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第6回:<大学生のための面接無料講座> 「なぜ教員になりたいのですか?」に論理で答える技術

  • 執筆者の写真: 河野正夫
    河野正夫
  • 2025年6月11日
  • 読了時間: 5分

最頻出質問に“感情”ではなく“構造”で答える方法とは?



はじめに


最大の関門、「志望動機」をどう超えるか



教員採用試験の面接において、ほぼすべての自治体で出題される最頻出質問が「なぜ教員になりたいのですか?」という問いです。


一見するとシンプルな質問ですが、評価される回答を行うためには極めて高度な思考と構成力が求められます。


多くの受験者が、「子どもが好きだからです」「誰かの役に立ちたいからです」といった感情的・抽象的な語りに終始してしまい、面接官に「説得力がない」「準備不足」と判断されてしまいます。


本稿では、志望動機の回答を「論理的に構成する」ための思考法と構造的フレーム、そして実践的な例文とともに、「なぜ教員なのか?」を明確に語れる受験者になるための戦略を解説します。





1.なぜ「志望動機」の回答が難しいのか?



この問いが難しい理由は、以下の3つに集約されます。



(1)誰にでも当てはまりそうな回答になりがち


「子どもが好き」「教えるのが楽しい」といった内容は、多くの受験者が口にする言葉です。


それゆえに、自分だけのオリジナリティが伝わりづらいという問題があります。



(2)感情レベルで止まってしまう


原体験に基づくエピソードは重要ですが、それが教育的意味とつながっていないと、単なる「個人的感想」にとどまってしまいます。



(3)教育実践や社会的意義との接続が弱い


面接官は「現場に立ったときに、この人はどのように働くのか」をイメージしようとします。


そこに教育課題・理念とのつながりが見えないと、評価にはつながりません。



2.評価される「志望動機」の条件とは?


評価される志望動機には、次の3つの要素が一貫した流れの中で語られている必要があります。



① きっかけ(動機の源泉)


「なぜそう思うようになったか」を、できるだけ具体的な経験に基づいて語ることが重要です。



② 教育的価値の理解


「自分が教育にどのような価値を見出しているのか」を、教育観・理念との接続を通じて明確にする必要があります。



③ 今後の展望


「だからこそ自分は教員として、現場でこのような教育を実践したい」という、志望職種への適合性と展望が必要です。



この三要素が論理的に接続されていると、面接官は「この人は考え抜かれている」と感じ、高い評価につながります。



3.構造的に語るためのフレーム:PREP+PE構成



志望動機を論理的に語るためには、以下のようなフレームが有効です。


【PREP+PE】


P(Point):


私が教員を志望する理由は〜です。



R(Reason):


なぜなら〜という経験/背景があるからです。



E(Example):


実際に〜という出来事がありました。



P(Point)再提示:


だから私は教員を目指しています。



PE(Projection & Education):


今後は〜のような教育を実践したいです



この構成を意識することで、「主張→根拠→経験→結論→展望」という論理の流れが整理され、説得力ある語りが可能になります。



4.実践例:


志望動機の論理的回答モデル



以下に、PREP+PE構成を活用した実践的な回答例を示します。




質問:


「なぜ教員になりたいのですか?」



回答:


私が教員を志望するのは、子どもたち一人ひとりが「自分には価値がある」と実感できるような教育に携わりたいと考えているからです。


きっかけは、学習支援のボランティアで出会った中学生の男の子との関わりでした。彼は最初、他者との関わりを避け、自分に自信がない様子でしたが、毎週声をかけ続け、小さな成功体験を積み重ねた結果、笑顔で「先生、また来てくれる?」と言ってくれたのです。


この経験から、教育には子どもの自己肯定感を育む力があると実感し、そのような環境を作る存在として、私は教師になりたいと強く思うようになりました。


将来は、失敗や弱さを肯定的に受け止められる教室づくりを目指し、子どもたちが安心して挑戦できる学びの場を提供していきたいと考えています。



このように、具体的な経験を通じて、教育の意義を深く理解し、それを自分の将来像へとつなげる語りができれば、面接官からの評価は格段に高まります。



5.自分だけの志望動機を見つけるための実践課題



論理的な志望動機を構築するには、自分自身の内面を深く掘り下げることが必要です。


以下のようなワークに取り組むことで、独自性と説得力のある内容を見出すことができます。



● ワーク1:


原体験を3つ書き出す



子どもと関わった中で心が動いた経験


教師に影響を受けた出来事


教育以外の場で「教えること」に喜びを感じた体験



● ワーク2:


その経験から得た価値観を言語化



その体験から、どのような教育の価値を感じたか


その価値は、現代の教育にどのような意味を持つか



● ワーク3:


その価値観をどう現場で実践したいか



教師として、どのような教育実践を行いたいか


どのような学級づくり・授業づくりを目指すか


これらを統合して整理すると、自分だけの論理的かつ一貫性のある志望動機が完成します。



おわりに


志望動機は「自己理解の完成形」である



「なぜ教員になりたいのか?」という問いは、単なる導入質問ではなく、自分の価値観・経験・教育観を総合的に問う“人物理解”の問いです。


面接官は、そこに「一貫した人物像」が見えるかどうかを観察しています。


したがって、感情的な好意や漠然とした理想論では不十分です。


大切なのは、経験を言語化し、価値観として昇華し、それを行動計画に結びつける論理的展開です。


「自分はなぜ、教職を目指すのか?」という問いを、自分自身に対して徹底的に問い直すこと。


それが、合格への確かな一歩となります。



次回予告



第7回:


「あなたの教育観を教えてください」の構築法



志望動機と密接に関連する「教育観」は、どのように準備し、どう語るべきか?


構造的思考と教育理論を交えた語り方のフレームを紹介します。




河野正夫



 
 
 

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