第4回:語り方の極意【初歩から学ぶ面接合格戦略】(30回連載シリーズ)
【初歩から学ぶ面接合格戦略】(30回連載シリーズ)
第4回:語り方の極意
面接での語りの極意は、実は、とても簡単です。
複雑な理論を覚える必要はありません。
次の三つを押さえるだけです。
1.面接官の好感・共感・好印象を勝ち取る語りであること。
2.面接官が期待している回答を、受験者自身の想い・経験に基づいて、受験者自身の言葉で語ること。
3.わかりやすく、誰にでも理解できるように話すこと。
一つずつ見ていきましょう。

★一つ目は、好感・共感・好印象を勝ち取る語りです
面接とは、人が人を選別し、合否を決める営みです。
採用する側の面接官という人間が、受験者という人間を選びます。
人が人を選ぶとき、そこには主観的な要素が強く働きます。
正しいことを語る、適切なことを語る。
それだけでは、主観は動きません。
人である面接官に、気に入ってもらえる語りが必要になります。
好感とは、「いいね」と思ってもらえること。
共感とは、「私もそう思う」と思ってもらえること。
好印象とは、「いい人だね」と思ってもらえること。
この三つが満たされたとき、面接の評価は自然と高くなっていきます。
語る前に、いつもこの三つを思い出してください。
いま自分が話している内容は、この三つのどれかを生み出しているか。
その確認が、語りの質を決めます。
★二つ目は、期待されている答えを、自分の言葉で語ることです
ここで大切な前提があります。
面接官は、新しくて奇抜な回答を求めているわけではありません。
確かに、受験者の語りには、ある程度のインパクトが必要です。
けれども、そのインパクトは、奇抜さや斬新さから生まれるものとは限りません。
面接官が心の中で期待していること。
教育に関わる管理職として、日ごろから信条としていること。
それを、受験者自身の経験や想いに基づいて、受験者自身の言葉で語ってさしあげる。
ここに、本当のインパクトが生まれます。
人は、自分の想いを、誰か他の人が、その人自身の言葉で補強してくれる瞬間を待っています。
自分が信じてきたことを、別の人生を歩んできた人が、自分の経験を通して語ってくれる。
そのとき、人は共感し、感動します。
面接官の心を動かすのは、聞いたことのない話とは限りません。
面接官が信じてきたことを、あなたの経験で裏づける話です。
★三つ目は、誰にでもわかりやすく語ることです
これは当たり前のことに見えますが、確固とした理由があります。
面接官には、いくつかの種類の人がいます。
校長先生などの学校の管理職。
教育委員会の指導主事や中間管理職。
そして、自治体によっては民間人面接官。
校長先生の視点と、行政職の中間管理職の視点は違うかもしれません。
教育職や行政職の公務員と、会社を経営してきた民間人の視点も違うかもしれません。
目の前に並ぶ2人から3人の面接官の視点や評価基準は、一様ではありません。
ここを理解すると、語り方の条件が見えてきます。
面接の回答は、誰にでもわかりやすく、誰の耳と心にも届くものにしておく必要があります。
校長先生には理解できるけれど、民間人面接官には伝わらない。
そうした語り方は、避けたいところです。
学校現場の内輪の言い回しや、教育の専門用語に寄りかかった語りには、注意が必要になります。
わかりやすさを作るもう一つの要素は、一文の長さです。
一文を短く切って話すと、聞いている人の負担が軽くなります。
短い文を重ねていく語りは、三人の面接官の耳に、同じ速さで届いていきます。
★わかりやすく語る第一の方法は、PREP法です
わかりやすさを生み出す最も確実な方法は、結論を先に置くことです。
そして、その形を整えたものが、PREP法と呼ばれる語りの型です。
PREP法は、四つの要素の頭文字から成り立っています。
Pは、Point。
最初に、結論を一文で述べます。
Rは、Reason。
次に、その結論に至った理由を述べます。
Eは、Example。
続いて、自分の経験に基づく具体例を語ります。
最後のPは、再び、Point。
もう一度、結論に戻って締めくくります。
たとえば、学級経営で大切にしたいことを問われたとします。
結論から入ります。
生徒一人ひとりが安心して過ごせる学級を作りたい、と述べます。
次に、理由を添えます。
安心できる場があって、生徒は自分の考えを口に出せるようになるからだ、と続けます。
そして、具体例を語ります。
講師として担任をしたときの場面。
教育実習で出会った生徒の様子。
前の職場で人と関わってきた経験。
自分だけが持っている場面を、ここに置きます。
最後に、結論へ戻ります。
だから、安心して過ごせる学級を作っていきたい。
そう締めくくって、語りを閉じます。
★PREP法の中心は、Eにあります
四つの要素の中で、あなたにしか用意できないものが一つあります。
Example、つまり具体例です。
結論も理由も、他の受験者と似た形になることがあります。
具体例だけは、あなたの人生から出てきます。
ここに、自分の経験を置く。
前回まで見てきた、面接官の共感を生む条件が、この位置で満たされます。
★PREP法が、三人の面接官に同時に届きます
PREP法には、大きな利点があります。
最初の一文で結論が伝わるため、どの立場の面接官にも要点が届きます。
教育の専門家にも、行政の人にも、民間の人にも、同じ内容が同じ形で残ります。
さらに、話の途中で追質問が入っても、結論はすでに相手の手元にあります。
限られた時間の中で、言いたいことを取りこぼす心配が減っていきます。
★第4回のまとめ
語り方の極意は、三つです。
好感・共感・好印象を生む語りであること。
面接官が期待している中身を、自分の経験と言葉で語ること。
そして、誰の耳にもわかりやすく語ること。
その三つ目を支える具体的な方法が、結論を先に置くPREP法です。
型を手に入れると、語りは安定します。
安定した型の上に、あなただけの経験を乗せていってください。
河野正夫

コメント