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第8回:<大学生のための面接無料講座> 「学生時代に力を入れたこと」から導く適性の証明

  • 執筆者の写真: 河野正夫
    河野正夫
  • 2025年6月13日
  • 読了時間: 5分

「何をやったか」ではなく「なぜ・どう・何を得たか」が問われる時代へ



はじめに


「活動の羅列」では評価されない時代



教員採用試験の面接において、「学生時代に力を入れたことを教えてください」という質問は非常に高頻度で出題されます。


大学生活での経験が、教育現場での適性や姿勢にどのように結びついているのかを、面接官はこの質問を通して見極めようとしています。


しかし、残念ながら多くの受験者が、単に「サークル活動を頑張った」「アルバイトを続けた」といった事実の羅列にとどまり、「なぜそれに取り組んだのか」「その中でどのように成長したのか」「教職とどうつながるのか」といった論理的説明が欠けてしまいます。


本稿では、大学生活のさまざまな経験を、教員としての資質・能力に結びつけて語るための思考法・構成法・トレーニング方法を解説します。





1.面接官がこの質問で見ていることとは?



「学生時代に力を入れたこと」の質問には、単なる思い出話ではなく、次の3つの評価視点が含まれています。



(1)主体性


自ら課題を見つけ、行動し、解決しようとした経験があるか。



(2)課題対応力・継続力


困難に対してどのように向き合い、どのように工夫して乗り越えたか。



(3)教職適性への接続


その経験から得た力が、教師という職業にどう活かせるか。



つまり、活動の「内容」自体よりも、活動を通して培われた資質・姿勢・学びが評価の中心です。


これは、「コンピテンシー(行動特性)」を重視する現代の人物評価の原則に基づいています。



2.「経験」を「資質」に変換する思考の流れ



ここでは、学生時代の経験を「教職の適性」に変換する思考の手順を、次の4ステップで示します。



【STEP1】具体的な経験を選ぶ


サークル、アルバイト、ボランティア、ゼミ活動など、自分が時間と意志を注いだ経験を一つ選びます。



※重要なのは「華やかさ」ではなく「自分が向き合った姿勢」です。



【STEP2】その経験に取り組んだ理由(価値観)を言語化


「なぜそれに力を入れたのか?」という問いに答えることで、個人の価値観や行動原理が見えてきます。


例:「自分の苦手を克服したかった」「誰かの支えになりたかった」など



【STEP3】課題・工夫・乗り越えた過程を描写


努力の中でぶつかった困難や、それをどのように乗り越えたかの過程が、最も評価されるポイントです。


例:「チームメンバーと対立したが、対話によって関係を再構築した」



【STEP4】その経験から得た力を教職に接続


最後に、「この経験で培った○○力は、教師としての△△場面で活かせると考えている」と接続させることで、面接全体の一貫性が生まれます。



3.PREP×STAR法で語る:「構造」で説得力を生む



上記の思考を整理し、面接で語る際には、PREP法とSTAR法を組み合わせた構成が効果的です。



P(Point):


私が学生時代に力を入れたのは〜です



S(Situation):


その活動の概要・背景



T(Task):


その中で直面した課題・目標



A(Action):


自分がとった具体的な行動



R(Result):


その結果どうなったか/どんな学びを得たか



P(Point再提示):


この経験を通して得た力は〜であり、教員として〜に活かしたいと考えています



このように語れば、経験が単なるエピソードではなく、「教職適性を証明する材料」として明確に伝わります。



4.実践モデル:模範回答例



質問:「学生時代に力を入れたことを教えてください」



私が学生時代に力を入れたのは、地域の放課後学習支援ボランティアです。


その中で特に印象に残っているのは、不登校気味だった中学生の支援を担当したときのことです。当初は無口で目も合わせてくれませんでしたが、毎回必ず「来てくれてありがとう」と声をかけることを続けた結果、次第に話してくれるようになりました。


また、本人が得意な理科を通して成功体験を積ませたことで、通所頻度が増え、自信を取り戻していく様子が見られました。


この経験から、子どもが安心できる人間関係の中で成長すること、そして教師にはその環境を築く力が求められることを学びました。私は教員として、一人ひとりの内面に寄り添い、関係性を通じて学びを支える存在でありたいと考えています。



この回答では、経験の内容(学習支援)を、教職適性(信頼関係構築・観察力・粘り強さ)に変換して語ることができています。



5.大学生活を“語れる経験”に変える工夫



経験がまだ浅い、あるいは語れるものが少ないと感じている人も、次の工夫を通じて“面接で使える経験”へと変えることができます。



● 日々の経験に「問い」を立てて関わる


「これは教育にどうつながるか?」「自分は何に価値を感じたか?」という問いをもつことで、日常の活動が深まります。



● 定期的に自己記録をつける


月に一度、経験・気づき・感情・学びを記録する習慣を持つことで、エピソードが資産になります。



● 教職との接続を意識して活動する


活動を選ぶときに、「これは教員になったときに語れるか?」という視点で選択することで、面接での優位性が高まります。



おわりに


経験を“意味のある物語”に変換する技術



「学生時代に力を入れたこと」という質問は、自己アピールの機会であると同時に、「あなたはどのように考え、どう成長してきたか?」を問う“人物理解”の問いです。


活動の内容よりも、それにどう関わり、何を学び、どんな力を培ったかを語れるかどうかが勝負を分けます。


そして、その力が教育現場でどのように活かされるかを明確に言語化できれば、面接官に強く印象づけることができるでしょう。


面接において、経験をただ話すだけでは足りません。


経験を“意味のある物語”に変換する技術こそが、教職適性を証明する最大の鍵です。



次回予告


第9回:「自分の長所・短所」を言語化するための演習法


抽象的な表現にとどまりがちな「強み・弱み」を、根拠あるエピソードと共に構造的に語る方法を紹介します。


面接官が納得する自己理解とは何かを探ります。




河野正夫




 
 
 

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