第4回:専門試験の「頻出分野」を徹底攻略。 広範な出題範囲から「確実に得点すべき知識」を整理する。【養護教諭採用試験 合格への完全ロードマップ(全20回)】
- 河野正夫
- 5 日前
- 読了時間: 6分
第4回:専門試験の「頻出分野」を徹底攻略
広範な出題範囲から「確実に得点すべき知識」を整理する
【養護教諭採用試験 合格への完全ロードマップ(全20回)】
養護教諭の採用試験における「専門教養(筆記試験)」は、医学、看護学、保健学、教育学、そして法規という非常に多岐にわたる分野から構成されています。
この試験の難しさは、範囲の広さだけでなく、自治体によって出題のウェイトが大きく異なる点にあります。
準備不足の受験生が最短で合格ラインに到達するためには、まず「多くの自治体で共通して問われる標準的な知識」を確実に固め、その上で志望自治体の傾向に合わせた調整を行う必要があります。
第4回では、専門試験を構成する主要な分野について、学習のポイントと、知識の整理の仕方を詳細に解説します。

1. 学校保健・安全関係法規:正確な記憶が求められる得点源
法規は、専門試験の中でもっとも対策が立てやすく、かつ確実に得点すべき分野です。
条文の細かな表現や用語が問われるため、曖昧な記憶を排除することが求められます。
① 学校保健安全法とその施行規則等
これらの法規は養護教諭の職務の根幹です。特に以下の項目は頻出です。
第1条(目的): 法律が何を目指しているのか、キーワード(健康、安全、教育の円滑な実施など)を把握する。
学校保健計画と学校安全計画: 策定主体や、盛り込むべき具体的な内容。
学校感染症の分類: 第1種から第3種までの分類。具体的な疾患名がどの種別に該当するか、また出席停止の指示権者(校長)などの法的枠組み。
学校環境衛生基準: 教室の空気、照明、水質、騒音などの検査項目と、検査の実施頻度。
② 教育法規・児童福祉に関わる法律
学校教育法: 養護教諭の設置根拠(第37条等)や、学校の設置基準。
児童虐待防止法: 学校および教職員に課せられている「早期発見の努力義務」や「通告義務」の内容。
個人情報保護法: 保健室で扱う情報の機微性を踏まえた、適切な取り扱いと守秘義務の範囲。
2. 解剖生理・臨床医学:医学的知識の基礎を固める
この分野は、人体の構造や機能、疾患に関する客観的な事実が問われます。自治体によっては、図解問題や複雑な生理作用の機序を問う設問も見られます。
① 器官系別の構造と機能
主要な器官系について、その構造(名称)と基本的な働きを整理します。
循環器系:
心臓の構造(4つの部屋と弁の名称)、血液循環の経路(体循環と肺循環)、血管の構造的特徴。
呼吸器系:
気道から肺胞に至るまでの構造、ガス交換の仕組み、呼吸調節(横隔膜の動き等)。
消化器系:
消化管(食道、胃、小腸、大腸)の順序と各部位での役割、肝臓・膵臓などの付属器官の働き。
内分泌系:
主要なホルモン(下垂体、甲状腺、副腎、膵臓、性腺等から分泌されるもの)の名称と、その主な生理作用。
神経系:
中枢神経と末梢神経の区分、自律神経(交感神経・副交感神経)の拮抗的な作用。
② 血液・免疫・代謝
血液の組成:
赤血球、白血球、血小板の役割、血漿成分。血液型や血液凝固の基本的なプロセス。
免疫システム:
自然免疫と獲得免疫の違い、アレルギー反応のタイプ。
代謝:
栄養素の代謝プロセスや、エネルギー代謝(基礎代謝量等)に関する知識。
③ 学校で遭遇しやすい疾患と病態
感染症:
細菌、ウイルス、真菌などの違い。主要な感染症の潜伏期間や主な症状。
慢性疾患:
糖尿病(1型・2型)、てんかん(発作のタイプ)、気管支喘息の病態。
3. 精神保健・心理学:心理的課題への理解を深める
現代の学校現場において重要性が増している分野です。
用語の定義や理論を正確に把握することが求められます。
① 発達障害と精神疾患
発達障害:
自閉スペクトラム症(ASD)、注意欠如・多動症(ADHD)、学習障害(LD)等の定義と、それぞれの代表的な行動特性。
精神的不調:
適応障害、うつ病、摂食障害、自傷行為、チック症などの概要。
② 心理学・カウンセリング理論
発達理論:
ピアジェ(認知発達)、エリクソン(心理社会的発達)、ボウルビィ(愛着理論)などの主要な理論。
カウンセリング技法:
来談者中心療法における基本的態度(共感、受容、自己一致)や、主要な心理療法の名称と創始者。
4. 学校保健実務と健康教育:養護教諭独自の職務知識
養護教諭が行う日常業務や、教育活動としての側面に関する分野です。
① 健康診断と統計
定期健康診断:
実施期限、項目、検査の具体的な方法。
事後措置:
結果の通知、受診勧奨、健康診断票の保存期間(5年間)。
学校保健統計:
現代の子供たちの健康課題(肥満、視力低下、虫歯など)の年次推移や統計的な傾向。
② 保健指導と学習指導要領
学習指導要領:
体育科(保健領域)において、各学年で指導することになっている内容(心身の発達、けがの防止、病気の予防等)。
保健指導の計画:
個別指導と全体指導の進め方、学校保健委員会等の組織的な取り組み。
5. 準備不足を挽回する「戦略的学習法」
限られた時間でこれらの膨大な知識を整理するための具体的なアドバイスです。
① 過去問から「出るレベル」を逆算する
最初から参考書の隅々まで覚えようとするのは非効率です。
まずは過去問を解き、「どの程度の深さの知識」が求められているかを確認します。
例えば、ホルモンの名前だけ覚えればいいのか、その分泌制御の機序まで必要なのか、過去問が教えてくれます。
② 比較表や図を活用して「視覚的」に整理する
似たような名称や、対照的な機能を持つものは混同しがちです。
ウイルス感染症と細菌感染症の一覧。
交感神経と副交感神経の作用対照表。
これらを自分でノートにまとめ直す作業が、記憶の定着を助けます。
③ 最新の資料を「正解」の根拠にする
法改正や統計データは日々更新されます。
特に文部科学省が発行している最新の「学校保健統計調査」や、改訂された「生徒指導提要」などは、最新の情報を反映した資料で確認することが、誤答を防ぐ唯一の方法です。
6. 結びに:専門知識の習得は「自信」の礎
専門試験の勉強は、時に終わりのない暗記作業のように感じられ、不安に襲われることもあるでしょう。
しかし、ここで培った正確な知識は、筆記試験を突破するためだけのものではありません。
その後の面接試験において、「私はこれだけの専門的知見を持っています」という自信の裏付けとなり、あなたの言葉に説得力を与えます。
準備不足だと嘆く必要はありません。
まずは自分の得意な分野、あるいは興味のある分野から手をつけ、一つずつ「確実に知っていること」を増やしていきましょう。
その積み重ねが、合格への確実な道となります。
第4回のまとめワーク:
1. 自分の自治体の過去問5年分を確認し、どの器官系(循環器、神経系など)の出題が多いかメモしてください。
2. 学校保健安全法の条文を一度通読し、重要な内容・用語を抜き出してください。
3. 学習指導要領の「保健」の項目を開き、小学校から高校にかけてどのような流れで健康について学ぶのかを概観してください。
次回予告:
第5回「一般教養・教職教養の最短突破ルート」
専門教養に多くの時間を割かなければならない養護教諭志望者が、どのようにして教養試験を効率よく攻略し、合格ラインを確保するか。
教育原理、教育法規、時事問題の「捨てどころ」と「押さえどころ」を解説します。
河野正夫


コメント