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第9回:<大学生のための面接無料講座> 「自分の長所・短所」を言語化するための演習法

  • 執筆者の写真: 河野正夫
    河野正夫
  • 2025年6月14日
  • 読了時間: 5分

抽象にとどまらず、面接官が納得する“根拠ある自己理解”とは?



はじめに


長所・短所の語りが「面接の実力」を測る



「あなたの長所と短所を教えてください」という問いは、教員採用試験の面接において非常に高頻度で出題される定番の質問です。


にもかかわらず、最も準備不足が表れやすい項目でもあります。


多くの受験者は、「明るいところです」「少し慎重なところです」といった抽象的な表現にとどまり、根拠となるエピソードや、教職への接続が不十分なまま回答してしまいます。


これでは面接官にとって“実感のない人物像”に映ってしまい、評価が伸び悩む原因になります。


本稿では、自分の長所・短所を「具体的・論理的・教育的」に語るための演習方法を紹介します。


自己理解を深め、自分という人間を“伝わる構造”で言語化する技術を身につけましょう。





1.面接官がこの質問で見ている3つのポイント



この質問は、一見すると単なる自己PRの延長のように思われがちですが、実は人物評価の核心に関わる意図を含んでいます。


以下の3つの観点が評価基準になります。



(1)自己理解の深さ


自分を客観的に分析できているか。思いつきではなく、内省に基づいて語られているか。



(2)行動と結びついているか


その長所・短所が実際の行動や出来事にどう表れているか。説得力あるエピソードが語られているか。



(3)教職適性との関連


その長所は教育現場でどのように活かせるか。短所はどのように補い、成長へとつなげようとしているか。



このように、「自己認識・実践経験・成長志向」の3要素が問われていることを理解することが、対策の第一歩となります。



2.長所・短所を“語れる”形に変える4つの視点



単なる形容詞ではなく、「語れる特性」にするためには、以下のような視点で長所・短所を抽出・整理していくことが効果的です。



【視点1】再現可能な行動パターンであるか?


→「優しい」ではなく、「相手の話をじっくり聴き、言葉を選んで対応できる」



【視点2】具体的な場面と結びついているか?


→「慎重」なら、「○○のプロジェクトで、事前の下調べに時間をかけて精度を高めた」という形で表現する



【視点3】教育現場における意味があるか?


→「周囲と協調できる」は、「学年団で協力して学級経営に取り組む」などに接続可能



【視点4】短所に“改善の努力”が見えるか?


→「優柔不断」なら、「選択に時間がかかる分、最近は事前に優先順位を明確にして対応している」といった改善の兆しが必要です



3.PREP+STAR法で語る構成フレーム


面接で語る際には、PREP法(主張・理由・例・結論)とSTAR法(状況・課題・行動・結果)を組み合わせた以下の構成が有効です。



【長所の語りフレーム】



P(Point):


私の長所は○○です



R(Reason):


△△のような場面で発揮されてきたからです



E(Example):たとえば、□□の活動で~という対応をしました



P(再提示):


この力は、教員として子どもや保護者と関わる際にも活かせると考えています



【短所の語りフレーム】


P(Point):


私の短所は○○なところです



R(Reason):


たとえば、△△の場面では〜という課題がありました



A(Action):


そのため、最近は□□という工夫を意識しています



P(再提示):


教職に就くうえでも、この特性を認識し、補完しながら成長していきたいと考えています



4.実践モデル:長所・短所の模範回答例



質問:「あなたの長所と短所を教えてください」



私の長所は「相手の話を丁寧に聴く姿勢」です。大学での学習支援ボランティアでは、子どもが話し終わるまで口を挟まずに聴くことを意識し、本人が安心して話せる関係を築くことができました。


また、子どもが話した内容を一度自分の言葉で確認するようにしていたため、「先生と話すと、気持ちが整理できる」と言ってもらったことがあります。このように相手に寄り添う姿勢は、教員として児童生徒や保護者と信頼関係を築く上で大切な資質だと考えています。


一方で、私の短所は「行動に移すまでに時間がかかること」です。特に新しいことに挑戦するときに慎重になり、チャンスを逃してしまうことがありました。


そこで最近は、「完璧でなくてもまず一歩踏み出す」ことを意識し、たとえばゼミのプレゼンではあえて早めに準備を始め、意見を周囲にぶつけながらブラッシュアップするようになりました。教員という職務は即応力も求められるため、自分の特性を理解しつつ、柔軟に対応できるよう努力を続けたいと考えています。



このように、長所と短所が一貫した人物像の中で語られ、具体的エピソードと教職接続がなされているかが、面接評価の鍵となります。




5.実践トレーニング:


自己特性を掘り起こす3つの演習



● 演習1:他者からのフィードバックを集める


「あなたから見て私の長所・短所は?」と身近な友人・教員・家族に尋ね、第三者視点の言葉を記録します。



● 演習2:エピソードマッピング


長所・短所と思われる特性ごとに、「その特徴が表れた出来事」を紙に書き出してみましょう。


どんな状況だったか?


何を考え、どう行動したか?


結果どうなり、自分は何を学んだか?


これらの材料が、語りの「根拠」になります。



● 演習3:教職適性への接続ワーク


抽出した長所・短所に対して、「この特性は教師にどう役立つか/どう補完するか」を言語化してみます。



おわりに


自己理解は「語りの軸」をつくる



「自分の長所・短所を教えてください」という質問は、表面的には簡単に思えるかもしれません。


しかし、実際には自己分析・経験の再構成・教育的視座という複数の力が問われる、高度な問いです。


自分の特徴を、具体的かつ教育的に語れること。


それは、他のあらゆる質問においても一貫性をもたらす「語りの軸」となります。


自己理解の深さは、面接官にとって「この人は現場に出ても自分を客観的に捉え、学び続けられる人だ」と判断する基準になります。


経験に裏打ちされた長所と、成長意欲に満ちた短所。


これをバランスよく語れる人が、教職にふさわしい人物と評価されます。



次回予告


第10回:「理想の教師像」を語る上での注意点と差別化の工夫


抽象的な“いい先生”では伝わらない。「現実と理想の接点」を意識した、具体的かつ教育的な教師像の語り方を考察します。




河野正夫




 
 
 

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