第7回:採点者に響く「養護教諭らしい」論作文の書き方。 型(フレームワーク)を覚えれば怖くない。 序論・本論・結論の黄金比。【養護教諭採用試験 合格への完全ロードマップ(全20回
- 河野正夫
- 2 日前
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第7回:採点者に響く「養護教諭らしい」論作文の書き方
型(フレームワーク)を覚えれば怖くない。
序論・本論・結論の黄金比。
【養護教諭採用試験 合格への完全ロードマップ(全20回)】
養護教諭の採用試験において、もっとも多くの受験生が苦手意識を持ち、かつ合否に直結するのが「論作文」です。
筆記試験で高得点を取ったとしても、論作文で「養護教諭としての資質」や「教育者としての適性」を疑われてしまえば、合格の道は遠のきます。
準備不足の受験生が陥りやすい最大のミスは、自分の想いや熱意を「書きたい順番」に書き連ねてしまうことです。
しかし、採点者が求めているのは、個人の感想文ではなく、与えられた課題に対して「論理的」かつ「実効性」のある解決策を、教育公務員としての立場で提示できる能力です。
第7回では、短時間で論理的な文章を構築するためのフレームワークと、採点者の心に響く「養護教諭ならではの視点」の盛り込み方について、詳細に解説します。

1. 採点者は「文章の美しさ」ではなく「思考のプロセス」を見ている
論作文の対策を始める前に、まず採点者がどのような視点であなたの文章を評価しているかを知る必要があります。
優れた論作文とは、単に誤字脱字がない文章ではなく、以下の3つの要素がバランスよく含まれているものです。
① 課題に対する「的確な把握」
出題意図を正しく理解しているか。例えば「不登校への対応」という課題に対し、単に「優しく接する」と書くのではなく、現在の学校現場における不登校の現状や、背景にある複雑な要因を整理できているかが問われます。
② 養護教諭としての「専門性と独自性」
一般教諭の論作文との決定的な違いは、ここにあります。
保健室という場所の特性(非審判的空間、個別対応の容易さ、健康情報の集積地)を活かした、養護教諭だからこそできるアプローチが記述されている必要があります。
③ 組織の一員としての「協働意識」
養護教諭一人が抱え込むのではなく、担任、管理職、学年団、さらにはスクールカウンセラー(SC)や外部機関といかに連携し、組織的に解決を図ろうとしているか。
この「チーム学校」の視点がない文章は、現代の教員採用試験では高く評価されません。
2. 「序論・本論・結論」の黄金比と構成案の作成術
論作文を書き始める前に、必ず「構成案」を作成してください。
構成案なしに書き始めると、途中で主張が矛盾したり、最後で文字数が足りなくなったりといった致命的な失敗を招きます。
理想的な構成は、以下の4段構成です。
【第1段:序論】
課題の現状分析と自らの主張(全体の10〜15%)
まずは、課題の今日的意義を述べます。
書き出しの例:
「現在、学校現場においては〇〇(不登校、アレルギー等)の課題が深刻化しており、児童生徒が安心して学校生活を送るための環境づくりが急務となっている。」
主張の提示:
「私は、養護教諭として、〇〇(専門的知見に基づくアセスメント等)を重視し、組織的な支援を推進することで、この課題の解決に努めたいと考える。」
【第2段:本論①】
具体的な取り組み:個別支援の視点(全体の35〜40%)
ここでは、養護教諭としての専門性を発揮した具体的な動きを書きます。
アプローチの例:
保健室での丁寧な聴き取り、健康観察データの分析、児童生徒の心身の微細な変化への気づき。
ポイント:
「笑顔で接する」などの抽象的な表現ではなく、「バイタルサインの確認とともに、非言語的なメッセージにも留意し……」といった専門性を感じさせる表現を選びます。
【第3段:本論②】
具体的な取り組み:集団・組織の視点(全体の35〜40%)
ここでは、個別の支援をどう学校全体の動きに繋げるかを書きます。
アプローチの例:
職員会議での情報共有、学校保健委員会の活用、担任への具体的な助言、外部機関(医療機関、児童相談所等)との橋渡し。
ポイント:
「連携する」だけで終わらせず、「どのような情報を共有し、どのような共通理解を図るか」まで踏み込んで記述します。
【第4段:結論】決意の表明(全体の10%)
全体の主張を再確認し、採用後の意欲を述べて締めくくります。
結びの例:
「以上の取り組みを通して、児童生徒一人ひとりが心身ともに健康で、自己を発揮できる学校環境を構築していく。私は、専門性と人間性の双方を磨き続け、常に児童生徒の傍らに寄り添う養護教諭でありたいと考える。」
3. 採点者に響く「養護教諭らしい」表現とキーワード
同じ内容でも、言葉選び一つで「養護教諭らしさ」の伝わり方は劇的に変わります。
論作文の中で積極的に活用したいキーワードを整理します。
① 保健管理と保健教育の連動
養護教諭の二大職務を意識した記述です。
活用例:
「個別の健康相談(保健管理)で得た気づきを、学級全体への保健指導(保健教育)に還元し、未然防止に繋げる。」
② アセスメントとスクリーニング
「見守る」という言葉を専門的に置き換えます。
活用例:
「健康診断の結果や日常の来室状況を多角的に分析し、潜在的な課題を抱える児童生徒を早期にスクリーニングする。」
③ コーディネーター機能
「つなぎ役」としての役割を強調します。
活用例:
「校内の専門スタッフや地域の関係機関を繋ぐコーディネーターとして、多職種連携による重層的な支援体制を構築する。」
④ 自己調整能力(セルフケア)の育成
子供たちが自ら健康を守れるようになることを目標に据えます。
活用例:
「単に症状を処置するだけでなく、子供自身が自分の心身の状態に気づき、適切に対処できる『自己調整能力』を育む支援を行う。」
4. 論作文で絶対にやってはいけない「NG行為」
準備不足の焦りから、ついやってしまいがちな失敗をリストアップします。
これらを避けるだけで、減点を大幅に防ぐことができます。
「です・ます」調と「だ・である」調の混在:
どちらかに統一します(通常は「だ・である」調が推奨されます)。
主観に偏った感情論:
「かわいそうだと思った」「愛情を注ぎたい」といった表現は、教育公務員としての客観性を欠くと見なされることがあります。
「教育的配慮に基づき」「受容的な態度で」といった表現に変換してください。
特定の個人や団体への批判:
「保護者の意識が低いから」「担任の理解が足りないから」といった他罰的な記述は厳禁です。
どのような状況であっても「養護教諭としてどう働きかけるか」に焦点を当てます。
文字数不足:
多くの自治体で「8~9割以上」が最低ラインです。
800字指定であれば、少なくとも700字以上は埋めなければ、内容以前に採点対象外や大幅減点となる恐れがあります。
5. 準備不足を挽回するための「書き込み式」練習法
今から数多くの論文を完成させる時間がない受験生のために、効率的なトレーニング法を提案します。
① 「構成案」作成特訓
過去問を5題ほど用意し、本文は書かずに「構成案(4段構成の骨組みとキーワード)」だけを10分で作る練習を繰り返します。
これで「書くことがなくて止まる」という事態を回避できます。
② 「導入」と「結び」のテンプレート化
どのような課題が来ても使える「序論」と「結論」の自分なりの型を作っておきます。
冒頭の2〜3行がスムーズに書き出せれば、精神的な余裕が生まれます。
③ 模範解答の「写経」
質の高い模範解答(優れた指導者の模範小論文など)を一度、手書きで丸写ししてみてください。
合格レベルの文章の「呼吸(一文の長さ、接続詞の使い方、段落の切り替わり)」が身体に染み込みます。
6. 結びに:あなたの「誠実さ」は行間に宿る
論作文は、採点者との対話です。
あなたがこれまでの講師経験や大学での学びの中で、子供たちとどう向き合おうとしてきたか。
その誠実な姿勢は、たとえ文章が少々無骨であっても、論理の組み立てや言葉の端々に必ず現れます。
準備不足だと卑下する必要はありません。
まずは、自分が「どんな養護教諭になりたいか」という根源的な問いを、教育法規や最新の教育課題というフィルターを通して言語化する作業から始めてください。
その一歩が、採点者の心を動かす、あなただけの「黄金の論文」へと繋がっていきます。
第7回のまとめワーク:
1. 「養護教諭として、不登校傾向にある児童生徒にどのような支援を行うか」というテーマに対し、本論①(個別支援)と本論②(組織連携)のキーワードを3つずつ書き出してください。
2. 自分が使いやすい「序論」のテンプレート(3行程度)を1つ作成してください。
3. 過去問のタイトルだけを見て、5分間で全体の構成案(起承転結)を作るトレーニングを1回実施してください。
次回のテーマは:
第8回:事例検討問題を解く鍵は「連携」にあり アレルギー、不登校、虐待…。複雑な事例を「組織」で解決するための記述法。
単なる知識の有無ではなく、刻々と変化する現場で、養護教諭がどう周囲を巻き込み、子供を守り抜くか。実戦形式の事例問題への解答テクニックを徹底解説します。
河野正夫


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