第6回:志望動機(学校種・教科編)【初歩から学ぶ面接合格戦略】(30回連載シリーズ)
【初歩から学ぶ面接合格戦略】(30回連載シリーズ)
第6回:志望動機(学校種・教科編)
志望動機は、面接で必ず問われる質問です。
そして、準備の差がそのまま評価の差になって表れる質問でもあります。
多くの受験者が、この質問に時間をかけて答えを用意します。
それでも、面接官の心に残る志望動機と、通り過ぎていく志望動機に分かれます。
その分かれ目がどこにあるのかを、今回は見ていきます。

★志望動機は、二つの質問でできています
志望動機という問いは、実は二重構造になっています。
一つは、なぜその学校種なのか、という問いです。
小学校なのか、中学校なのか、高等学校なのか、特別支援学校なのか。
もう一つは、なぜその教科なのか、という問いです。
この二つを一つの話として混ぜてしまうと、面接官の耳には輪郭のぼやけた話として届きます。
まず、自分の志望動機を二つに分解してみてください。
そこから、準備が始まります。
★面接官は、この質問で何を見ているか
面接官の顔ぶれを思い出してください。
校長先生は、その学校種の子供を理解しているかどうかを見ています。
指導主事は、教科観が教育課程と噛み合っているかどうかを見ています。
民間人面接官は、この人が本当にその道を選びたいのかという、人間としての一貫性を見ています。
三人が同時にうなずける志望動機を作る。
ここが、今回の目標になります。
★学校種の志望動機は、発達段階への理解が土台です
学校種を語るとは、その年齢の子供の何に心を動かされたかを語ることです。
中学校であれば、思春期の揺れ。
高等学校であれば、進路の選択と自立への歩み。
小学校であれば、学びの基礎が形づくられる時期。
特別支援学校であれば、一人ひとりの実態に応じた支援。
ここで大切な点があります。
発達段階の知識を述べるだけでは、面接官の心は動きません。
その発達段階に、自分が実際に立ち会った場面を持っているかどうかが分かれ目になります。
教育実習で見た生徒の表情。
講師として担任をしたときの出来事。
前の職場で出会った若い人たちの姿。
自分の目で見た場面を、必ず用意してください。
その場面を語ると、学校種の選択が、頭で考えた結論から、体験に裏づけられた選択へと変わります。
★教科の志望動機は、「好き」から一段深いところへ
教科を語るとき、その教科への愛着は出発点になります。
ただし、好きだという気持ちを述べるだけでは、そこで話が止まります。
面接官が聞きたいのは、もう一段深い層です。
この教科を通して、子供に何が育つと考えているか。
その教科の本質的な価値を、自分の言葉で定義してみてください。
言葉や文化への視野が広がる。
数と論理で世界を捉える力がつく。
自分の体と向き合う習慣ができる。
どんな定義でもかまいません。
自分が本当に信じている一文であることが大切です。
そして、その定義を、自分が学んできた経験と結びつけます。
教科の価値を自分の実感で語れる受験者は、それだけで印象に残ります。
★二つを交差させると、志望動機が立体になります
ここが、今回の山場です。
学校種の理由と教科の理由が、別々に並んでいるだけでは足りません。
面接官の中で、一つの像が結ばれないからです。
作りたいのは、交差点です。
この発達段階の子供に、この教科だから届けられるものがある。
その一点を言えたとき、志望動機は立体になります。
思春期に揺れる中学生だから、この教科で伝えられることがある。
進路を選び取る高校生だから、この教科で支えられることがある。
そうした言い方が、交差点の形です。
面接官が日ごろ信じていることを、受験者の経験で補強する。
その地点が、ここに生まれます。
★PREP法に乗せてみましょう
結論の一文は、理由を組み込んだ形にします。
「~という理由で、中学校の英語科を志望します。」という形です。
この一文には、作り方があります。
学校種の側から一つ、教科の側から一つ、言葉を取り出して組み合わせます。
学校種の側から取り出すのは、その発達段階の特徴です。
自分の言葉を探している時期、人との距離に悩む時期、といった捉え方になります。
教科の側から取り出すのは、その教科が子供に育てる力です。
伝わる喜び、世界の見え方が変わる体験、といった捉え方になります。
二つをつなぐと、結論(P)の一文ができあがります。
「自分の言葉を探している時期の生徒に、伝わる喜びを感じてほしいという理由で、中学校の英語科を志望します。」
この形にすると、続くRの役割が自動的に決まります。
結論で使った言葉を、面接官に納得してもらう部分がRです。
なぜ、その時期の生徒に、その力が必要なのか。
教育的な意味づけを、一つか二つ添えます。
Eでは、その言葉が自分の中に生まれた瞬間を語ります。
「伝わる喜び」という言葉を結論で使ったなら、自分がその喜びを目撃した場面を出します。
抽象的な言葉と具体的な場面が一本の線でつながったとき、語りは本物の手触りを持ちます。
最後のPでは、結論の一文をそのまま繰り返しません。
同じ理由を、未来の姿に置き換えます。
「その喜びを教室で生み出せる教師になりたいと考え、中学校の英語科を志望します。」
入口では動機として語り、出口では決意として語る。
同じ中身が二つの顔を持って、面接官の中に残ります。
★原体験が、志望動機の心臓部です
同じ英語科志望の受験者が並んでいても、原体験が違えば、志望動機はまったく別のものになります。
自分の原体験を探してみてください。
自分自身の学習歴。
講師として過ごした日々。
前職で人と関わってきた経験。
恩師との出会い。
どこかに、いまの志望につながる場面があるはずです。
その場面を一つ選び、志望動機の中心に据えてください。
数を並べる必要はありません。
一つの場面を、面接官が情景を思い浮かべられるくらいの温度で語る。
その方が、はるかに強く残ります。
★計算を感じさせない仕上げを
志望動機は、受験用の作文に聞こえやすい質問です。
準備してきた言葉だと受け取られた瞬間に、説得力は消えていきます。
構成は、徹底して計算します。
その上で、語る瞬間には、自分の本当の想いとして響かせます。
言葉選びに気を配ってください。
抽象度の高い教育用語に寄りかかると、借り物の響きが出てきます。
自分の実感から出てきた言葉を使うと、語りは自然な手触りを持ちます。
★追質問への耐性を作っておきます
志望動機には、追質問が続きます。
小学校という選択肢もあった中で、なぜ中学校なのか。
その教科を選ばなくても、それは実現できるのではないか。
こうした問いが来ることを前提に、志望動機を設計しておいてください。
交差点を持っている志望動機は、こうした追質問にも揺らぎません。
★第6回のまとめ
志望動機に必要な要素は、四つです。
学校種を選んだ理由。
教科を選んだ理由。
その二つが出会う交差点。
そして、自分だけの原体験。
この四つがそろったとき、志望動機は面接官の好感・共感・好印象を生み出します。
河野正夫

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