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第5回:<大学生のための面接無料講座> 現場を知る力を養う:教育実習・ボランティアの活かし方

  • 執筆者の写真: 河野正夫
    河野正夫
  • 2025年6月10日
  • 読了時間: 5分

教育実習やボランティアを“語れる経験”に変える戦略とは?



はじめに


「やっただけ」では面接の武器にならない



学生に対する教員採用試験の面接では、教育実習やボランティア活動に関する質問が定番です。


面接官は、「現場に出たときに本当に対応できるか」を見極めるために、受験者の実体験を重視します。


ところが、多くの受験者が実習やボランティアを「履歴書に書ける通過儀礼」として捉えてしまい、面接では「楽しかった」「勉強になった」といった曖昧な感想しか語れないまま本番を迎えてしまいます。


教育実習やボランティアは、受動的な参加では意味を持ちません。


現場経験は、戦略的に準備し、主体的に関わり、教育的に意味づけて初めて、面接において評価される“語れる武器”へと昇華します。


本稿では、教育実習・ボランティアを最大限に活用するための視点と記録方法、そして面接での語り方の実践モデルを提示します。





1.「現場経験」が評価される理由



教員採用試験の面接官の多くは、現職の管理職経験者や教育委員会関係者です。


彼らが面接で確認したいのは、単なる理想論ではなく、具体的な現場を見て、何を感じ、何を学び、どう成長したかという「リアルな教育理解力」です。



現場経験を持つ受験者は以下の点で評価されやすくなります:



☆子どもとの距離感が具体的に語れる(抽象論にとどまらない)


☆教員の業務実態を理解している(甘さがない)


☆困難な場面に対して内省的であり、改善意識をもっている


☆教育現場の課題(多忙・多様性・支援の必要性)を自分事として捉えている



つまり、現場を「経験しただけ」の人と、「現場を読み取り、思考し、教育観に接続した人」とでは、面接での語りの深みがまったく異なるのです。



2.教育実習・ボランティアに入る前に押さえるべき3つの視点



教育実習やボランティアを「面接で使える経験」に変えるには、入る前の準備が決定的に重要です。以下の3点を意識して臨みましょう。



(1)テーマをもって入る


漠然と「子どもと関わる」ではなく、「信頼関係はどのように築かれているか観察する」「授業設計における配慮の種類を記録する」など、問いをもって現場に入ることで、見えるものが劇的に変わります。



(2)「子どもを見る」習慣を身につける


教員は「教える」だけではなく、「子どもを読み取る」力が求められます。


表情、言葉、行動の微細な変化を観察し、「なぜそのように振る舞うのか」「どのような背景があるのか」を考える視点を持つことが、面接での説得力ある語りにつながります。



(3)記録を残す


教育実習日誌やボランティア記録は、単なる日報にせず、自分の気づき・疑問・反省・工夫を一言でもよいので毎回書き残しましょう。


数週間後には「自分の教育観の変化」が見える貴重な資料となります。



3.「語れる経験」に変える4つの記録戦略



教育実習・ボランティア中に記録しておくべき視点は以下の4つです。


この記録が、面接での具体的な語りの素材になります。



【1】子どもの言動と自分の気づき


☆子どもが授業に集中していなかったのはなぜか?


☆どのような声かけが子どもの安心感につながっていたか?



【2】教員の対応・指導の工夫


☆担任の先生はどのように学級崩壊を予防していたか?


☆ICTの活用で子どもの理解が深まった場面はあったか?



【3】自分の失敗と内省


☆過剰に介入して子どもの自発性を奪ってしまった経験


☆指導中に緊張してうまく言葉が出なかった場面



【4】教育観に関わる発見


☆「子どもを信じる」とはどういうことか、実際の場面から考えた


☆教師の「聴く力」の重要性を初めて実感した瞬間



これらの記録は、PREP法やSTAR法を用いた面接回答の中で、説得力のある「具体例」として活用できます。



4.面接での語りに活かす方法:実践モデル



では、これらの経験を面接でどのように語ればよいのでしょうか。以下に、具体的な語りのモデルを示します。



質問:教育実習で印象に残った出来事はありますか?


はい。教育実習中、ある発言の少ない児童に対して、授業中に一度も手を挙げなかったことが気になり、放課後にそっと声をかけてみました。その際、「授業の内容はわかっていたけれど、間違えたら恥ずかしいと思った」と話してくれました。私はその子が安心して発言できる環境づくりの大切さを学び、翌日の授業ではその子に目を合わせながら少し簡単な質問を投げかけ、自信を持って答えてもらう工夫をしました。教育とは、子どもの心理的安全を保障することから始まるのだと実感しました。



このように、「観察」→「気づき」→「行動」→「学び」という流れを語ることで、評価されるエピソードになります。



5.ボランティア経験も、立派な教育実践になる



教育実習と比較して、ボランティア活動は「単なる補助的体験」と捉えられがちですが、それは誤解です。


むしろ、自由度が高い分、自分の視点や工夫が評価されやすいというメリットがあります。



☆放課後の居場所支援で、子どもとの信頼関係を時間をかけて築いた経験


☆学習支援活動で、学力差に悩む子どもへの対応方法を試行錯誤した経験


☆外国籍の児童との交流から、多文化共生の難しさを実感した経験



こうした体験は、面接官に「この人はすでに教職者としての視点を持っている」と印象づける絶好の材料になります。



おわりに


現場経験は「材料」ではなく「財産」になる



教育実習やボランティアは、単に「教員になるためにやるもの」ではなく、未来の教育実践の基礎となる貴重な経験の蓄積です。


それをどのような視点で捉え、どう言語化し、どう自己成長につなげてきたかによって、面接官の評価は大きく変わります。


「ただ行った」ではなく、「行って、考えて、語れるようになった」こと。


これこそが、面接で評価される現場経験です。



次回予告


第6回:


「なぜ教員になりたいのですか?」に論理で答える技術

頻出中の頻出、「志望動機」の質問にどう答えるか?


感情や理想論ではなく、構造的かつ実践的に語るためのフレームと戦略を解説します。




河野正夫



 
 
 

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