第7回 教育心理学の裏技学習法:名前・理論・事例を一瞬で結びつける記憶術
- 河野正夫
- 2025年9月3日
- 読了時間: 6分
第7回 教育心理学の裏技学習法:名前・理論・事例を一瞬で結びつける記憶術
【大学生のための、教採裏技講座】全20回
1.はじめに
教員採用試験において、教育心理学は必ず出題される分野でありながら、多くの受験生にとって厄介な科目です。
暗記事項が多いと誤解され、「ピアジェは発達段階論」「ヴィゴツキーは最近接発達領域」と断片的に覚えたものの、試験問題や面接で問われるとすぐに混乱してしまうというケースが少なくありません。
しかし教育心理学は、丸暗記に頼るとすぐに忘却し、応用も効かなくなります。
むしろ、名前と理論を教育現場の具体的な事例と結びつけて理解すれば、知識は生きた形で定着し、論作文や面接でも強力な武器となります。
本稿では、教育心理学を「覚える」から「使える」へと転換するための裏技学習法を詳しく解説します。

2.教育心理学が重視される理由
心理学が教採で扱われるのは、単なる知識確認ではなく、教育実践に根拠を与えるためです。
教育は「子どもを理解する営み」であり、その理解を裏付けるのが発達理論や学習理論だからです。
例えば、児童の学習意欲をどう高めるかを論じるときに、マズローの欲求階層説を引けば、「まず安心感や所属感が満たされなければ、高次の学習意欲は育たない」と説明できます。
また、学習指導要領で重視される「主体的・対話的で深い学び」は、ブルーナーの発見学習やヴィゴツキーの社会的相互作用論を踏まえると理解が深まります。
試験官は、こうした知識を単に記憶しているかどうかではなく、教育の判断を裏付ける材料として活用できるかを見ています。
つまり、教育心理学は「覚えて終わり」ではなく、「語れて初めて評価される」知識なのです。
3.学習の基本原則
教育心理学を得点源にするには、三つの原則があります。
第一に、「名前、理論、事例」を一体化させて覚えることです。
ピアジェと聞けば「認知発達段階論」、そして「水の保存課題で子どもの思考を調べる実験」と即座に連想できる状態を作ります。
逆に「保存課題」と聞いたら「ピアジェ」「具体的操作期」という知識にさかのぼれるようにします。
知識を三方向にリンクさせることが、暗記から脱却する第一歩です。
第二に、理論を「一行のキーワード」に要約することです。
例えば、ブルームの教育目標分類なら「知識から評価までの六段階」と短くまとめ、マズローの理論なら「低次の欲求が満たされて初めて高次へ進む」と一言で表現します。
試験で問われたときに、まず短いキーワードが頭に浮かび、その後で詳細が再生できるようにするのです。
第三に、理論を「教育実装知識」に変えることです。
つまり、抽象的な概念を授業や学級経営の場面と結びつける習慣を持つことです。
たとえば「エリクソンの青年期=アイデンティティの確立」を覚えるだけでなく、「進路指導で悩む高校生に対し、教員はどのように伴走するか」という教育場面を思い描きます。
このように「理論→実践」への翻訳を繰り返すことが、応用力を高める秘訣です。
4.記憶を強化する戦略的技法
教育心理学は暗記量が多いと感じられがちですが、学習法次第で大きく効率化できます。
ここでは「裏技」ともいえる三つの技法を紹介します。
第一は、物語化による記憶です。
理論を日常のシーンに置き換えるのです。
例えば、ピアジェの「前操作期」は、幼児がコップの水の量を比較できず「背の高いコップの方が多い」と答える姿をイメージすれば、理論が鮮やかに定着します。
エリクソンの「同一性対混乱」は、思春期の生徒が自分の進路に悩んでいる場面と結びつければ忘れにくくなります。
理論を物語の断片として覚えることで、抽象が具体へと変換されます。
第二は、理論間の対比による理解です。
教育心理学には類似した理論が多く存在します。ピアジェは個人の発達段階を重視しましたが、ヴィゴツキーは社会的相互作用を重視しました。
この「違い」を押さえることで、試験問題でどちらの理論か迷ったときに判断が容易になります。
類似理論を「対比しながら」学ぶことが、記憶の混乱を防ぐ裏技です。
第三は、即答トレーニングです。
理論家の名前を見たら十秒以内に理論を口にし、そこから教育現場の事例まで説明する訓練を繰り返します。
例えば「ブルーナー」と提示されたら、「発見学習を提唱し、児童が自ら問題解決に取り組む学びを重視した」と即答し、さらに「算数で図形の性質を児童に探究させる授業」と事例を付け加えるのです。
この即答訓練を繰り返すことで、知識が単なる記憶から瞬時に使える資源へと変わります。
5.試験場面での活用
教育心理学は筆記試験での選択問題や記述問題に出題されますが、それ以上に論作文や面接での応用が重要です。
論作文で「主体的な学びを育むために教員はどうすべきか」と問われたら、ヴィゴツキーの発達の最近接領域を持ち出し「子どもが少し先の課題に挑戦できるよう足場をかけることが必要」と述べると、根拠のある主張になります。
面接でも同様です。「児童が学習意欲を失っているとき、どう支援しますか」と問われた場合に、マズローの欲求階層説を根拠に「まず安心できる環境を整えることが学びの出発点である」と答えれば、知識と教育観が結びついた回答になります。
模擬授業でも「発達段階に応じた教材の選択」を意識して説明できれば、理論を現場に応用できる教員候補だと評価されやすくなります。
6.学習スケジュールへの落とし込み
学期中は時間が限られるため、短時間の反復を徹底します。
通学時間に理論家一人を取り上げて一行要約と事例を確認し、夜には面接形式で五分程度語る練習を行うと効果的です。
教育心理学は細切れの時間に馴染む分野なので、ルーチン化が鍵になります。
長期休暇はアウトプット中心に切り替えます。
過去問を解いて「どの理論が問われたか」を整理し、実際に論作文や面接の回答に使えるように準備します。
教育実習の体験を心理学理論と結びつけて三本程度の「看板エピソード」を作っておけば、二次試験での即応力が格段に高まります。
直前期には新しい知識を増やすのではなく、即答訓練に集中します。
名前から理論、理論から事例へ、事例から教育観へと、三段階で瞬時に展開できるかどうかをチェックし、試験場面に備えます。
7.まとめ
教育心理学は「丸暗記する科目」ではなく、「教育を語る根拠を与える科目」です。
名前、理論、事例を一瞬で結びつけるためには、物語化による記憶、理論間の対比、即答訓練といった戦略的技法を組み合わせることが有効です。
さらに、その知識を教育現場にどう生かすかを常に意識することで、筆記試験の得点だけでなく、論作文や面接での説得力も増します。
心理学の知識は、教員として働く際に子ども理解の指針となり、教育実践の裏付けとなります。
したがって、学習段階から「知識を現場につなげる」習慣を持つことが、教採突破の最短ルートであり、教員としての基盤を築く第一歩となります。
次回は第8回「教育時事・最新キーワードを効率的に押さえる方法」と題して、変化の速い教育時事を効率的に整理し、筆記や面接で活用できる戦略を提示します。
河野正夫



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