第30回(最終回):レトリック理論の連載に向けて。【初歩から学ぶ面接合格戦略】(30回連載シリーズ)
【初歩から学ぶ面接合格戦略】(30回連載シリーズ)
第30回(最終回):レトリック理論の連載に向けて
★この連載が扱ってきたものを、一文で言います
これまで、29回にわたって書いてきたことは、一文にまとめられます。
面接とは、人が人を主観で評価する場であり、その主観に働きかける技術が存在する。
これだけです。
面接官とは誰か。
何が評価されるのか。
どう語るべきか。
どう見せるべきか。
すべて、この一文から派生した話でした。

★二十九回を、三つの原理に畳みます
細かい内容を思い出す必要はありません。
三つの原理に集約できます。
第一の原理。
面接官から、好感・共感・好印象を勝ち取ること。
正しいことを述べるだけでは、評価は動きません。
面接官という人間の心が動いたときに、点数が動きます。
第二の原理。
戦略を立て、脚本を書き、演出を整えること。
何を語るかを決めるのが戦略です。
どう組み立てるかが脚本です。
どう届けるかが演出です。
この三層がそろって、準備が完成します。
第三の原理。
計算し尽くした上で、計算を感じさせないこと。
日本庭園の自然美です。
徹底して設計し、設計が見えないところまで仕上げる。
この三つを持っていれば、連載の中身は手元に残ります。
細部を忘れても、この三つから導き直せます。
★しかし、この連載では届かなかった層があります
ここで、正直に申し上げておきます。
この連載が扱ったのは、認識と方針です。
面接をどう捉えるべきか。
どの方向に準備を進めるべきか。
一方で、扱えなかったものがあります。
技術の体系です。
なぜ、その方法が効くのか。
どういう条件で、効かなくなるのか。
別の場面に、どう応用するのか。
原理は示しました。
原理を支える理論は、まだ示していません。
ここが、この連載の到達点であり、同時に限界です。
原理だけでも、準備の方向は定まります。
しかし、原理だけでは、迷ったときの判断ができません。
この語り方でよいのか、別の形にすべきか。
その判断を支えるものが、理論です。
★レトリックとは何でしょうか
ここから、次の話に入ります。
まず、言葉の中身をはっきりさせておきます。
レトリックは、話術ではありません。
小手先のテクニックでもありません。
うまいことを言う技でもありません。
レトリックとは、人がなぜ納得するのかを解明する学問です。
どういう語りが、人の心を動かすのか。
なぜ、動くのか。
どういう条件で、動かなくなるのか。
この問いに答えるための体系です。
話し方を良くするための小技ではありません。
人間が納得に至る過程を、構造として捉える学問です。
★レトリックは、二千年の蓄積を持ちます
この学問は、古代ギリシャに始まります。
人を納得させる仕組みが、体系的に研究されるようになりました。
以来、二千年以上にわたって、積み上げが続いています。
経験則の集積ではありません。
観測と検証を重ねて組み上げられた理論です。
そして現代では、コミュニケーション理論として発展しています。
マーケティング。
広報。
選挙戦略。
危機管理。
大きなものが動く実務の場で、この理論が精密に運用されています。
★なぜ、いま受験者にレトリック理論が必要なのでしょうか
前回の結論を受けます。
教員採用試験の面接は、測定器として厳密ではありません。
面接官は採用の専門家ではありません。
構造化面接の手法も、取られていません。
評価は、面接官の主観で決まります。
主観で決まる場では、主観に働きかける技術が最大の力を持ちます。
そして、その技術の体系が、レトリック理論です。
つまり、教員採用試験の面接は、レトリックが最も効く場の一つです。
にもかかわらず、レトリックを理論として学んでいる受験者は、ほとんどいません。
ここに、大きな空白があります。
空白は、そのまま好機になります。
誰も手をつけていない領域で準備を進めれば、差は自然に生まれます。
★合格から、満点へ
次の連載の位置づけを、示しておきます。
この連載が目指したのは、合格です。
評価の基準を越えることです。
次に目指すのは、満点です。
評価の上限に届くことです。
この二つは、別の課題です。
合格は、原理を守れば近づきます。
好感・共感・好印象を意識し、戦略と脚本と演出を整える。
それだけで、多くの受験者は合格圏に入ります。
満点は、理論を使いこなさなければ届きません。
高倍率の志望先。
定員の少ない区分。
そうした場で求められるのは、合格水準を越えた最高点です。
一点の差で、結果が分かれます。
その一点を取りにいく技術が、レトリック理論です。
★理論を持つと、何が変わるのでしょうか
理論の実用的な価値を、三つ挙げます。
1.応用できます。
一つの質問で学んだことが、別の質問でも使えます。
想定外の質問が来ても、原理から答えを導けます。
2.再現できます。
うまくいった理由が分かっていれば、もう一度できます。
本番で、偶然に頼らなくなります。
3.自分で診断できます。
結果が出なかったとき、どこを修正すればよいかが分かります。
やみくもに練習を重ねる必要がなくなります。
経験則では、この三つが手に入りません。
たまたまうまくいった方法を、たまたま繰り返すことしかできません。
★次の連載に向けて、いま準備しておくこと
読者の方が、今日からできることを三つだけ挙げます。
1.自分の持ち札を、紙に書き出しておく。
経歴。
経験。
資質。
語れる場面。
数は、30から50を目安にしてください。
2.自分の語りを、一度録音して聞いておく。
音として、自分の言葉がどう届いているか。
ここを一度確認しておいてください。
3.自分がどんな教師でありたいかを、一文で書いておく。
短く、具体的に。
この一文が、すべての出発点になります。
この三つが手元にあれば、理論を学んだときに、すぐ自分の語りに適用できます。
理論は、材料があってはじめて働きます。
材料のない理論は、ただの知識で終わります。
★三十回の連載を終えて
最後に、お伝えしたいことがあります。
面接は、運任せの場ではありません。
生まれ持った性格で決まる場でもありません。
顔立ちや若さだけで決まる場でもありません。
知れば変わり、設計すれば動く場です。
ここまで読んでくださった方は、すでにその前提を手にしています。
面接室に座る前に、何をすべきかが見えている状態です。
ここから先は、理論です。
次回より、
【面接で満点合格を目指すためのレトリック理論講座】
を、全20回でお届けします。
30回にわたり、この連載をお読みいただき、ありがとうございました。
河野正夫

コメント