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第7回:どんな教師になりたいか?理想像と現実のバランスをどう取るか?

  • 執筆者の写真: 河野正夫
    河野正夫
  • 2025年6月13日
  • 読了時間: 5分

【1倍程度の低倍率で落ちないために】(連載全20回)


第7回


どんな教師になりたいか?


理想像と現実のバランスをどう取るか?



教員採用面接において、「どんな教師になりたいか」という質問は、受験者の教育観・職業意識・将来展望を確認する重要な設問です。


この問いへの答えは、単なる夢や目標を語ることではありません。


むしろ、現実の教育実践を見据えたうえで、自らの教師像をいかに「実現可能な形」で描けているかが問われています。


多くの受験者が陥る失敗の一つは、「子どもに寄り添える教師」「信頼される教師」などの抽象的理想にとどまり、教育現場での実践との接続が見えない語りになってしまうことです。


理想は重要ですが、それだけでは“働く教員像”としての説得力を持ちません。


採用側が求めているのは、具体的な教育実践を通して理想を体現しようとする姿勢と、そのための戦略的思考なのです。


本稿では、まず理想像の語りにおける落とし穴を整理し、そのうえで、現実の教育との接点を持った「語るべき教師像」の構築方法について検討していきます。





1. 抽象的理想が伝わらない理由



面接でよく見られるのが、以下のような語りです。


「子どもたち一人ひとりの気持ちに寄り添い、信頼される教師になりたいです。」


このような表現は、決して悪いものではありません。


しかし、他の多くの受験者と同様の語りであるために差異化が困難であり、また具体的な実現方法が伴っていなければ、「抽象的な理想論」と見なされてしまいます。


評価者はこのような語りに対して、「そのためにあなたは何をしてきたのか」「その理想をどうやって実践に落とし込むのか」という観点から即座に問いを立てます。


ここで答えられなければ、その教師像は「実現可能性が乏しいもの」として評価され、印象が薄れる結果となります。



2. 「現場でのリアリティ」と接続した教師像



では、どのような語りが評価されるのでしょうか。その鍵は「理想の構造化」と「現場実践との接続」にあります。



(1)理想の“分解”と再構成


たとえば「信頼される教師になりたい」という理想を語る場合、それを「どのような言動によって信頼を築くのか」「どの場面で信頼が問われるのか」といった形で具体化していくことが重要です。


例:


「私は、子どもたちとの日常的な対話を大切にし、小さな約束でも必ず守ることで、信頼を築く教師になりたいと考えています。」


このように具体的行動と結びつけることで、理想が「理念」から「実践目標」へと変化し、面接官に明確なイメージを与えることができます。



(2)実習・講師経験との接続


理想を「語る」だけではなく、それを支える経験を「語れる」ことが重要です。


たとえば、実習中の出来事や講師としての業務での工夫を語ることで、理想が空想ではなく、体験に裏打ちされた志向であることを伝えることができます。


例:


「実習中(講師経験で)、不安を抱えている児童に対して、毎日短時間の対話を続けた結果、徐々に関係が築かれました。この経験から、“聴く姿勢”を持ち続ける教師になりたいと考えるようになりました。」


このような語りは、現場経験と理想とが有機的に結びついていることを示し、即戦力性とも連動します。



3. 教師像の語りを構成する三つの視点



理想的な教師像の語りを組み立てるうえで、以下の三つの視点が有効です。



(1)児童生徒との関係性


どのような関係性を築きたいのかを明確にします。


「信頼」「安心」「尊重」などのキーワードを軸にしつつ、言葉だけでなく具体的行動で裏付けることが重要です。



(2)同僚や保護者との連携


教師は孤立して働く存在ではありません。チームの一員として、周囲と協働できる姿勢を教師像の中に織り込むことで、現場の文脈に適した語りとなります。


例:


「保護者や同僚と密に連携し、チームで子どもたちを支える教師を目指します。」



(3)自己成長の継続性


教育は常に変化し続ける営みです。そのなかで、学び続ける姿勢を持った教師像は高く評価されます。


「子どもから学ぶ」「同僚から学ぶ」といった姿勢を語ることで、柔軟性と自己省察の力が伝わります。



4. 「教師像」は“志望動機”と一体で語られるべき



前回のテーマで扱った「志望動機」と今回の「教師像」は、別個に語られるものではなく、本来一貫したストーリーの中に位置づけられるべきです。


理想の教師像は、「なぜこの仕事を選んだのか」という動機から自然に導かれるものでなければなりません。


たとえば、「多様な子どもに対応できる教師になりたい」という教師像は、「不登校や特別な支援が必要な児童に関心を持った」という志望動機と連動していなければ、説得力が薄れます。


この整合性こそが、「この人は現場で筋の通った教育実践ができる」と面接官に思わせる根拠となります。



おわりに:


「理想」を“語る”のではなく“実現していく構想”として見せる



「どんな教師になりたいか」という問いに対しては、立派な理念を語ることよりも、それをどう実現していくのかという構想と意思が問われています。


現場の文脈を無視した理想論は、逆に現実感のなさを印象づけることになりかねません。


理想像を描くことは大切です。


しかし、その理想を「体験に裏打ちされた語り」で構造化し、「具体的な行動計画」として提示することによって、初めて面接官に届く語りとなります。


教師像は、空に描くビジョンではなく、足元から積み上げる設計図であるべきです。



次回第8回では、「あなたはどんな授業をしますか?教科専門性と指導観の伝え方」をテーマに、面接で問われる授業観や教科への向き合い方の語り方を検討していきます。



引き続きご期待ください。




河野正夫




 
 
 

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