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第9回 一般教養の「捨て方」と「拾い方」:合格ラインを突破するための科目選択と対策配分

  • 執筆者の写真: 河野正夫
    河野正夫
  • 2025年9月5日
  • 読了時間: 6分

第9回 一般教養の「捨て方」と「拾い方」:合格ラインを突破するための科目選択と対策配分



【大学生のための、教採裏技講座】全20回



1.はじめに



教員採用試験において、一般教養は多くの受験生にとって最大の悩みどころです。


国語、数学、理科、社会、英語といった主要科目から、自治体によっては、美術や音楽、保健体育まで含まれる場合もあり、その範囲は広大です。


大学受験レベルの知識に加え、教育現場に関連する基礎知識も問われるため、「どこまで手をつければいいのか」「どの分野を優先すべきか」という迷いが生じます。


この迷いを解消せずに勉強を始めると、結果として広く浅く手を出し、どの分野も中途半端なまま試験日を迎えるという失敗に陥ります。


特に、時間が限られた大学生にとって、これは致命的です。


そこで重要なのが、「捨てる勇気」と「拾う戦略」です。


合格するために必要なのは、すべてを完璧に仕上げることではなく、限られたリソースを合格ライン突破に直結する分野に集中させることです。


本稿では、一般教養を効率的に得点源化するための科目選択と対策配分の考え方を、戦略的に解説します。





2.一般教養の位置づけを理解する



まず、一般教養が教採においてどのような意味を持つのかを理解しましょう。


一次試験で課される筆記試験は、自治体によって、若干、異なりますが、多くの場合、「教職教養」&「一般教養」、「教職教養」に分かれています。


このうち一般教養は、教員としての基礎的知識を確認する場であり、基礎的な学力や教養があるかを測るものです。


ただし、一般教養は教職専門科目に比べて配点が低いことも多く、試験全体に占める比重は自治体によって異なります。


また、一般教養を廃止している自治体もかなり増えてきました。


そのため、一般教養の学習は「全科目満点を目指す」ではなく、合格ラインを安定して超えることを目標に設定するのが現実的です。


さらに、一般教養は一次試験の通過を左右するだけであり、多くの場合、二次試験(面接・模擬授業・論作文)には直接的な影響を持ちません。


言い換えれば、ここで重要なのは「一次の足切りを突破する最低限の得点力」を確保することに尽きます。



3.「捨てる勇気」を持つ



一般教養で失敗する最大の原因は、すべての分野を均等に学習しようとすることです。


範囲が広大なため、全分野を網羅しようとすると時間切れになり、結果としてどの科目も中途半端になります。


したがって、最初に行うべきは「捨てる科目の決定」です。


ここでいう「捨てる」とは、完全にゼロにするという意味ではなく、試験当日に偶然解けたらラッキー程度の最低限にとどめるという意味です。


たとえば、数学が極端に苦手な受験生が、試験まで残り三か月しかないのに数学に大量の時間を投下するのは非効率です。


その時間を教育法規や教育時事に回した方が、合格可能性は大きく高まります。


「捨てる勇気」を持つことは心理的に難しい決断ですが、合格者は例外なく何らかの分野を割り切って捨てています。


重要なのは、どこを捨てるかを冷静に判断し、残りの分野にリソースを集中させることです。



4.「拾う戦略」で得点源を作る



「捨てる」だけでは合格ラインを突破できません。


次に必要なのは、拾うべき分野を見極め、重点的に対策することです。


一般教養の中でも、出題頻度が高く、かつ短期間で得点を伸ばしやすい分野があります。


典型的なのは、国語(現代文読解、漢字、ことわざ)、社会(日本史近現代、世界史近現代、地理の基礎)、理科(中学校理科レベルの基礎実験や現象)、英語(基礎文法と簡単な長文、会話文)などです。


これらの分野は、学習効率が高く、得点に直結しやすい特徴があります。


逆に、学習負担が大きく、出題頻度が低い分野は、初めから深追いしないと決めてしまいます。


たとえば、高度な数学やマニアックな世界史の古代文明などは、優先度を下げるべきです。


ここでのポイントは、「得意分野をさらに伸ばす」ことです。


国語が得意であれば現代文読解を確実に得点源にし、理科が得意なら生物や化学を徹底的に仕上げます。


得点を安定させる柱を二つ以上持つことで、全体の合格ライン突破が容易になります。



5.対策配分の考え方



対策配分は、受験までの残り期間や一次試験と二次試験のバランスによって変わります。


一次試験まで半年以上ある段階では、一般教養も含めて広く基礎固めを行います。


各分野の難易度や自分の得意不得意を確認し、優先度を決める期間と位置づけます。


この時点で「捨てる分野」を早めに決断することが重要です。


残り三か月を切ったら、配点の高い教職専門科目や教育法規に重点を移し、一般教養は「拾った分野を反復して安定させる」ことに専念します。


一般教養で新しい分野に手を出すのは避け、既習範囲を確実に仕上げることが合格への近道です。


直前期は、過去問を使って時間配分を確認し、誤答した問題だけを短時間で復習します。


新たな知識を増やすのではなく、「確実に解ける問題を一問でも落とさない」ことに意識を集中させましょう。



6.「捨てる」「拾う」を判断する基準



「捨てる」「拾う」の判断には、三つの基準があります。



第一は出題頻度です。


過去数年間の問題を確認し、毎年必ず出題されているテーマは「拾う」べきです。


一方、五年に一度しか出ていないようなテーマは、試験直前期に確認する程度で十分です。



第二は得点効率です。


学習時間に対する得点上昇の効率を考えます。


短時間で得点を伸ばせる分野は優先度が高く、時間をかけてもなかなか成果が出ない分野は思い切って切り捨てます。



第三は得意不得意です。


得意な分野は得点源になりやすく、不得意な分野は時間をかけても伸びにくい傾向があります。


受験までの残り時間を考え、自分が伸ばしやすい分野に集中することが合理的です。



この三つの基準をもとに、戦略的に科目を仕分けていきます。



7.学習法の工夫



一般教養の学習では、インプットとアウトプットのバランスが重要です。


まず、インプットは短時間で回せる教材を一冊決め、繰り返し使います。


複数の教材に手を出すと混乱のもとになるため、一本化が原則です。


次に、アウトプットは過去問演習を中心に行います。


ただし、過去問は「同じ問題が出る」わけではないため、問題を解いた後に「何を問われているのか」「背景知識は何か」を分析することが重要です。


単に正誤を確認するだけではなく、問題を通して出題者の意図を読み解き、自分の知識マップに組み込むことが得点力向上につながります。


また、短期間で記憶を定着させるために、学習内容を声に出して説明することを習慣にしましょう。


脳は「話す」ことで記憶を強化します。


これは、面接対策にも直結する効率的な方法です。



8.まとめ



一般教養は範囲が広大であり、すべてを完璧に仕上げることは不可能です。


合格するためには、「捨てる勇気」と「拾う戦略」が不可欠です。


出題頻度、得点効率、得意不得意を基準に、優先度を明確にして学習を進めましょう。


捨てることでリソースを集中させ、拾うことで確実な得点源を作り上げる。


この二つを組み合わせることで、最小の労力で最大の成果を上げることができます。


一般教養はあくまで一次試験突破のための手段です。


一次を突破した後は、二次試験に向けて面接や模擬授業に全力を注げるよう、一般教養は効率的にクリアしましょう。


次回は第10回「論作文を90分(60分)で仕上げる戦略的テンプレート」と題して、限られた時間で高得点を狙う論作文の構成法と具体的な書き方を解説します。




河野正夫





 
 
 

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