第7回:<大学生のための面接無料講座> 「あなたの教育観を教えてください」の構築法
- 河野正夫
- 2025年6月12日
- 読了時間: 5分
志望動機とつながる“語れる教育観”をいかに設計するか?
はじめに
「教育観」とは“語れる信念”である
面接試験で頻出する質問の一つに、「あなたの教育観を教えてください」があります。(聞かれ方は様々です。)
一見、志望動機と似ているようにも思えますが、教育観はより深く・広く・体系的に「教育そのものに対する価値観・信念・実践方針」を問うものです。
「子どもを大切にしたい」「安心できる教室をつくりたい」といった、抽象的で感情的な語りだけでは、面接官に印象を残すことはできません。
むしろ、それが“誰にでも言えること”に見えてしまい、評価に結びつかないことすらあります。
本稿では、教育観を構造的に捉え、自分の経験と教育理論を結びつけて語るための方法論を解説します。
志望動機と教育観を一貫させ、他の受験者と差をつける視座を確立しましょう。

1.教育観とは何か
“教育をどう捉えるか”という視座
教育観とは、「教育とは何のためにあるのか」「教師とはどのような役割を果たすべきか」「子どもにどう育ってほしいのか」などに対する、自分なりの価値観とビジョンの総体です。
以下の3つの視点から捉えると、より明確になります。
(1)教育目的観
「教育を通して、子どもにどのように育ってほしいか」
例:自己肯定感を育てたい/社会性を伸ばしたい/生き抜く力を身につけてほしい
(2)教師像観
「教師として、どのような姿勢で子どもと関わるべきか」
例:傾聴と共感を大切にする存在/知的好奇心を引き出す伴走者
(3)指導実践観
「どのような方法・方針で教育を行うべきか」
例:個別最適な学びを実現する授業/失敗を肯定する環境づくり
これらが一貫した論理で接続されていれば、信頼性のある教育観として面接官に伝わります。
2.よくある“伝わらない教育観”の例
面接で失点につながる教育観には、以下のような特徴があります。
● 抽象的すぎる
「子どもが好きなので、関わりたい」
→“好き”という感情は重要ですが、それがどのような教育方針や実践に結びつくのかが語られていないと、評価の対象にはなりません。
● 理想論で終わっている
「すべての子どもに平等な教育をしたい」
→“平等”とは何を意味するのか?現実の多様性にどう対応するのか?という実践の裏付けが必要です。
● 他者の言葉をなぞっている
「フィンランドの教育に感銘を受けました」
→その内容を自分の体験や価値観と結びつけて語れない場合、単なる知識披露で終わってしまいます。
3.語れる教育観を構築する3ステップ
評価される教育観には、「構造」「経験」「理論」の3要素が統合されています。
以下のステップで、自分だけの教育観を構築しましょう。
【STEP1】原体験を掘り起こす
自分が「教育」について深く考えた体験を整理します。
以下のような問いが役立ちます:
☆子どもとの関わりで印象に残っているエピソードは?
☆教育実習やボランティアで悩んだ経験は?
☆自分が生徒として経験した教師の姿にどう影響されたか?
【STEP2】価値観を抽出する
その体験から自分が「教育において何を大切にしたいか」を言葉にします。たとえば:
☆一人ひとりの自己肯定感を育む教育がしたい
☆安心して間違えられる教室をつくりたい
☆学びの面白さに出会える授業を実現したい
この時点ではまだ抽象的でかまいません。
【STEP3】教育理論と実践方針を接続する
教育学的な知識や授業論・指導理論と自分の価値観を接続して、実際にどのような指導を行いたいかを展望します。
たとえば:
☆選択の自由がある課題提示を行いたい
☆子どもの発達過程を意識し、支援のタイミングを調整する授業を設計したい
☆学級経営で、肯定的な人間関係づくりを大切にしたい
このように、実体験→価値観→理論→実践の流れが明確であれば、面接官にとって納得感のある教育観となります。
4.語りの構造テンプレート:
PREP×実践型教育観
面接で語る際は、次のようなテンプレートで構成することで、論理的かつ実践的な語りができます。
P(Point):
私の教育観は「○○」を重視する教育です。
R(Reason):
△△という経験から、それが子どもにとって重要だと考えたからです。
E(Example):
たとえば、□□のボランティアで、××という出来事がありました。
P(Point再提示):
この経験を通じて、私は教育において○○が不可欠だと確信しました。
実践方針:
そのために私は、教師として◎◎な教育を実践していきたいと考えています。
5.実践例:教育観の語りモデル
質問:「あなたの教育観を教えてください」
私は「安心して失敗できる学びの場」を大切にする教育を目指しています。
きっかけは、学習支援ボランティアで関わったある小学生との出会いでした。その子は、勉強が苦手という思い込みから、最初は発言をほとんどしませんでした。しかし、私が何度も「間違っても大丈夫」「考えたことを聞かせてくれるのがうれしい」と伝え続けたことで、少しずつ発言の頻度が増え、ある日「わかってきたかも」と笑顔で言ってくれました。
この経験から、子どもが自分の意見を言える心理的安全性が、学びにとって欠かせないと実感しました。私は今後、授業の中で子どもの挑戦を肯定し、互いに認め合える学級文化を育てていきたいと考えています。
このように、具体→抽象→理論→実践の流れを意識することで、「語れる教育観」として説得力を持たせることができます。
おわりに
教育観は、面接全体を貫く“信念の軸”となる
教育観は、単独の質問に答えるための素材ではありません。
むしろ、志望動機・授業観・指導観・子ども観など、すべての面接回答の根幹を支える“軸”になります。
だからこそ、テンプレート的な言い回しではなく、自分の体験と価値観に根ざした教育観を構築することが必要です。
面接官に「この人には明確な教育観があり、それに基づいて現場で動けるだろう」と感じさせられれば、合格への道は大きく開かれます。
次回予告
第8回:「学生時代に力を入れたこと」から導く適性の証明
「何をやったか」ではなく「なぜ・どのように・何を得たか」が問われる時代です。
大学生活の経験を、教職の資質に変換して語る技術を詳しく解説します。
河野正夫



コメント