だと言う人は、誠実さを証明できていないから言葉で補っている。 聞き手は、無意識にそう受け取ります。 ですから、エトスの技術は、すべて「名乗らずに示す」方法になります。 示す材料を置く
河野正夫
10月16日読了時間: 8分


第2回:説得の三様式 エトス・パトス・ロゴス 【面接で満点合格を目指すためのレトリック理論講座】(20回連載シリーズ)
【面接で満点合格を目指すためのレトリック理論講座】(20回連載シリーズ) 第2回:説得の三様式 エトス・パトス・ロゴス ★結果と経路を分けます 前の連載で、好感・共感・好印象という三つの感情を繰り返し扱いました。 これは、聞き手の側に起きる結果です。 面接官の中で、何が起きればよいのかを示したものです。 今回から扱うのは、その結果を起こす経路です。 エトス パトス ロゴス 到達点の名前は、すでに知りました。 次は、そこへ至る道を知る段階に入ります。 ★二千年前に、三つに整理されました アリストテレスは『弁論術』の中で、人を納得させる手段を三つに整理しました。 エトス、パトス、ロゴスです。 以来、二千年以上にわたって、この分類が使われ続けています。 これほど長く生き残った分類は、そう多くありません。 現代のコミュニケーション理論でも、この三つが土台として扱われています。 ★なぜ、三つなのでしょうか 分類が生き残った理由があります。 語りという営みには、三つの要素があります。 語り手。 聞き手。 語られる内容。 この三つです。 そして、説得の経路も、
河野正夫
10月13日読了時間: 8分


第1回:レトリックとは? レトリックの本質。【面接で満点合格を目指すためのレトリック理論講座】(20回連載シリーズ)
【面接で満点合格を目指すためのレトリック理論講座】(20回連載シリーズ) 第1回:レトリックとは? レトリックの本質 <このレトリック理論講座をマスターすれば、必ず、教採の面接で合格を勝ち取ることができます!> ★この連載が立つ場所 前の連載で、一つの結論に到達しました。 面接とは、人が人を主観で評価する場である。 そして、その主観に働きかける技術が存在する。 その技術には、名前があります。 レトリックです。 今回は、その正体を扱います。 名前を知るだけでは、使えません。 何であるのかが分かって、はじめて動き出すことができます。 ★レトリックという言葉の響きを、いったん外します 日本語でレトリックという語は、否定的に使われることがあります。 口先だけの話。 言葉の綾。 中身のない飾り。 相手を言いくるめる詭弁。 新聞やテレビでも、こうした含みで使われる場面があります。 ですから、この連載の題名を見て、少し身構えた方もいらっしゃるかもしれません。 本心を語るべき場で、技術を使ってよいのだろうか、と。 ここを先に片づけておきます。...
河野正夫
10月12日読了時間: 8分
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