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【大学生のための面接合格術】第19回:危機管理

  • 執筆者の写真: 河野正夫
    河野正夫
  • 5月26日
  • 読了時間: 10分

【大学生のための面接合格術】


第19回:危機管理



教員採用試験の面接において、



「学校における危機管理についてどう考えますか」


「子どもの安全を守るために、どのようなことを大切にしますか」



という質問は、近年特に重視されるテーマです。


学校は、子どもが安心して過ごせる場でなければなりません。



自然災害、


事件・事故、


不審者の侵入、


感染症、


食物アレルギー


など、



子どもの安全を脅かす危機は多岐にわたります。


今回は、大学生のみなさんが、危機管理に関する質問に的確に答えられるよう、押さえておくべき知識と、考え方、語り方をお伝えしていきます。





1.学校安全の三領域



まず、学校における危機管理の前提となる、「学校安全」の枠組みを確認します。


文部科学省は、学校安全を、次の三つの領域で整理しています。



★生活安全


学校生活全般における事故、けが、犯罪被害などからの安全です。


授業中、


休み時間、


清掃、


給食、


実験・実習中の事故防止、


不審者侵入への対応、


誘拐や暴力などの犯罪被害の防止


などが含まれます。



★交通安全


登下校時をはじめとする、交通事故からの安全です。


通学路の安全確保、


交通ルールの指導、


自転車の安全な利用


などが含まれます。



★災害安全(防災)


地震、


津波、


風水害、


火災、


土砂災害、


原子力災害


などの自然災害・人災からの安全です。


避難訓練、防災教育、避難所としての学校の機能などが含まれます。



危機管理について語る際、この三領域を念頭に置いておくと、危機の全体像を捉えた回答ができます。


学校安全は、これら三領域を、


「安全教育」


「安全管理」


「組織活動」


という三つの取組を通して、総合的に進めるものとされています。



2.危機管理マニュアルと法的根拠



学校における危機管理を語るうえで、押さえておくべき法的根拠があります。


それは、「学校保健安全法」です。


学校保健安全法に基づき、すべての学校は、「危険等発生時対処要領」、すなわち危機管理マニュアルを作成することが義務づけられています。


このマニュアルは、危機が発生した際に、教職員が円滑かつ的確な対応を図るためのものです。


文部科学省は、各学校のマニュアル作成を支援するため、「学校の危機管理マニュアル作成の手引」を作成・公表しています。


この手引では、危機管理を、時間軸に沿って次の三段階で整理しています。



★事前の危機管理


危機を未然に防ぐための、平常時からの取組です。


施設・設備の安全点検、


通学路の点検、


避難訓練、


安全教育、危機管理体制の整備、


ヒヤリ・ハット事例の共有


などが含まれます。



★個別(発生時)の危機管理


危機が実際に発生したときの、緊急対応です。


子どもの安全確保、


避難誘導、


救急対応、


関係機関への通報、


保護者への連絡


などが含まれます。



★事後の危機管理


危機が収束した後の対応です。


心のケア、


原因の究明、


再発防止策の検討、


保護者・地域への説明、


教育活動の再開


などが含まれます。



面接で危機管理を語る際、


「事前・発生時・事後の三段階で、危機管理を捉えることが大切だと考えています」


と触れられると、体系的な理解を示せます。



3.「備える」ことの重要性



危機管理で最も重要な考え方は、「危機は起こりうるものとして、平常時から備える」ということです。


危機管理というと、危機が起きたときの対応を想像しがちですが、実際には、事前の備えが最も重要です。


なぜなら、危機が発生した瞬間に、冷静に的確な判断を下すことは、極めて難しいからです。


平常時から、何が起こりうるかを想定し、どう対応するかを準備し、訓練を重ねておくことで、いざというときに、子どもの命を守る行動が取れます。



具体的な「備え」には、次のようなものがあります。



危機管理マニュアルの内容を、教職員一人ひとりが理解しておくこと、


避難訓練を、実効性のある形で繰り返し行うこと、


施設・設備の安全点検を定期的に行うこと、


ヒヤリ・ハット事例を教職員間で共有し、事故を未然に防ぐこと、


緊急時の連絡体制、役割分担を明確にしておくこと



などです。



特に、避難訓練については、「ただ形式的に行う」のではなく、さまざまな状況を想定した、実効性のある訓練にすることが重要です。


地震が休み時間に起きたら、登下校中に起きたらなど、多様な場面を想定した訓練が、実際の危機での対応力を育てます。



面接では、「危機は起こりうるものとして、平常時から備え、訓練を重ねることが、子どもの命を守る基盤になると考えています」という認識を示してください。



4.発生時の危機管理で大切なこと



実際に危機が発生したときの対応で、押さえておくべき点を整理します。



★子どもの命と安全を最優先する


危機発生時、何よりも優先されるのは、子どもの命と安全です。


すべての判断は、子どもの安全確保を最優先に行います。



★冷静かつ迅速に行動する


危機発生時には、パニックに陥らず、冷静に、しかし迅速に行動することが求められます。


日頃の訓練と備えが、この冷静な行動を支えます。



★組織として対応する


危機管理は、教員一人で対応するものではありません。


学校全体が、明確な役割分担のもとで、組織として対応します。


情報を一元化し、管理職の指揮のもとで、全教職員が連携して動きます。



★正確な情報を収集・共有する


危機発生時には、情報が錯綜しがちです。


窓口を一本化し、正確な情報を収集・整理・共有することが、適切な対応の前提となります。



★関係機関と連携する


警察、消防、医療機関、教育委員会など、関係機関への速やかな通報・連絡が必要です。


学校だけで抱え込まず、関係機関と連携して対応します。



5.事後の危機管理と心のケア



危機が収束した後の対応も、極めて重要です。


特に、子どもや教職員の「心のケア」は、見落とされがちですが、欠かせない取組です。



事件・事故、災害などを経験した子どもは、強い不安、恐怖、ストレスを抱えることがあります。


こうした子どもの心の状態に気づき、スクールカウンセラーなどの専門職と連携して、適切な心のケアを行うことが必要です。


教職員自身も、危機対応で大きな負担を負いますので、教職員へのケアも忘れてはなりません。


また、危機が起きた後には、原因を究明し、再発防止策を検討することが求められます。


学校管理下における事故などについては、「学校事故対応に関する指針」に基づく調査を行うことが示されています。


起きてしまった危機から学び、次の危機を防ぐ、この姿勢が、事後の危機管理の核心となります。



6.身近な危機への日常的な配慮



危機管理は、大規模な災害や事件だけを指すものではありません。


日常の学校生活の中にも、子どもの安全を脅かす危機は潜んでいます。


若手教員が特に意識すべき、身近な危機への配慮を整理します。



★食物アレルギーへの対応


食物アレルギーは、命に関わる重大な問題です。


アレルギーを持つ子どもの情報を組織で共有し、給食での誤食を防ぎ、アナフィラキシーが起きた際の対応(エピペンの使用を含む)を、全教職員が理解しておく必要があります。



★熱中症の予防


近年、熱中症のリスクが高まっています。


運動時、屋外活動時の体調管理、水分補給、暑さ指数の確認など、日常的な予防が求められます。



★水泳・運動・実験などの事故防止


水泳の授業、


体育の授業、


運動部活動、


理科の実験など、


事故のリスクが高い活動では、特に慎重な安全管理が求められます。



★頭頸部外傷などへの注意


運動中の頭部や頸部の外傷は、重大な結果を招くことがあります。


組体操、


跳び箱、


運動部活動


などでの安全配慮が重要です。



こうした身近な危機に、日常的に目を配ることが、危機管理の第一歩となります。


「重大な危機への備えとともに、日常に潜む身近な危機にも、細やかに目を配っていきたい」という視点を持ってください。



7.1分で語るための構成



危機管理について1分で語る場合、伝えられる文字数は300字から320字となります。次の構成で組み立ててください。



第一文で、危機管理の基本姿勢を示します。


「子どもの命と安全を守ることは、教師の最も基本的な責務であり、危機は起こりうるものとして、平常時から備えることが重要だと考えています」



第二文で、三段階の枠組みに触れます。


「事前の備え、発生時の的確な対応、事後の心のケアという三段階で、危機管理を捉えています」



第三文から第四文で、組織的対応と具体的配慮に触れます。


「危機への対応は、教員一人ではなく、学校全体で組織的に行うものだと理解しています。避難訓練を実効性のあるものにすることや、食物アレルギー、熱中症など、日常に潜む危機への配慮も大切にします」



最後の一文で、決意を示します。


「子どもが安心して過ごせる学校を支える教師を目指していきます」



この構成であれば、基本姿勢、三段階の枠組み、組織的対応、決意という流れが自然に成立し、面接官に危機管理の本質を理解している人物だと伝わります。



8.大学生らしく語るために



大学生のみなさんが危機管理について語るときの心構えをお伝えします。


大学生は、まだ学校の危機管理の実務を担った経験がありません。


そのため、危機管理について語る際は、知識の枠組みを正しく押さえたうえで、「現場で学び、備えていく姿勢」を中心に据えることが、自然で説得力のある語りになります。



危機管理は、教員にとって、見過ごされがちですが極めて重要な責務です。


大学生のうちは、「楽しい授業」「子どもとの関わり」といった、教育の魅力的な側面に関心が向きがちで、危機管理への意識が薄くなりやすい傾向があります。


しかし、子どもの命を預かるという、教師の仕事の根本的な重さを理解していることを、面接で示すことが大切です。


「教師は、子どもの命を預かる仕事であり、安全を守ることは最も基本的な責務だと考えています」


という認識を、自分の言葉で語れるようにしてください。



教育実習で、避難訓練や安全指導の場面を見た経験があれば、その気づきを語りに織り込むと、説得力が増します。


また、


防災ボランティア、


応急手当の講習受講、


地域の防災活動への参加


など、安全に関わる経験があれば、それを根拠として語ることもできます。



大学生が陥りやすい姿勢として、「自分一人で子どもを守る」という、過度な個人的使命感があります。


しかし、危機管理は、組織として行うものです。


一人の教師が、すべての危機に一人で対応することは不可能です。


「学校全体で、組織として、子どもの安全を守る。


その一員として、自分の役割を果たす」という、組織的な視点を持ってください。



そして、新任のうちは、まずその学校の


危機管理マニュアル、


避難経路、


緊急時の役割分担、


アレルギーを持つ子どもの情報


などを、しっかり理解することから始まります。



「赴任したら、まず学校の危機管理体制を理解し、先輩の先生方に学びながら、子どもの安全を守る一員としての役割を果たしていきたい」



という姿勢を、面接の場でも示してください。



危機管理は、子どもの命を守る、教師の最も根本的な責務の一つです。


危機を起こさないための備え、起きたときの的確な対応、起きた後の丁寧なケア、このすべてに、組織の一員として誠実に向き合う姿勢が、現代の教師に求められます。


みなさんが、子どもの安全を守れる教師として、面接の場に立てることを願っています。



次回は、いよいよ最終回、「場面指導」について、合格をつかむための具体的なアドバイスをお届けします。


一緒に取り組んでいきましょう。




河野正夫




 
 
 

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