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第15回:修辞(表現)【面接で満点合格を目指すためのレトリック理論講座】(20回連載シリーズ)

執筆者の写真: 河野正夫
河野正夫
3 分前
読了時間: 9分

【面接で満点合格を目指すためのレトリック理論講座】(20回連載シリーズ)


第15回:修辞(表現)


<この記事は、絶対に読んでください!


面接の語りのクオリティが何倍も良くなります。


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★修辞とは、どの言葉で言うかを決める工程です



レトリックの五つの工程、発想・構成・修辞・記憶・演出のうち、修辞は三番目に来ます。



第8回で扱った発想の工程で、自分の経験のどこから見るかを決めました。第10回で扱った構成の工程で、文の順番を決めました。


残っているのは、言葉です。


何を言うかは、もう決まっています。


その中身を、どの言葉で言うか。


これを決めるのが修辞です。



同じ中身でも、言葉が替わると、届き方が替わります。



子ども一人一人に寄り添います。


その日、一度も声をかけていない子がいないかを、帰りの会の前に確かめます。



言っている中身は、近いものです。


ただ、面接官の手元に残るものが違います。



もう一組、見てみます。



保護者との信頼関係を大切にしています。


学級通信に書いたことは、家庭訪問でも子供の状況に合わせてお伝えします。



これも、中身は近いものです。後ろのほうには、やっていることが見えます。


この回では、面接の言葉を選ぶときに効く操作を、五つ扱います。





★抽象語を、具体の言葉に替える



面接でよく使われる言葉があります。



寄り添う。


信頼関係。


個に応じた指導。


主体性。


きめ細かい支援。



どれも、間違った言葉ではありません。


学校の中で実際に使われています。



ただ、この言葉を聞いた面接官の側には、何も見えません。


寄り添うという言葉から、どんな行為が浮かぶでしょうか。


人によって違いますし、浮かばないこともあります。



この種の言葉が選ばれやすい理由があります。


どの質問にも当てはまるからです。


学級経営でも、授業でも、保護者対応でも、寄り添うという語は置けます。


置ける言葉は、安全に見えます。



替え方は、一つです。


その言葉を、実際にやっている行為の言葉にします。



寄り添うを、話しかけずに横に座っている、に。


信頼関係を築くを、約束したことをその日のうちに返す、に。


個に応じた指導を、同じ問題を三通りの解き方で用意する、に。


きめ細かい支援を、提出物が出ていない子に理由を聞いてから期限を決める、に。


主体性を育てるを、やり方を二つ示して、どちらにするかを決めてもらう、に。



抽象語のほうが、言うのは簡単です。


一語で済みます。


具体の言葉にすると、少し長くなります。


それでも、面接官が受け取れるのは、具体の側です。



目安があります。


その言葉を聞いた人が、場面を一つ思い浮かべられるかどうかです。


浮かばないなら、まだ抽象語のままです。



★教育の言葉を、自分の言葉で言い直す



学習指導要領や答申に出てくる言葉があります。



主体的・対話的で深い学び。


社会に開かれた教育課程。


個別最適な学び。


資質・能力の三つの柱。



これらは、正確な用語です。


意味も定まっています。



面接で使ってはいけない言葉ではありません。


ただ、用語をそのまま置いて終わると、二つのことが起きます。



一つ目は、その用語を知っているかどうかの話になることです。


知識の確認で終わります。



二つ目は、同じ用語が、ほかの受験者の答えにも入っていることです。


面接官は、一日に何度も同じ言葉を聞きます。



ですから、用語を置いたあとに、自分の言葉で言い直します。



「主体的・対話的で深い学びを目指しています。授業では、問いを出したあと、まず隣の人と話す時間を取ります。自分の考えが言葉になってから全体で出すほうが、意見が出てきます。」



用語が先、自分の言葉が後です。


用語だけで止めません。



言い直すときに使うのは、教室で実際に起きていることです。


辞書の説明を別の言い方にする作業ではありません。



もう一つ、決めておくことがあります。


中身を自分の言葉で言えない用語は、使いません。



用語を一つ置くと、そこから追質問が来ます。


言い直せない用語を置くと、その追質問で止まります。


覚えた語の数を増やすより、言い直せる語を三つか四つ持つほうが、面接では働きます。



★耳で分かる言葉を選ぶ



面接は、音で届きます。


紙に書いた原稿として読むと通る文が、声にすると聞き取れないことがあります。


とくに、漢語が続くときに起きます。



「本校の教育課程の編成に主体的に参画し、組織的な学校運営の一員としての自覚をもって職務に従事します。」



黙読すると、整っています。


声にすると、漢語の連なりが耳に届きます。


一つの意味を取る前に、次の語が来ます。



言い直します。



「学校全体で決めたことを、自分の学級でも同じようにやります。分からないことは、学年の先生方に聞いてから動きます。」



中身は近いものです。音で届く形になりました。



もう一つ、保護者への連絡を述べる場面で見てみます。



「保護者との情報共有の徹底を図り、学校と家庭の連携体制の構築に努めます。」



これも、声にすると残りません。言い直します。



「学級全体に伝えたことは、保護者の方にも子供の現状に合わせてお伝えします。先に学校から伝えるようにしています。」



目安を三つ書きます。



一つ目。


漢語を三つ以上続けません。


教育課程の編成、組織的な学校運営、職務への従事。


こうした語が並んだら、どれかを日常の言い方に替えます。



二つ目。


同じ音の語を近くに置きません。


たとえば、指導と児童です。


どちらも学校で毎日使う語で、音が近くなります。


一つの文に両方入るときは、文を分けます。



数の読み方も、同じです。


十分という書き方は、じゅうぶんとも、じゅっぷんとも読めます。


時間のことを言うなら、十分間、と言います。



三つ目。


声に出して読みます。


息が続かない箇所は、文が長すぎます。


自分が読んで詰まる箇所は、聞いている側も詰まります。



★文を短くする



一つの答えは、30秒から40秒です。文字数では、200文字から250文字です。


この中に入る文の数は、四つから六つです。


一文は、30字から45字くらいになります。



長くなるのは、理由と条件を一文に詰めたときです。



「私は、子ども一人一人の実態が異なることを踏まえ、学級全体への指導と個別の支援の両方を大切にしながら、保護者とも連携して、安心して過ごせる学級をつくりたいと考えています。」



一文で、四つのことを言っています。


聞き終わったときに、どれが主なのかが分かりません。


分けます。



「私は、安心して過ごせる学級をつくりたいと考えています。そのために、学級全体への指導と、個別の支援を分けて考えています。保護者の方にも、学級全体に伝えたことは、学級通信で同じようにお伝えします。」



三つの文になりました。


一文に一つのことが入っています。


分け方は単純です。


一文の中に、ながら、踏まえ、つつ、とともに、という語が入っていたら、そこで切ります。


ただし、全部を短く切りそろえる必要はありません。


十字の文ばかりが続くと、ぶつぶつした話し方になります。


短い文と、少し長い文を混ぜます。


言いたいところを短く、説明のところを少し長く。


この形にすると、聞いている側が、どこが主なのかを受け取れます。



★へりくだりを足さない



敬体で話そうとすると、へりくだりの表現が増えます。



させていただいております。


お話をさせていただきました。


携わらせていただいた経験がございます。



丁寧にしようとして足した言葉です。


ただ、足すほど、中身が後ろに下がります。



直します。



させていただいております、を、しています、に。


お話をさせていただきました、を、お話ししました、に。


携わらせていただいた経験がございます、を、担当しました、に。



です・ます調で十分です。


面接官は、丁寧さの度合いを測っていません。



もう一つ、重ねたくなる形があります。



かなと思います。


のような気がします。


だと思われます。



自分の経験を述べるところでこの形を使うと、本人も確信していない話に聞こえます。



やったことは、やりました、と述べます。


考えていることは、考えています、と述べます。



なお、へりくだりを外すことと、敬称を外すことは別です。


同僚の先生方、学年主任の先生、養護教諭の先生。


学校の中の方を指すときは、敬称を付けます。


ここは短くしません。



★言葉を替えても、角度は替わりません



ここまで、言葉の操作を五つ扱いました。


最後に、この工程の範囲を書いておきます。



修辞は、三番目の工程です。


発想で角度を決め、構成で順番を決めたあとに来ます。


ところが、準備を始めるとき、最初に手が付くのは言葉です。


言い回しを直すのは、すぐにできます。


原稿を見て、抽象語を具体に替えれば、見た目が変わります。


それでも、答えの中身は変わりません。


寄り添いたいと考えています、という一文を、横に座っています、に替えても、何を語るかは動いていません。


語る角度が決まっていないままです。


言葉を直しても良くならないときは、前の工程に戻ります。



第8回で扱った発想の工程に戻って、その経験を自分の何を示す話として語るのかを決め直します。


第10回で扱った構成の工程に戻って、どの順に並べるかを決め直します。


修辞は、決まったものを仕上げる工程です。


決まっていないものを、修辞で決めることはできません。



★直す手順



手元に原稿があるとして、手を入れる順番を書きます。



1.声に出して読む


まず読みます。詰まる箇所、息が続かない箇所に印を付けます。黙読では見つかりません。



2.長い文を切る


ながら、踏まえ、つつ、とともに。これらの語のところで切ります。一文に一つのことだけを残します。



3.抽象語を探して、具体に替える


寄り添う、信頼関係、個に応じた、主体性。見つけたら、実際にやっている行為の言葉にします。



4.へりくだりを外す


させていただく、ございます、かなと思います。見つけたら、です・ます調に戻します。



5.もう一度、声に出して読む


時間をはかります。30秒から40秒に入っていれば、そのままで使えます。



この順でやると、一つの答えに十分間ほどかかります。



順番には理由があります。


先に声に出すと、直す場所が自分で分かります。


先に抽象語を替えると、文が長くなりますので、文を切る作業を前に置きます。



★まとめ



修辞は、どの言葉で言うかを決める工程です。


レトリックの五つの工程、発想・構成・修辞・記憶・演出のうち、三番目に来ます。



扱った操作は、五つです。



抽象語を、具体の言葉に替える。


教育の言葉を、自分の言葉で言い直す。


耳で分かる言葉を選ぶ。


文を短くする。


へりくだりを足さない。



どれも、新しい言葉を覚える作業ではありません。


すでに持っている言葉を、置き換える作業です。


そして、言葉を替えても、語る角度は替わりません。


直しても良くならないときは、発想と構成の工程に戻ります。




河野正夫



 
 
 

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