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第7回:学校安全に関する質問。災害・感染症・事故対応を中心に。

  • 執筆者の写真: 河野正夫
    河野正夫
  • 2025年6月13日
  • 読了時間: 5分

『養護教諭のための無料講座』【全20回連載テーマ一覧】


第7回:学校安全に関する質問


災害・感染症・事故対応を中心に


危機管理マニュアルと役割分担の説明力


実際の災害対応事例の活用法



はじめに:


安全管理は「想定」と「即応」の統合的専門性



学校における安全管理は、「予防」「即応」「復旧」という三段階で捉えるべき総合的な教育活動です。


とりわけ養護教諭は、単なる応急処置担当ではなく、危機を予防し、発生時に冷静に対応し、復旧に貢献するキーパーソンとして、危機管理マニュアルの運用と実践の両面に携わります。


教員採用試験では、「地震が起きたとき、養護教諭としてどう動きますか」「感染症が流行した際、どのような体制を整えますか」といった具体的なシミュレーションが求められるケースが増加しています。


本講では、学校安全に関する養護教諭の役割を、場面ごとに分類しつつ、その語り方を明確に構造化していきます。





1.危機管理における養護教諭の4つの基本役割


危機発生時、養護教諭が果たす役割は限定的なものではなく、学校全体の安全文化の形成に関与する多面的な専門性に基づいています。以下の4点に集約されます。



(1)健康・安全情報の管理者


児童生徒・教職員の健康情報、持病・アレルギー・通院歴・既往歴等を把握し、緊急時に適切に活用できる体制を整えます。



(2)マニュアル運用と訓練の担い手


災害や事故、感染症発生時の校内マニュアルの整備・改訂・周知に参画し、避難訓練や校内研修においても中心的役割を果たします。



(3)緊急時の判断と応急処置の実行者


傷病者のトリアージ、応急手当、医療機関との連携、感染防止措置など、状況に応じた判断と初動対応を担います。



(4)心のケアと回復支援の促進者


被災・被感染・被傷体験をした児童生徒への心理的支援や、心の安定と日常復帰に向けた継続的な関わりも、養護教諭に期待される役割です。



これらを語れることは、面接において「養護教諭の立場からの安全教育の担い手」であることを証明することに直結します。



2.場面別対応の構造と語り方のポイント



(1)地震・大規模災害時の対応



【実務対応】


☆傷病者の確認、トリアージ、応急処置、保健室内の安全確保


☆学校の安全マニュアル等に基づいた行動計画に従い、担任不在クラスへの一時対応も可能とする柔軟性


☆災害発生直後だけでなく、余震・避難所対応・被災後の心理支援にも関与



【語りの要点】


☆初動では冷静な判断に基づく迅速な対応を行うこと


☆校内全体の安全確認の中で、保健室の役割を具体化


☆児童生徒の安心感確保と、日常への早期回復を支援する視点を提示



【応答例(抜粋)】


「私はまず保健室内の安全を確認し、トリアージ基準に従って傷病者の対応を行います。避難完了後は担任と連携し、心身に不調を訴える児童への声かけや、記録の整理を通じて全体支援に貢献します。」



(2)感染症流行時の対応(例:インフルエンザ・新型コロナウイルス等)



【実務対応】


☆発熱・体調不良の児童生徒の隔離・観察・記録


☆衛生環境の維持と感染拡大防止策の指導(手洗い、換気等)


☆保健だよりや掲示による健康行動の啓発活動


☆欠席・早退情報の集約と自治体保健所との連携



【語りの要点】


☆感染拡大の予防と個別支援のバランスを意識


☆教職員間の役割分担を明確化し、協働体制を重視


☆学級閉鎖等への判断材料となるデータ管理にも言及することで、全体把握の能力を伝える



【応答例(抜粋)】


「私は体調不良を訴える児童への対応を優先し、感染が疑われる場合は速やかに隔離・保護者連絡を行います。加えて、校内の感染状況を把握・記録し、管理職と連携して必要な対策を検討します。」



(3)事故・負傷時の対応(校内事故・部活動中の怪我など)



【実務対応】


☆怪我の程度に応じた応急手当(止血、冷却、安静)


☆教職員・保護者・医療機関との連絡調整


☆負傷記録の整備と再発防止に向けた環境改善提案


☆同様の事故の再発防止に向けた教育的アプローチの提案



【語りの要点】


☆安全確保と迅速な処置、同時に事故の背景分析と改善提案まで踏み込む


☆教職員や該当児童との関係調整も、心理的ケアを含めて語る


☆「個別対応」だけでなく「全体への波及的配慮」を含めて話すと説得力が増す



【応答例(抜粋)】


「処置後は事故の要因を教職員と共有し、用具や導線の改善について提案しました。また、本人が心理的に不安定にならないよう、回復後のフォローを丁寧に行いました。」



3.マニュアルと訓練への関与をどう語るか



学校における危機対応は、個人の判断に依存するものではなく、マニュアルに基づく組織的行動が前提です。養護教諭として面接で語るべきポイントは次の通りです。



マニュアルの整備・見直しへの参画:


☆保健の視点から文言や対応方法を提案する役割


☆避難訓練への積極的参加:実践的場面で役割分担を確認し、教職員全体で連携を図る



校内研修の企画:


☆応急処置や感染対策に関する研修を提案・実施することで、安全文化を学校全体に浸透させる



これらを具体的に語ることで、単なる“安全担当者”ではなく、安全を「教育として位置づけられる専門職」であることを示すことができます。



おわりに:


安全対応は“語れる想定”の蓄積である



危機対応の質問に対し、優れた回答をするために必要なのは、現場での経験に依存することではなく、想定と構造化の積み重ねです。


特に養護教諭においては、「誰の健康を、どう守るか」という価値判断を伴った支援が求められるため、語りの背景にある倫理性と専門性が強く問われます。


予防と即応の両面から、実例と仕組みをつなげて語れること。


それが、学校安全という抽象的テーマに対する、養護教諭としての応答力の真価です。



次回は、「連携・協働に関する質問の対応力を磨く」と題し、養護教諭が関係機関や教職員と協働する際の視点と語り方の戦略を展開していきます。




河野正夫



 
 
 

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