top of page
検索

第5回: 一般教養・教職教養の最短突破ルート深追いは禁物。 養護教諭志望者が落としてはいけない「教育原理」と「法規」 【養護教諭採用試験 合格への完全ロードマップ(全20回)】

  • 執筆者の写真: 河野正夫
    河野正夫
  • 5 日前
  • 読了時間: 8分

第5回:一般教養・教職教養の最短突破ルート


深追いは禁物。養護教諭志望者が落としてはいけない「教育原理」と「法規」


【養護教諭採用試験 合格への完全ロードマップ(全20回)】



養護教諭の採用試験対策において、もっとも時間配分の判断が難しいのが「一般教養・教職教養」です。


専門教養の範囲が膨大である養護教諭志望者にとって、全教科にわたる一般教養や、抽象度の高い教育理論をすべて網羅しようとすることは、戦略的に見て得策ではありません。


しかし、教養試験を疎かにして良いわけでもありません。


教養試験には、多くの自治体で共通して出題される「定番の領域」が存在し、そこを確実に押さえることで、効率的に合格ラインを確保することが可能です。


今回の第5回では、準備不足の受験生が最短距離で教養試験を攻略するための、具体的な「捨てどころ」と「押さえどころ」を解説します。





1. 教養試験における「養護教諭志望者」の戦い方



一般教諭の志望者と異なり、養護教諭の採用枠は非常に少なく、1点の重みが極めて大きいのが特徴です。


そのため、教養試験で「平均点を大きく下回る」ことは致命傷になりかねません。


教養試験対策の基本方針は、「満点を狙わず、7〜8割を確実に確保する」ことです。


そのためには、広範な範囲の中から、養護教諭の専門性とも親和性が高く、かつ出題頻度の高い「教育原理」と「教育法規」に学習リソースを集中させる必要があります。



① 深追いの罠を回避する



一般教養(国語、数学、理科、社会、英語)については、自分の得意・不得意を冷静に分析してください。


特に数学や理科の計算問題など、解くのに時間がかかる分野は、準備不足の段階では深追いすべきではありません。


それよりも、暗記で対応可能な社会(政治・経済)や、専門教養の知識が流用できる生物・化学の基礎に絞る方が、得点効率は高まります。



② 専門教養との「相乗効果」を狙う



教職教養の中には、専門教養(精神保健や学校保健)と重なる分野が多くあります。


例えば、心理学の発達理論や、児童福祉等に関する法律などが代表的です。


これらの「重複エリア」を優先的に固めることで、一石二鳥の学習が可能になります。



2. 教育原理:思想の流れと現代的課題の接点を掴む



教育原理は、教育の歴史的な思想から最新の教育理論までを扱う分野です。


準備不足の人がまず優先すべきは、「教育の目的」と「現代の教育課題」の二点です。



① 教育思想の「キーワード」



コメニウス、ルソー、ペスタロッチ、フレーベル、デューイといった主要な教育思想家と、彼らの著作、キーワードをセットで整理します。



ルソー: 『エミール』、「消極的教育」、「自然に帰れ」。



ペスタロッチ: 『隠者の夕暮』、「直観教授」、「生活が陶冶する」。



デューイ: 『学校と社会』、「なすことによって学ぶ(Learning by doing)」。



これらは一見、養護教諭の仕事と無関係に思えるかもしれませんが、教育の本質を問う問題として、どの自治体でも非常に高い頻度で出題されます。



② 発達理論と学習理論



心理学的な側面を持つこの分野は、専門教養の精神保健とも密接に関わります。



ピアジェ: 同化と調節、自己中心性、発達段階(感覚運動期、前操作期、具体的操作期、形式的操作期)。



エリクソン: 心理社会的発達段階、アイデンティティ(自己同一性)、心理的猶予期間(モラトリアム)。



ヴィゴツキー: 発達の最近接領域。 これらは、保健室に来る子供たちの発達段階を理解する上での「教育的背景」として、筆記試験のみならず面接でも活用できる知識です。



③ 現代的課題:学習指導要領の理念



現在、学校現場がどのような方向を目指しているのかを知ることは、教職教養の核心です。



生きる力: 「確かな学力」「豊かな心」「健やかな体」の調和。



社会に開かれた教育課程: 学校と地域が連携・協働して教育活動を行うこと。



主体的・対話的で深い学び: アクティブ・ラーニングの視点からの授業改善。



特に「健やかな体」の部分は、養護教諭が主導すべき領域であるため、学習指導要領の総則部分は必ず読み込んでおきましょう。



3. 教育法規:養護教諭を守る「盾」としての法律知識



法規は、専門教養で学ぶ「学校保健安全法」をさらに広げ、教育制度全体を支える法律を扱います。


条文のキーワードが空欄補充で問われることが多いため、代表的な条文の「語感」に慣れておく必要があります。



① 教育の憲法「教育基本法」



すべての教育活動の根源です。


第1条から第17条までの項目は、何について書かれているかだけでも把握しておく必要があります。



<一例>



第1条(教育の目的): 「人格の完成」を目指し、「平和で民主的な国家及び社会の形成者」を育成すること。



第4条(教育の機会均等): 経済的困難や障害のある者への支援(合理的配慮の根底)。



第9条(教員): 「自己の崇高な使命を深く自覚し、絶えず研究と修養に励む」こと。



② 学校運営の基本「学校教育法」



学校の定義や教職員の役割を定めた法律です。



第1条: 法律上の「学校」の定義(一条校:幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、大学、高等専門学校)。



第37条: 校長、教頭、教諭、養護教諭等の職務規定。養護教諭は「児童の養護をつかさどる」と定められている点は、専門教養でも必須の知識です。



③ 教員の身分と倫理「地方公務員法」



採用後は地方公務員となるため、その身分や義務に関する規定が出題されます。



守秘義務(第34条): 職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。退職後も同様。



服務の宣誓、信用失墜行為の禁止、政治的行為の制限。 特に守秘義務については、保健室でのデリケートな情報を扱う養護教諭にとって、単なる試験知識以上の重要性を持ちます。



4. 教育時事:最新の答申と通知を「省エネ」で掴む



時事問題は範囲が広すぎるため、文部科学省の大きな動きに絞って学習します。



① 中央教育審議会(中教審)の答申



最新の教育改革の方向性が示されます。「令和の日本型学校教育」といったキーワードや、教員の働き方改革、不登校支援の強化などが重点項目です。



② いじめ防止対策推進法と関連通知



いじめ問題は、養護教諭が早期発見の窓口となることが多いため、教養試験でも高い頻度で問われます。



いじめの定義: 心理的・物理的な影響を与える行為。インターネットを通じたものを含む。



組織的対応: いじめ防止基本方針の策定、いじめ対策組織(いじめ防止等対策委員会)の設置。



③ 生徒指導提要(改訂版)の重要項目



第3回でも解説しましたが、教職教養としての「生徒指導」の観点からも、改訂版の内容は重要です。


特に「チーム学校」における多職種連携(SC、SSW等との協働)については、教養試験の記述問題や面接でも頻出です。



5. 準備不足を挽回する「最短突破」の学習ルーティン



教養試験対策にかけられる時間は限られています。以下の手順で効率化を図ってください。



① 「5年分の過去問」をパラパラと眺める



解くのではなく、まず眺めます。


すると、どの自治体でも「ルソーの『エミール』」や「教育基本法の第1条」などが繰り返し出ていることに気づくはずです。


その「毎年出るポイント」だけを先に覚えます。



② 「一問一答」を隙間時間で回転させる



教職教養の多くは知識の保持です。


厚い参考書を読む時間がないなら、コンパクトな一問一答集を使い、通学・通勤の電車内などの隙間時間で、1日100問程度のペースで回します。



③ 「一般教養」は得意科目のメンテナンスに留める



一般教養で苦手な数学の公式を一から覚え直すのは、コストパフォーマンスが悪すぎます。


それよりも、国語の漢字や語句、社会の政治・経済、生物の細胞や遺伝など、暗記で確実に得点できる部分だけを完璧にしてください。



6. 結びに:教養試験は「教育者としてのマナー」



教養試験の勉強をしていると、「こんな古い教育思想を知って何になるのか」と感じることもあるかもしれません。


しかし、教育の歴史や法規を学ぶことは、あなたがこれから入っていく「教育界」という組織の共通言語を学ぶことに他なりません。


専門教養が「個」を支える知識だとすれば、教職教養は「学校という集団」を支え、守るための知識です。


準備不足であっても、主要な法規の精神や、子供の発達を支える思想の根底に触れることで、あなたの言葉には「教育者としての重み」が加わります。


教養試験で足切りに合わず、余裕を持って専門試験や面接に臨むために。


今日から、教育基本法の音読一つ、教育思想家のキーワード一つから始めていきましょう。



第5回のまとめワーク:


1. 教育基本法の第1条~第4条を、キーワードに注意しながら3回書いて(音読して)みてください。


2. 自分が受験する自治体の昨年度の教養試験の問題構成(一般教養と教職教養の比率、あるいは、教職教養の出題分野)を確認してください。


3. ルソー、ペスタロッチ、フレーベルの3人の代表的な著作名を白紙に書き出してみてください。(教育史が出題される場合)



次回予告:



第6回「データで勝つ!統計問題とグラフの読み取り術」


養護教諭の試験で差がつくのは、知識の量だけではありません。


「児童生徒の健康状態調査」などの複雑なグラフや統計から、現在の学校の課題を的確に分析し、回答化(文章化)するテクニックを伝授します。




河野正夫



 
 
 

コメント


bottom of page