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8.教師であり続ける覚悟を語る。 大学生の教採面接・合格術

  • 執筆者の写真: 河野正夫
    河野正夫
  • 2025年11月22日
  • 読了時間: 10分

大学生の教採面接・合格術


8.教師であり続ける覚悟を語る。



★はじめに



教員採用試験の面接において、多くの受験者は「教師になりたい」という熱意を語ります。


子供たちと関わりたい、教育に貢献したい、自分の専門知識を活かしたい。


こうした思いは確かに重要です。


しかし、採用側が本当に知りたいのは、「教師になりたい」という一時的な熱意ではなく、「教師であり続ける」という長期的な覚悟です。


教員という職業は、一時的な情熱だけでは続けられません。


困難な状況に直面しても、変化する教育環境に対応しながらも、教壇に立ち続ける覚悟があるかどうか。


それが、採用側が最も重視する資質の一つです。





★教師になることと教師であり続けること



「教師になる」ことと「教師であり続ける」ことは、まったく異なります。


教師になることは、一つの通過点に過ぎません。


教員採用試験に合格し、採用され、教壇に立つ。


それは確かに大きな目標達成ですが、教員としてのキャリアはそこから始まります。


教師であり続けるということは、採用後の数十年にわたって、教員としての責任を果たし続けるということです。


初任の頃の新鮮な気持ちが薄れても、日々の業務に追われて疲弊しても、様々な困難に直面しても、教壇に立ち続ける。子供たちのために学び続け、成長し続ける。


それが、教師であり続けるということです。


多くの受験者は、教師になることばかりに意識が向いています。


採用試験に合格することが最終目標のようになっています。


しかし、採用側から見れば、採用はスタートラインです。


その後、何十年も教員として働き続けてくれる人材を求めています。


一時的な熱意ではなく、長期的な覚悟を持った人材を採用したいと考えています。



★なぜ教師を辞める人がいるのか



教員の離職率は、他の職業に比べて決して高いわけではありませんが、毎年一定数の教員が退職しています。


特に、採用後数年以内に退職する若手教員の存在は、教育委員会にとって深刻な問題です。


教師を辞める理由は様々です。


業務の多忙さに耐えられない、保護者対応に疲弊する、同僚との人間関係がうまくいかない、子供たちとの関係づくりに悩む、自分の授業に自信が持てない。こうした理由で、教職を離れる人がいます。


また、教師になること自体が目的であり、その後の長いキャリアを見据えていなかった人も、数年で燃え尽きてしまうことがあります。


採用試験に合格することに全力を注ぎ、合格後の現実とのギャップに直面して、続けられなくなるケースです。


採用側は、こうした早期退職を避けたいと考えています。


教員の育成には時間とコストがかかります。


初任者研修、数年間の育成期間を経て、ようやく一人前の教員として学校運営を担える存在になります。


それなのに、数年で辞められてしまうことは、大きな損失です。


だからこそ、面接では、本当に長く続けられる人材かどうかを見極めようとします。



★困難を覚悟しているか



教師であり続ける覚悟を語る上で重要なのは、教員という仕事の困難さを理解し、それでも続けるという意思を示すことです。


教員という仕事を理想化し、美しい部分だけを見ている受験者に対して、面接官は不安を感じます。


教員の仕事は多岐にわたります。


授業の準備と実施、テストの作成と採点、子供たちの日常的な指導、保護者との連絡や面談、学校行事の準備と運営、校務分掌の業務、会議への参加、研修への参加。


これらすべてを、限られた時間の中でこなさなければなりません。


残業も多く、持ち帰り仕事も発生します。


休日も部活動の指導や学校行事で潰れることがあります。


また、子供たちとの関わりも、常に順調とは限りません。


指導が伝わらない子供、反抗的な態度を取る子供、いじめや不登校などの深刻な問題を抱える子供。


こうした状況に対処することは、精神的にも大きな負担となります。


保護者対応も重要な業務です。


理解のある保護者ばかりではありません。


学校や教員に対して厳しい要求をする保護者、理不尽な要求をする保護者もいます。


こうした対応に疲弊することもあります。


同僚との関係も、必ずしも円滑とは限りません。


価値観の違い、指導方針の違い、世代間のギャップ。こうした違いから、職場での人間関係に悩むこともあります。


教師であり続ける覚悟を語るということは、こうした困難を認識した上で、それでも教員として働き続けるという意思を示すということです。


理想だけを語るのではなく、現実を理解した上での覚悟を示すことが重要です。



★学び続ける姿勢



教師であり続けるためには、学び続ける姿勢が不可欠です。


教員は、採用された時点で完成された存在ではありません。


初任の頃は未熟であり、経験を重ね、研修を受け、先輩教員から学びながら、少しずつ成長していきます。


しかし、この成長は数年で止まるものではありません。


教員である限り、学び続けることが求められます。


教育を取り巻く環境は常に変化しています。


学習指導要領は定期的に改訂され、新しい教育方法や技術が導入されます。


ICT教育、プログラミング教育、英語教育の充実、インクルーシブ教育の推進。


こうした変化に対応するためには、常に新しい知識や技術を学ぶ必要があります。


また、子供たちの状況も変化しています。


子供たちが生きる社会、抱える課題、興味関心の対象。これらは時代とともに変わります。


十年前の子供たちと今の子供たちは違います。


教員は、こうした変化を理解し、対応していく必要があります。


さらに、教員自身の専門性を深めることも重要です。


担当する教科の知識を深める、指導技術を磨く、教育理論を学ぶ。


こうした学びは、教員生活を通じて続けるべきものです。


教師であり続ける覚悟を語る際には、こうした学び続ける姿勢を示すことが重要です。


採用後も研修に積極的に参加する、先輩教員から学ぶ、自主的に勉強を続ける。


こうした意思を明確に示すことで、長期的に成長し続けられる人材であることを伝えます。



★キャリアの展望



教師であり続ける覚悟を示すためには、長期的なキャリアの展望を持つことも重要です。


採用後の数年だけでなく、十年後、二十年後、三十年後の自分をどのように描いているか。


この視点を持つことで、一時的な熱意ではなく、長期的な覚悟を示すことができます。


初任の頃は、まず目の前の子供たちとしっかり向き合い、授業の基本を身につけることが目標となります。


数年以上経てば、校務分掌で、主任などの役割を担い、学校運営にも関わるようになります。


さらに経験を積めば、若手教員の指導や育成にも携わります。


管理職を目指す道もあれば、教科指導や生徒指導の専門性を深める道もあります。


こうした長期的な展望を持つことで、教員という仕事が単なる職業ではなく、自分の人生のキャリアとして位置づけられていることが伝わります。


面接で「十年後、どのような教員になっていたいですか」という質問を受けた際に、具体的なビジョンを語れることは、教師であり続ける覚悟の証となります。



★教育への使命感



教師であり続ける覚悟の根底には、教育への使命感があります。


単に職業として教員を選んだのではなく、教育という営みに深い意味を見出し、それに人生をかける価値があると考えている。


この使命感が、困難な状況でも教員を続ける原動力となります。


使命感とは、抽象的な理念ではありません。


子供たちの成長を支えることの意義、教育が社会に果たす役割、次世代を育てることの責任。こうした具体的な認識に基づいた、深い思いです。


使命感を持つ教員は、困難に直面しても簡単には諦めません。


うまくいかないことがあっても、子供たちのために何ができるかを考え続けます。


自分の力不足を感じても、どうすれば成長できるかを模索します。


この姿勢が、教員を長く続けることを可能にします。


面接では、この使命感を自分の言葉で語ることが重要です。


教科書的な美辞麗句ではなく、自分がなぜ教員になりたいのか、教育のどこに意味を見出しているのかを、自分の経験や価値観に基づいて語ります。



★具体的な準備



教師であり続ける覚悟を示すためには、具体的な準備をしていることも重要です。


困難に対処するための準備、学び続けるための準備、健康を維持するための準備。


こうした具体的な計画を持っていることで、覚悟が単なる精神論ではなく、現実的な意思であることが伝わります。


例えば、業務の多忙さに対処するために、時間管理の方法を学ぶ、効率的な仕事の進め方を身につける。保護者対応に備えて、コミュニケーションの技術を学ぶ、様々なケースについて事前に考えておく。


子供たちへの対応に備えて、発達心理学や特別支援教育について学ぶ。


また、メンタルヘルスを維持するために、ストレス対処法を身につける、相談できる人間関係を築く、趣味や休息の時間を確保する。


こうした具体的な準備は、長く教員を続けるための現実的な対策です。


面接で、こうした具体的な準備について語ることで、教師であり続けることを真剣に考えていることが伝わります。



★先輩教員からの学び



教師であり続けるためには、先輩教員から学ぶ姿勢が重要です。


長年教員を続けている先輩教員は、様々な困難を乗り越えてきた経験を持っています。


その経験から学ぶことは、自分が教員を続ける上で大きな財産となります。


教育実習や学校でのボランティア活動を通じて、長く教員を続けている先輩と接する機会があった場合、その人がどのように困難に対処してきたか、どのように学び続けてきたか、何がモチベーションとなっているかを聞くことができます。


こうした具体的なエピソードは、面接で語る際の材料となります。


「教育実習でお世話になった指導教員の先生は、教員生活三十年のベテランでしたが、今でも毎年新しい授業の工夫を考えておられました。その姿勢に、教員として学び続けることの大切さを学びました」といった具体的な経験を語ることで、教師であり続けることのイメージが明確になります。



★家族の理解と支援



教師であり続けるためには、家族の理解と支援も重要です。


教員の仕事は多忙であり、家庭生活との両立は容易ではありません。


家族の理解と協力があって初めて、長く教員を続けることができます。


面接で家族について直接問われることは少ないですが、長期的なキャリアを考える上で、家族の支援があることは重要な要素です。


特に、結婚や出産といったライフイベントを経ても教員を続ける意思があるかどうかは、採用側にとって関心のある点です。


「家族も教員という仕事を理解してくれており、長く続けることを応援してくれています」といった言葉は、長期的な覚悟を示す一つの要素となります。



★地域への貢献



教師であり続けるということは、その地域の教育に長期間貢献するということでもあります。


教員は、その地域の子供たちを育て、地域の教育文化を次世代に伝える存在です。


一つの地域に長く勤めることで、その地域の教育に深く関わり、貢献することができます。


地域の特性を理解し、地域の課題に向き合い、地域の人々と協力しながら教育を進める。


こうした長期的な視点は、教師であり続ける覚悟の一部です。


面接では、「この地域の教育に長く貢献したい」という意思を示すことで、一時的ではなく長期的な覚悟を持っていることが伝わります。



★結論



教員採用試験の面接において、「教師になりたい」という熱意だけでは不十分です。


採用側が求めているのは、「教師であり続ける」という長期的な覚悟を持った人材です。


教師であり続けるということは、採用後の数十年にわたって、困難に直面しても、変化する環境に対応しながらも、教壇に立ち続けるということです。


業務の多忙さ、保護者対応、子供たちとの関わりにおける困難。


こうした現実を理解した上で、それでも教員として働き続けるという意思を持つことが重要です。


学び続ける姿勢、長期的なキャリアの展望、教育への使命感、具体的な準備、先輩教員からの学び、家族の理解、地域への貢献。


これらすべてが、教師であり続ける覚悟を構成する要素です。


面接では、こうした覚悟を自分の言葉で語ることが求められます。


理想だけでなく現実を見据え、一時的な熱意だけでなく長期的な意思を示すこと。


それが、採用側が最も重視する資質の一つであり、合格への確かな道となります。


教員という仕事は、簡単ではありません。


しかし、子供たちの成長を支え、次世代を育てるという意義深い仕事でもあります。


この仕事に人生をかける覚悟を持つこと。


それが、真の教員としての第一歩となります。




河野正夫




 
 
 

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