4.大学在学中は、合格の最大のチャンス。 大学生の教採面接・合格術
- 河野正夫
- 2025年11月17日
- 読了時間: 8分
大学生の教採面接・合格術
4.大学在学中は、合格の最大のチャンス。
★はじめに
教員採用試験を受験する大学生の中には、「今年は準備が不十分だから、来年にしよう」「卒業してから講師をしながら受験した方が有利ではないか」と考える人がいます。
しかし、この判断は大きな機会損失につながる可能性があります。
大学在学中、特に四年生の時期は、教員採用試験において最大のチャンスであると言えます。
この時期を逃すことは、その後の人生において大きな回り道を意味することになります。

★時間的な優位性
大学在学中、特に四年生は、教員採用試験の準備に専念できる最後の時期です。
大学四年生の前期までに、ほとんどの学生は卒業に必要な単位を取得し終えています。
授業は比較的余裕があり、試験勉強に集中できる時間が十分に確保できます。
一方、卒業後に講師として働きながら受験する場合、状況は大きく変わります。
講師は正規の教員と同じように、毎日授業を担当し、学級運営や校務分掌にも関わります。
放課後は部活動の指導があり、週末も大会の引率などで時間が取られます。
さらに、授業の準備、テストの作成と採点、保護者対応など、業務は多岐にわたります。
こうした忙しい日々の中で、教員採用試験の勉強時間を確保することは極めて困難です。
疲労の中で夜遅くまで勉強することになり、十分な準備ができないまま試験日を迎えることになりがちです。
大学在学中のように、まとまった時間を確保して体系的に学習することは、ほぼ不可能と言えます。
★知識の鮮度
大学在学中は、教職課程で学んだ知識がまだ新鮮な状態です。
教育法規、教育心理学、教育史、各教科の指導法など、教員採用試験で問われる内容は、大学の授業で体系的に学んできたものです。
卒業直後であれば、これらの知識はまだ記憶に定着しており、試験勉強も効率的に進めることができます。
しかし、卒業後に時間が経つと、学んだ知識は徐々に薄れていきます。
講師として現場で働いていても、実務で使う知識は限定的であり、教員採用試験で問われる幅広い理論的知識をすべてカバーするわけではありません。
改めて勉強し直す必要が生じますが、一度忘れた知識を再学習することは、最初に学ぶよりも多くの時間と労力を要します。
また、教育に関する法令や制度は頻繁に改正されます。学習指導要領も定期的に更新されます。
大学で最新の内容を学んだ直後に受験することは、こうした変化に対応する上でも有利です。
★成長可能性への期待
採用側の視点から見ると、大学を卒業したばかりの新卒者には、大きな成長可能性があります。
まだ教員としてのキャリアをスタートさせておらず、これから長い時間をかけて成長していける存在として期待されます。
教育委員会は、即戦力としての能力だけでなく、将来的にどれだけ成長するかという可能性も重視します。
新卒者は、固定的な教育観や指導方法に縛られておらず、柔軟に学び、変化に対応していける存在です。
研修を通じて育成しやすく、その自治体の教育方針に沿った教員に成長させることができます。
一方、卒業後に講師として数年間働いてから受験する場合、すでに現場での経験を積んでいるため、成長可能性という点では新卒者ほどの評価を得られないことがあります。
もちろん、講師経験を通じて成長していることは事実ですが、採用側から見れば、「これから育てる」という観点では、新卒者の方が魅力的に映ることもあります。
★新卒一括採用の文化
日本の雇用システムにおいて、新卒一括採用は依然として主流です。
これは民間企業だけでなく、教員採用においても同様です。
多くの教育委員会は、毎年一定数の新卒者を採用することを前提に、採用計画を立てています。
新卒者を優先的に採用する背景には、組織の若返りと新陳代謝を促すという意図があります。
学校現場に新しい風を吹き込み、若い世代の感覚や最新の知識を取り入れることは、学校教育の活性化につながります。
このため、教育委員会は新卒者の採用枠を一定程度確保しており、大学在学中の受験者には有利な状況があります。
卒業後に時間が経つと、この新卒枠からは外れることになります。
もちろん、既卒者や講師経験者も受験できますが、新卒者と同じ土俵ではなくなります。
講師経験者の方が合格しやすいというのは事実に反します。
★複数受験の可能性
大学在学中であれば、複数の自治体を受験することが比較的容易です。
講師として働いている場合、勤務先の自治体以外を受験することは日程的にも心理的にも困難です。
しかし、大学生であれば、時間的な制約が少なく、複数の自治体の試験日程を調整して受験できます。
複数の自治体を受験することは、合格の可能性を高めるだけでなく、自分に合った自治体を見つける機会にもなります。
それぞれの自治体の教育方針、学校の雰囲気、求める教員像を比較検討し、最も自分に適した場所を選ぶことができます。
また、仮に第一志望の自治体で不合格になっても、他の自治体で合格すれば、教員としてのキャリアをスタートさせることができます。
一度教員として採用されれば、その後のキャリア形成の選択肢は広がります。
★心理的な負担の少なさ
大学在学中の受験は、心理的な負担が比較的少ないと言えます。
仮に不合格になっても、「初めての挑戦だったから」と受け止めることができ、翌年以降も挑戦する選択肢があります。
周囲からのプレッシャーも、講師として働きながら受験する場合に比べれば軽いものです。
一方、講師として働きながら受験する場合、職場の同僚や管理職も結果を気にしており、不合格になった場合の心理的な負担は大きくなります。
何年も続けて不合格になると、自信を失い、受験すること自体が苦痛になることもあります。
大学在学中は、まだ教員としてのキャリアがスタートしていないため、失敗を恐れずに挑戦できる時期です。
この心理的な余裕は、面接での自然な受け答えにもつながります。
★生活面での安定
大学在学中は、多くの学生が親元で暮らしているか、学生としての生活リズムを保っています。
経済的にも、親の支援や奨学金、アルバイトなどで何とか成り立っている状態です。
この時期は、生活面での大きな変化がなく、試験勉強に集中できる環境があります。
卒業後に講師として働き始めると、生活は大きく変わります。
一人暮らしを始める人もいれば、経済的に自立する必要が生じます。
仕事の責任も重くなり、日々の生活を維持するだけで精一杯という状態になりがちです。
こうした環境の変化は、試験勉強に集中する余裕を奪います。
★情報とサポートの充実
大学在学中は、教職課程の教員や就職支援課など、様々なサポートを受けることができます。
教員採用試験に関する情報も、大学を通じて入手しやすい環境があります。
同じ目標を持つ仲間も身近にいて、互いに励まし合いながら準備を進めることができます。
卒業後は、こうしたサポートや情報にアクセスすることが難しくなります。
講師として働く学校では、教員採用試験の準備を支援する体制は整っていません。
孤独に勉強を続けることになり、モチベーションを維持することも困難になります。
★後回しにするリスク
「今年は準備不足だから来年にしよう」という判断は、一見合理的に思えます。
しかし、実際には来年になっても十分な準備ができる保証はありません。
むしろ、卒業後の生活の変化や仕事の忙しさによって、準備はさらに困難になることが多いのです。
教員採用試験は、準備が完璧になることはありません。
どれだけ勉強しても、不安は残ります。
重要なのは、完璧を目指すことではなく、今できる最善の準備をして挑戦することです。
大学在学中という最も有利な条件の時期に挑戦しないことは、最大のチャンスを逃すことになります。
また、一度受験を見送ると、心理的なハードルが上がります。
「来年こそは」というプレッシャーが増し、かえって良い結果につながらないこともあります。
大学在学中に一度挑戦し、仮に不合格になっても、その経験を次に活かすことができます。
★結論
大学在学中は、教員採用試験において最大のチャンスです。
時間的な余裕、知識の鮮度、成長可能性への期待、新卒一括採用の文化、複数受験の可能性、心理的な負担の少なさ、生活面での安定、情報とサポートの充実。
これらすべての条件が揃っているのは、この時期だけです。
卒業後に講師として働きながら受験する道も決して否定されるものではありませんが、大学在学中に比べれば、はるかに困難な道となります。
最大のチャンスを逃さず、この時期に全力で挑戦することが、教員としてのキャリアを早期にスタートさせる最善の選択です。
迷っている時間があるなら、その時間を準備に充ててください。
完璧でなくても構いません。
今のあなたにできる最善を尽くして、このチャンスを掴んでください。
河野正夫


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