第17回:追質問への対応。【初歩から学ぶ面接合格戦略】(30回連載シリーズ)
【初歩から学ぶ面接合格戦略】(30回連載シリーズ)
第17回:追質問への対応
★追質問が来た瞬間、何が起きているか
面接の途中で、用意していない質問が飛んできます。
そのとき、受験者の中では、こんなことが起きます。
失敗した。
さっきの答えが悪かったのかもしれない。
どう答えればいいのか分からない。
心拍が上がり、言葉を探し始めます。
一方、面接官の側で起きていることは、まったく違います。
いま聞いた話について、もう少し知りたい。
この人の考えを、もう一段確かめたい。
面接官は、前に身を乗り出しています。
この落差が、追質問への対応を難しくしています。
今回は、この落差を埋めていきます。

★追質問は、四つの理由から生まれます
追質問の発生源は、四つに分類できます。
1.関心。
もっと知りたいから聞いています。
語りが面白かった場合に生まれます。
2.確認。
いま聞いた話の具体性を確かめたい。
実際にあった出来事なのかを確かめたい。
この目的で聞いています。
3.検証。
この人の考えが、どこまで深いのかを測りたい。
表面的な知識なのか、本当に理解しているのかを確かめたい。
やや厳しい口調になることがあります。
4.救済。
ここは、多くの受験者が気づいていない種類です。
最初の答えが弱かったため、もう一度機会を与えている。
この形の追質問が、実際にあります。
面接官は、評価を下げるために質問しているわけではありません。
採用したい人材を見つけるために、質問しています。
★どの理由で来たかを、聞き分けます
質問の形から、発生源をある程度推測できます。
「もう少し詳しく聞かせてください」
これは、関心です。
「具体的には、どのような場面でしたか」
これは、確認です。
「なぜ、そう考えるようになりましたか」
これは、検証です。
「たとえば、こういう場合はどうしますか」
これは、救済であることが多くあります。
発生源が分かれば、返し方も決まります。
質問を聞いた瞬間に、四つのどれかを考える習慣をつけてください。
★対処の基本形は、三つの動作です
どの追質問にも共通する、基本の動作があります。
1.一呼吸置きます。
即答を急がないでください。
一拍置いてから話し始めると、表情が整い、声も落ち着きます。
考えてから話す人という印象も残ります。
2.結論から返します。
追質問であっても、結論を先に置く原則は変わりません。
最初の一文で、何を答えるのかを示します。
3.短く返します。
最初の回答より、短くしてください。
追質問への答えが長くなると、新しい論点が増えます。
論点が増えると、さらに追質問を呼び込みます。
そして、語れば語るほど、説得の色が濃くなっていきます。
★型別の返し方
発生源ごとに、返し方を見ていきます。
☆関心への返し方。
控えの札を出す場面です。
戦略の段階で手元に残しておいた材料が、ここで使えます。
主力の札で語った内容と、別の角度から重なる話を出します。
同じ人物像が、二つの場面から立ち上がります。
☆確認への返し方。
具体的な場面を、一つ出します。
いつ、どこで、誰と、何があったか。
情景が浮かぶ形で語ります。
抽象的な説明を重ねても、確認は満たされません。
面接官が求めているのは、実在した場面です。
☆検証への返し方。
自分の教育観の根拠まで降ります。
脚本に書き込んでおいた背景を語る場面です。
なぜ、自分はそう考えるようになったのか。
その源にある経験を、短く語ります。
ここで根拠が出てくる受験者は、考えが本物だと判断されます。
☆救済への返し方。
最初の答えを、そのまま言い直さないでください。
角度を変えます。
別の場面を出す。
別の側面から説明する。
同じ内容を繰り返すと、せっかくの機会を使い切ってしまいます。
★答えられない追質問が来たとき
ここが、多くの方が最も不安に感じる部分です。
まず、原則を一つ。
知らないことを、知っているふりをしないでください。
面接官は、その分野で長く仕事をしてきた方々です。
取り繕った答えは、即座に見抜かれます。
そして、知識の不足より、誠実さの不足の方がはるかに重く評価されます。
処理の手順は、四つです。
1.知らない部分と、考えられる部分を切り分けます。
質問全体が分からないという場面は、実はあまりありません。
制度の名称を知らないだけで、中身については考えられる場合が多くあります。
2.知らない部分を、率直に述べます。
「その制度については、詳しく存じ上げておりません」
一文で、はっきり述べます。
3.自分の立場から考えられることを述べます。
「ただ、子どもの安全に関わる場面であれば、まず学年主任に報告いたします」
知識がなくても、教師としての判断は語れます。
4.学ぶ姿勢を示します。
「すぐに確認して身につけていきます」
この四つの手順を踏めば、答えられなかったこと自体では、大きく減点されません。
むしろ、誠実さと現場対応力の証明になります。
学校現場でも、分からないことに出会う場面は毎日あるからです。
分からないときにどう動く人なのか。
面接官は、そこを見ています。
★やってはいけない三つの反応
追質問に対して、避けたい反応が三つあります。
1.黙り込む。
沈黙が長く続くと、対応力への懸念が生まれます。
教室で子どもから想定外の質問をされたとき、この人は固まってしまうのではないか。
面接官は、そう受け取ります。
分からない場合でも、分からないと口に出してください。
沈黙より、はるかに良い対応です。
2.話を長くする。
不安を、言葉の量で埋めようとしないでください。
長さは、自信のなさとして伝わります。
3.前言を撤回する。
指摘されたからといって、意見を変えないでください。
「おっしゃる通りです、私の考えが間違っておりました」
この反応をすると、教育観の一貫性が崩れます。
面接官の追質問は、意見を変えさせるためのものではありません。
考えの深さを確かめるためのものです。
異なる見方を示されたときは、それを受け止めた上で、自分の立場を維持します。
「そのお考えも理解できます。その上で、私は~と考えています」
この形で返します。
★追質問に強くなる準備の方法
事前にできる作業があります。
自分の用意した回答を、声に出して読んでください。
そして、一文ごとに「なぜ」と問いかけます。
なぜ、そう考えるのか。
なぜ、その方法を選ぶのか。
なぜ、それが大切だと思うのか。
答えが出てこない箇所があります。
そこが、追質問の来る場所です。
その箇所に、背景を書き足していきます。
この作業を、主要な五つの回答に対して行ってください。
追質問の大半が、想定内に入ります。
★追質問が来ない面接は、良い面接とは限りません
最後に、視点を反転させておきます。
追質問が来ないということは、面接官が受け取るだけで終わったということです。
関心も、確認の必要も、検証の意欲も生まれなかったということです。
追質問が多い面接は、面接官が前に出てきている面接です。
質問が続いたら、関心を持たれていると受け取ってください。
その受け取り方ができるようになると、本番での表情まで変わります。
★第17回のまとめ
追質問は、四つの理由から生まれます。
関心。
確認。
検証。
救済。
理由が分かれば、返し方も決まります。
一呼吸置く。
結論から返す。
短く返す。
答えられないときは、知らない部分と考えられる部分を切り分け、誠実に処理します。
追質問は、失敗の合図ではありません。
得点の機会です。
河野正夫

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