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第19回:追質問のレトリック その場で組み立てる技術。【面接で満点合格を目指すためのレトリック理論講座】(20回連載シリーズ)

執筆者の写真: 河野正夫
河野正夫
5 分前
読了時間: 9分

【面接で満点合格を目指すためのレトリック理論講座】(20回連載シリーズ)


第19回:追質問のレトリック その場で組み立てる技術



★追質問は、どこから来るか



想定質問は、ある程度そろえられます。


志望動機、自己アピール、学級経営、授業、保護者への対応。


この範囲なら問題集にも並んでいますし、前の年に受けた方から聞くこともできます。


ところが、面接室で実際に受け取る質問のうち、かなりの数はそこに並んでいないものになります。



追質問です。


追質問には、出どころがあります。


こちらの答えです。



面接官は採用人事の専門家ではありません。


多くは夏の数日間の充て職ですので、一つ一つの質問に緻密な意図を込めてはいません。


手元の紙に書かれた質問を読み、答えを聞いて、気になったところをその場で聞きます。


ですから追質問は、面接官が前の晩に考えてきたものではありません。


こちらが数秒前に話した言葉から作られます。



そして、面接の後半になるほど増えます。


前半は紙に書かれた質問が中心ですが、こちらの答えがたまってくると、面接官はそこから聞き始めます。


想定質問だけを用意して面接室に入ると、前半は答えられて、後半で止まります。


ここから、一つのことが出てきます。


追質問は、半分はこちらが決めています。



何を話したかで、聞かれることが変わります。


最後に場面を語れば場面について聞かれ、最後に取組を述べれば方法について聞かれます。


この点は、後半で扱います。



まず前半で、来た追質問にどう答えるかを書きます。





★追質問の五つの型と、答えの出どころ



その場で作られる質問には、限られた形しかありません。


面接官は聞いたことから作りますので、作れる形のほうが決まってきます。



前回の第17回で、蓄えを四つ挙げました。



自分の出来事、


自分の意味づけ、


自分の定義、


言い直せる事実



の四つです。


型ごとに、このどれから取り出すかが決まります。



1.具体を聞く型



具体的にはどうしていますか。


例を挙げてください。


どのくらいの頻度でやっていますか。



出どころは、自分の出来事です。


場面の細部を使います。



この型は、抽象語で答えたときに来ます。


逆に言えば、この質問が来たということは、前の答えに具体が足りていなかったということです。


ここで場面を出せば、そのまま持ち直せます。



2.範囲を広げる型



ほかにはありますか。


そのほかに取り組んでいることはありますか。



出どころは、自分の意味づけです。


第14回で、一つの出来事に意味を三つ書き出す作業を扱いました。


まだ使っていない意味を、ここで出します。


同じ出来事をもう一度出してもかまいません。


さきほどの話ですが、と前置きしてから、別の意味で語ります。



3.うまくいかない場合を聞く型



それでも変わらない子にはどうしますか。


うまくいかなかったことはありますか。



出どころは、自分の出来事のうち、結果が良くなかったものです。


ですから蓄えには、うまくいかなかった場面も入れておきます。


この型は、答えを作って通そうとすると崩れます。


実際にうまくいかなかった話を述べて、そのあとに、そこで気づいたことを一文足せば足ります。



4.別の立場から聞く型



保護者から反対されたら、どうしますか。


同僚の先生と考えが違ったときは、どうしますか。



出どころは、学校として動く形です。


一人で決めて一人で収める答え方をしていると、この型でつまずきます。



学年の先生方に伝える。


管理職の先生に相談する。


学校として伝える内容をそろえる。



この三つを持っていれば、どの立場から聞かれても答えられます。



5.言葉の意味を確かめる型



いまおっしゃった「待つ」というのは、どういうことですか。



出どころは、自分の定義です。


第16回で、学校の中で定まっている言葉に自分の定義を与えた一行を作りました。


それを言い直します。



この型が来るのは、こちらの言葉が面接官の関心を引いたときですので、良い兆候になります。


なお、型が重なって来ることもあります。


保護者から反対されたとき、具体的にはどう話しますかという質問は、四つ目と一つ目が一緒に来た形です。


このときは、学校として動く形を述べてから、場面を一つ足します。



★答え始める前に決めるのは、一つだけです



追質問を受けてから答え始めるまでに、数秒しかありません。


その数秒でできることは限られていますので、決めることを一つに絞ります。


どの蓄えから取り出すかです。



決めないものを書いておきます。



角度を新しく作りません。


第8回で扱った発想の工程は、一つの材料に角度を何本も書き出して、その中から選ぶ作業でした。


数秒では回りません。



型も作りません。


第12回のPREP法や第13回のSTAR法を、その場で当てはめ直す作業はしません。


追質問の答えは短くなりますので、結論を述べて具体を一つ足せば、形になります。



言葉も磨きません。


第16回で作った一行は、すでに決まっています。


それ以外の言葉は、話しながら出てきます。



つまり、その場でやるのは選ぶ作業だけです。


作る作業は、全部、準備の段階で終わっています。



ここが、蓄えを作っておく理由です。


選ぶだけなら数秒で済みますが、作るとなると何十秒もかかります。



選ぶあいだの数秒は、前回の演出の回で扱った間と同じ使い方になります。


黙って一拍おきます。


自然な間であれば、適切に答えを考えていることが伝わります。



★経験していないことを聞かれたとき



蓄えにない場面を聞かれる場合があります。



教育実習しか経験のない方に、保護者への対応を聞く。


小学校の勤務経験しかない方に、中学生への指導を聞く。


特別支援学校を志望する方に、通常の学級での経験を聞く。



こうした質問は、実際に出ます。


ここで、経験したことのように話してはいけません。


一つ足すと、次の追質問が来ます。



その子は何年生でしたか。


どのくらいの期間でしたか。


保護者の方は何とおっしゃいましたか。



作った部分はここで止まりますし、止まった時点で、前に話した本当の話まで疑われます。



答え方は、二つに分けます。



まず、経験していないことを述べます。


その場面は、まだ経験していません。


一文で足ります。


長く説明すると、言い訳に聞こえます。



次に、そのうえで考えを述べます。


ここで使うのは、自分の定義か、近い経験です。



保護者への対応を聞かれて経験がない場合でも、学校として伝える内容をそろえるという考えは述べられます。


中学生への指導を聞かれて小学校の経験しかない場合でも、高学年で見た場面から述べられます。



述べるのは、一つの考えだけにします。


経験がない分を言葉の量で埋めようとすると、長くなって、かえって弱くなります。



この形で答えると、経験の有無より、考え方のほうが伝わります。


そして、正直に述べた人として受け取られますので、第3回で扱ったエトス、つまり語り手への信頼のほうは、むしろ上がります。



★追質問の答えは、短くなります



追質問の答えは、最初の答えより短くなります。


長さを決めているわけではありません。


問いが狭いので、自然にそうなります。



具体的にはどうしていますかと聞かれたら、答えるのは具体の一つです。


学級経営の全体を述べ直す必要がありません。



ところが、ここで長くなる場合があります。


理由は二つです。



一つは、前の答えを言い直してしまうことです。


さきほども申し上げたとおり、と始めて、前の答えの要点をもう一度述べてから本題に入ります。


面接官は三十秒前にそれを聞いていますので、同じ話を二度聞くことになります。



もう一つは、追質問を、評価が低いことの合図だと受け取ってしまうことです。


足りなかったから聞かれたと考えて、埋めようとして長くなります。



実際には、逆のことが多くなります。


前回も述べましたが、答えが良いほど追質問は増えます。


面接官がもっと聞きたくなるからです。


聞かれたら、聞かれたところだけを答えれば足ります。



もう一つ、同じことを二度聞かれたように感じる場面があります。


前の答えと近い質問が来たときです。


ここで同じ話を繰り返すと、持ち玉が少ない人に見えます。


第14回で書き出した意味づけのうち、まだ使っていないものを出します。



★追質問を呼ぶ側に回る



ここまでは、来た質問に答える話でした。


最後に、呼ぶ側の話を書きます。



第10回で、一つの答えの中でいちばん残るのは最後の一文だと説明しました。


そして面接官は、残ったところから次の質問を作ります。


ですから、最後に何を述べるかで、次に聞かれることが変わります。



場面で終われば、その場面について聞かれます。



あの生徒はその後どうなりましたか。



取組で終われば、方法について聞かれます。



それは毎日やっているのですか。



自分の定義で終われば、考えについて聞かれます。


待つというのは、どういうことですか。



やることは一つです。


自分がいちばん語れるところを、最後に述べます。



逆のことも起きます。


答えにくいことを最後に述べると、そこを聞かれます。



勤務の空白、


前の職場を辞めた理由、


まだ取っていない資格。


こうしたことを締めに持ってくると、面接官はそこを拾います。



ですから準備の段階で、答えの原稿の下に、来てほしい追質問を一行書いておきます。


そして、その質問が来るように最後の一文を選びます。


書いた質問と、選んだ一文が合っていなければ、一文を替えます。


これができると、面接の後半は、自分が選んだ話題で進みます。



★まとめ



追質問は、こちらの答えから作られます。


面接官がその場で作りますので、半分はこちらが決めています。



その場で作られる質問には、五つの型があります。



具体を聞く型、


範囲を広げる型、


うまくいかない場合を聞く型、


別の立場から聞く型、


言葉の意味を確かめる型



です。



型ごとに、答えの出どころが決まっています。



具体を聞かれたら場面から、


範囲を広げられたらまだ使っていない意味づけから、


うまくいかない場合を聞かれたら結果の良くなかった場面から、


別の立場から聞かれたら学校として動く形から、


言葉を確かめられたら自分の定義から



取り出します。



答え始める前に決めるのは、どの蓄えから取り出すかだけです。


角度も型も言葉も、その場では作りません。



経験していないことを聞かれたら、経験していないと一文で述べて、そのうえで考えを一つ述べます。


作った話は、次の追質問で止まります。



そして、最後に何を述べるかで、次に聞かれることが変わります。


自分がいちばん語れるところを、最後に述べます。




河野正夫



 
 
 

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