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第19回:面接質問の意図はもっと希薄。【初歩から学ぶ面接合格戦略】(30回連載シリーズ)

執筆者の写真: 河野正夫
河野正夫
2 日前
読了時間: 6分

【初歩から学ぶ面接合格戦略】(30回連載シリーズ)


第19回:面接質問の意図はもっと希薄



★質問票には、評価項目が並んでいます



面接官の手元には、評価項目の並んだ用紙があります。



教育への情熱。


使命感。


コミュニケーション能力。


責任感。


協調性。



自治体によっては、それぞれの項目に対応する質問例まで用意されています。


この事実を知ると、受験者は自然にこう考えます。



この質問は、この項目を測っている。


だから、この要素を答えに入れよう。



今回は、この推論がどこで崩れるのかを見ていきます。





★分類と、測定指標は、まったく別のものです



ここが、今回の理論的な中心です。


質問票にある対応づけは、質問の分類です。



この質問は、協調性に関する話題を扱う。


この質問は、使命感に関する話題を扱う。



そうした整理にすぎません。



測定指標は、別のものを指します。



ある質問への答えが、ある特性の水準を客観的に示す。



そういう装置のことです。



分類は、話題の整理です。


測定は、数値化の手続きです。



この二つを同じものだと考えると、準備の方向が大きくずれていきます。



★一つの質問は、一つの特性を測れません



具体例で見てみます。



「これまでに、チームで何かを成し遂げた経験を教えてください」



この質問が、協調性の欄に分類されているとします。



では、受験者の答えを聞いた面接官が受け取るものは、協調性だけでしょうか。



話の構成力。


語彙の選び方。


声の調子。


そのときの表情。


チームの中での自分の位置づけ方。


仲間をどう語るか。


成果を自分のものとして語るか、みんなのものとして語るか。



面接官は、これらすべてを同時に受け取っています。



そして、受け取った内容は、協調性の欄だけに収まりません。


コミュニケーション能力の欄にも、責任感の欄にも、同時に影響します。


一つの質問が一つの特性に対応するという構造は、最初から成立していません。



★一つの特性も、一つの質問では決まりません



反対の方向からも見てみます。


協調性の欄に点数をつけるとき、面接官が参照しているものは何でしょうか。


協調性の質問への答えだけを思い出して、点数を決めているわけではありません。



志望動機の語り方。


追質問への反応の仕方。


三人の面接官への視線の配り方。


入室から着席までの様子。



面接全体から受け取った印象が、その欄に入ります。


ここでも、一対一の対応は成立していません。



★では、評点はどうやってつけられているのか



実際に起きていることを、順に見ていきます。



面接官は、多様な質問をします。


関連質問を重ねます。


そのやり取りを通じて、一人の人物像を形づくっていきます。



面接が終わります。


評価票の各欄に、点数を入れます。



そのとき参照されているものは、質問ごとの答えの記録ではありません。


形成された人物像です。



この人は、協調性がありそうだ。


だから、その欄は高めにする。



この人は、責任感がありそうだ。


だから、その欄も高めにする。



主観的に形成された一つの印象が、複数の欄に分配されていきます。



ここに、重要な帰結があります。



各欄は、独立していません。



印象が良ければ、複数の欄が同時に上がります。


印象が薄ければ、複数の欄が同時に下がります。



一つの欄だけが高く、他の欄だけが低いという評価票は、あまり生まれません。



★質問の出所によっても、設計の濃度が違います



面接で飛んでくる質問は、三つの種類に分けられます。



1.自治体が用意した、共通の質問票からの質問。



全受験者に共通して聞かれます。


ここには、まだ分類としての設計が残っています。



2.面接票やエントリーシートの記載から生まれた質問。



受験者ごとに、まったく違います。


面接官が、その場で書類を見ながら作っています。



3.直前の回答から派生した、関連質問。



完全に、その場で生まれます。


事前の設計は、どこにもありません。



三つ目に近づくほど、設計は消えていきます。



そして、面接時間の多くを占めているのは、二つ目と三つ目です。


事前に設計された質問は、面接全体のごく一部にすぎません。



★受験者にとっての帰結



ここまでを、三つに整理します。



1.質問と評価項目の対応表を作る準備は、機能しません。



この質問は協調性を見ている。


だから協調性を示す要素を入れる。



こうした対応表を精密に作っても、面接官の側に同じ対応表がありません。



2.どの質問にも、自分の人物像を乗せられます。



各欄は独立していないため、どの質問で作った印象も、複数の欄に届きます。



趣味の質問で作った好印象が、協調性の欄を押し上げることがあります。


学生時代の話で作った信頼感が、責任感の欄に影響することがあります。



3.面接全体の一貫性が、そのまま点数になります。



同じ人物が語っていると感じられれば、印象は強く形成されます。


強く形成された印象は、各欄に確実に反映されます。



★質問を軽く見てはいけません



ここで、歯止めを置いておきます。


質問に測定機能がないことと、質問に答えなくてよいことは、まったく違います。


問われたことに答えられない受験者は、その時点で対話の能力を疑われます。


質問の趣旨からずれた答えを返す受験者も、同様です。


そして、その疑いもまた、複数の欄に同時に影響します。


質問は、測定装置としては働きません。


しかし、対話の入り口としては、確実に働いています。


入り口を無視した受験者には、その先の評価が生まれません。



★準備の方向を、組み替えます



実際の作業に落とします。


これまで、質問ごとに答えを用意してきた方は、作業の重心を移してください。


質問ごとの正解を増やす作業から、どの質問からでも同じ人物像に届く語りを整える作業へ。



具体的には、こうします。



主要な五つから七つの回答を、紙に並べます。


そして、声に出して、続けて読んでみます。


そこに、同じ人物が現れているでしょうか。



志望動機では熱意ある人に見え、自己アピールでは慎重な人に見え、場面指導では厳しい人に見える。


この状態であれば、印象は形成されません。



同じ人物が現れていなければ、質問を百問用意しても、評価票の欄は動きません。


一貫性を整える作業は、回答を増やす作業より、はるかに短時間で終わります。


そして、効果ははるかに大きくなります。



★第19回のまとめ



質問票にある対応づけは、分類です。


測定指標ではありません。



一つの質問は、一つの特性を測れません。


一つの特性も、一つの質問では決まりません。



評点は、面接全体で形成された人物像から、各欄に分配されていきます。



狙うべきものは、質問ごとの正解ではありません。


面接全体で形成される、一人の人物像です。




河野正夫



 
 
 

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