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第8回:連携・協働に関する質問の対応力を磨く:養護教諭と担任・保護者・医療機関・SCとの関係性

  • 執筆者の写真: 河野正夫
    河野正夫
  • 2025年6月14日
  • 読了時間: 4分

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第8回:連携・協働に関する質問の対応力を磨く


養護教諭と担任・保護者・医療機関・SCとの関係性


「独自性」と「協働性」の両立をどう語るか




はじめに


なぜ「連携・協働」が問われるのか



近年の教員採用試験において、「連携・協働」は、養護教諭に限らず全職種共通の重要なキーワードとなっています。


特に養護教諭の場合、保健室という「専門の場」を担いつつも、担任や学年団、保護者、さらには医療・福祉・心理の専門職と継続的に連携する必要があることから、その対応力がきわめて多面的に問われる傾向があります。


ここで重要なのは、「独自性」と「協働性」は相反するものではないという理解です。


養護教諭が自らの専門性を明確にしたうえで、他職種と柔軟に連携する構えをどう語るかが、面接での評価の分水嶺となります。


本講では、養護教諭の連携・協働に関する実践的な論点を整理し、面接での語り方に応用できる視点と表現の工夫を提示します。





養護教諭に求められる連携の全体像



養護教諭が関わる連携相手は多岐にわたりますが、大きく分類すると以下のようになります。



1. 校内の教職員との連携


担任、教科担当、特別支援コーディネーター、管理職など。日常的な情報共有と意思決定の共有が必要です。



2. 校外の専門職との連携


医師・看護師・歯科医師・管理栄養士・スクールカウンセラー(SC)・スクールソーシャルワーカー(SSW)など。


医療的配慮や心理的ケアを行う上で、専門的知見との接続が不可欠です。



3. 保護者との協働


保護者は、子どもにとって最も身近な支援者であり、学校との信頼関係を土台とした継続的な対話が求められます。



それぞれの相手に対して、何を共有し、どのように伝え、どこで協働するのかを具体的に言語化することが、面接での説得力を高めます。



「独自性」の確立と、「協働性」の統合



面接場面では、しばしば「あなたの専門性は何ですか?」「他の教員とどのように協力しますか?」といった質問が個別に投げかけられます。


しかし、実際の現場ではこの二つは分離できません。


たとえば、不登校傾向のある児童生徒に対して、担任やSCとの連携が不可欠である一方で、身体症状への理解や保健室での観察・記録を通じて得られる「養護教諭にしか見えない情報」も存在します。


その情報を専門的な視点から分析し、学級担任や保護者と共有することは、「独自性を生かした協働」の典型例と言えます。


ここで必要なのは、「自分にしかできないこと」を根拠ある形で明示しつつ、「他者の専門性を尊重し、連携の中で活かす姿勢」を併せて語ることです。



連携の場面で求められる説明力と調整力



連携・協働における課題は、「専門用語の壁」や「認識のずれ」による意思疎通の困難さです。


特に医療や心理の専門職と関わる際には、学校現場の実情を正確に説明し、相手の専門的判断を踏まえて実行可能な支援策を協議する調整力が求められます。


また、保護者との対話では、医学的知見と日常の学校生活とのバランスをとる配慮が不可欠です。


たとえば、喘息やアレルギー疾患の児童生徒に関する対応では、「医師の診断内容」と「学校でできる対応範囲」との間に齟齬が生じないよう、丁寧な説明と合意形成が求められます。


説明力とは、専門性を噛み砕いて伝える力であり、調整力とは、複数の立場をつなぐ柔軟性です。


この2つを面接でどう語るかが、評価の鍵となります。



面接での語りに生かす具体的視点



「連携・協働」に関する質問に対して、説得力のある語りをするには、以下の視点を取り入れると効果的です。



☆どのような場面で、誰と連携したか(具体性)


☆自分が担った役割と、他者に求めた支援の内容(分担の明確化)


☆連携を通じて得られた成果や、関係性の変化(教育的意義)



これらを簡潔に語ることで、単なる「協力しています」という抽象論ではなく、実際に協働の中で機能している専門職としての姿を描くことができます。


また、「連携してうまくいった事例」だけでなく、「調整が難しかった事例」についても誠実に語れると、より高く評価されます。


困難をどう乗り越えたかを語ることで、実務力と柔軟性が可視化されるからです。



おわりに


連携・協働を語ることは、養護教諭の本質を語ること



養護教諭は、学校の中で唯一の「保健の専門職」であると同時に、子どもを中心に据えた「つなぐ役割」を担う存在です。


その両面を支えるのが、連携・協働の力です。


だからこそ、面接でこのテーマを問われたときは、自分が担う役割と、他者とどのように信頼関係を築いてきたかを、具体的に、かつ誠実に語ることが重要です。


専門性を独り占めするのでも、協働に依存するのでもなく、互いの専門性を尊重し合う「対等な協働者」としての姿勢を、言葉で示していきましょう。



次回(第9回)は、「ジェンダー・性教育・多様性を問われたらどうするか」をテーマに、面接での語り方や表現の配慮について深めていきます。




河野正夫



 
 
 

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