第5回:教職教養の効率的マスター法 【教員採用試験の不合格を合格に変える!】(全20回連載)
- 河野正夫
- 2025年9月30日
- 読了時間: 8分
第5回:教職教養の効率的マスター法
【教員採用試験の不合格を合格に変える!】(全20回連載)
★★はじめに★★
教職教養は、教員採用試験の中でも範囲が広く、多くの受験者が苦手意識を持つ科目かもしれません。
教育原理、教育心理、教育法規、教育史など、覚えるべき内容が膨大で、「どこから手をつければいいのか分からない」という声をよく聞きます。
しかし、教職教養には明確な攻略法があります。
この記事では、認知科学や学習理論の研究成果をもとに、限られた時間で効率的に教職教養をマスターする方法を分かりやすく解説します。

★★教職教養の全体像を把握する★★
効率的な学習の第一歩は、全体像の把握です。
地図を持たずに旅をするように、全体が見えないまま勉強を始めると、無駄な時間を使ってしまいます。
教職教養の主要分野 教職教養は主に以下の分野で構成されています。
1. 教育原理:教育の目的、学習指導要領、教育課程など
2. 教育心理:発達理論、学習理論、教育評価など
3. 教育法規:教育基本法、学校教育法、教育公務員特例法など
4. 教育史:日本教育史、西洋教育史、教育思想家
5. 教育時事:最新の教育政策、教育課題
☆出題傾向の分析
すべての分野を同じ時間をかけて勉強するのは非効率です。
まず、志望する自治体の過去5年分の問題を分析し、どの分野からどのくらいの問題が出されているかを確認しましょう。
分析の方法:
1. 過去問を科目別・分野別に分類する
2. 各分野の出題数を数える
3. 出題割合を計算する
4. 頻出分野を特定する
☆優先順位の設定
分析結果をもとに、学習の優先順位を決めます。
一般的には、教育法規と学習指導要領が最頻出分野であることが多いですが、自治体によって傾向は異なります。
必ず自分が受験する自治体の傾向を確認してください。
★★教育法規の効率的学習法★★
教育法規は暗記科目と思われがちですが、実は理解が重要です。
丸暗記では応用問題に対応できません。
☆体系的な理解から始める
法規は体系として理解することで、記憶に残りやすくなります。
日本国憲法、そして、教育基本法を頂点として、学校教育法、学校教育法施行規則というように、法律の階層構造を理解しましょう。
☆法規の階層:
憲法(最上位)
教育基本法
学校教育法、その他の法律
学校教育法施行規則
学習指導要領(法的拘束力あり)
各種通知・通達
☆重要条文の完全マスター
すべての条文を覚える必要はありません。
頻出条文に絞って、完璧に覚えることが効率的です。
☆特に重要な条文:
教育基本法:第1条(教育の目的)、第2条(教育の目標)、第5条(義務教育)、第9条(教員)など。(ここに挙げた条文に限定するものではありません。)
学校教育法:第11条(懲戒・体罰)、第21条(義務教育の目標)など。(ここに挙げた条文に限定するものではありません。)
地方公務員法:第30条〜第38条(服務規定)
☆条文の覚え方
単なる丸暗記ではなく、以下の方法で記憶を定着させます。
1. 条文の趣旨を理解する:
なぜこの条文があるのかを考える
2. キーワードを抽出する:
条文の核心となる言葉を特定する
3. 声に出して読む:
音読することで記憶に残りやすくなる
4. 穴埋め問題を作る:
重要な部分を空欄にして練習する
5. 過去問で確認する:
実際の出題形式で理解度をチェックする
☆法改正に注意する
教育法規は定期的に改正されます。
必ず最新の情報を確認し、改正点は特に注意して覚えましょう。
改正されたばかりの内容は出題されやすい傾向があります。
★★学習指導要領の攻略法★★
学習指導要領は教員採用試験で最も重要な項目の一つです。
現行の学習指導要領の理念と特徴を正確に理解することが求められます。
☆総則の完全理解
学習指導要領の「総則」には、教育課程編成の基本方針が示されています。
ここを完璧に理解することで、多くの問題に対応できます。
総則で押さえるべきポイント:
・育成を目指す資質・能力の三つの柱
・主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)
・カリキュラム・マネジメント
・各教科等の目標と内容の関連
☆資質・能力の三つの柱
現行学習指導要領の核心である「資質・能力の三つの柱」は、必ず正確に覚えましょう。
1. 知識及び技能
2. 思考力、判断力、表現力等
3. 学びに向かう力、人間性等
☆各教科の目標と内容
志望する校種・教科の学習指導要領は、詳細に学習する必要があります。
特に「目標」の部分は、そのまま出題されることが多いため、正確に覚えましょう。
★★教育心理の効果的学習法★★
教育心理は理論が多く、難しく感じる人が多い分野ですが、実は理解すれば応用が効く分野です。
☆主要理論の体系的理解
教育心理の主要理論を体系的に整理します。
人物名、理論名、内容の三点セットで覚えることが重要です。
☆発達理論の例:
ピアジェ:
認知発達理論(感覚運動期、前操作期、具体的操作期、形式的操作期)
エリクソン:
心理社会的発達理論(8つの発達段階とそれぞれの課題)
ヴィゴツキー:
最近接発達領域の理論
☆学習理論の例:
スキナー:
オペラント条件づけ
バンデューラ:
社会的学習理論、自己効力感
ブルーム:
完全習得学習、教育目標の分類学
理論と実践の結びつけ 理論だけを覚えるのではなく、実際の教育場面でどう活用されるかを考えながら学習すると、理解が深まり記憶にも残ります。
例えば、ヴィゴツキーの最近接発達領域を学ぶ際には、「一人ではできないが、支援があればできる課題を与えることで、子どもは最も効果的に成長する」という実践的な意味を理解します。
図やイラストの活用 教育心理の理論は、図やイラストにすると理解しやすくなります。
ピアジェの発達段階、マズローの欲求階層説などは、視覚的に整理しましょう。
★★教育原理・教育史の学習戦略★★
教育原理と教育史は、範囲が広く感じられますが、実は出題されるポイントは限られています。
☆教育思想家の重点学習
教育史で出題される教育思想家は、ある程度決まっています。
以下の人物とその主張を確実に押さえましょう。
西洋の教育思想家:
ルソー:
『エミール』、自然主義教育
ペスタロッチー:
『隠者の夕暮れ』、直観教授、基礎陶冶
ヘルバルト:
『一般教育学』、教授の四段階、五段階説
デューイ:
『民主主義と教育』、『学校と社会』、経験主義教育、問題解決学習
日本の教育思想家:
福沢諭吉:
『学問のすゝめ』、実学主義
森有礼:
初代文部大臣、学制改革、国家主義教育
新渡戸稲造:
『武士道』、国際連盟事務次長、人格教育論
歴史的流れの把握 個別の知識だけでなく、教育の歴史的な流れを理解することで、記憶が定着しやすくなります。
特に、日本の学制の変遷は重要です。
日本の学制史の要点:
学制(1872年):近代教育制度の始まり
教育勅語(1890年):戦前教育の基本理念
教育基本法(1947年):戦後教育の出発点
教育基本法改正(2006年):現代の教育理念
★★効率的な記憶テクニック★★
教職教養は覚えるべき内容が多いため、効率的な記憶テクニックを使うことが重要です。
☆分散学習の活用
一度にまとめて覚えようとするより、時間を空けて繰り返す方が記憶に定着します。
分散学習のスケジュール例:
1日目:新しい内容を学習
3日後:復習
1週間後:再復習
2週間後:最終確認
☆語呂合わせの活用
教育法規の条文番号や教育史の年号など、数字を覚える際には語呂合わせも効果的です。
ただし、語呂合わせだけに頼らず、内容の理解も必ず伴わせましょう。
☆関連づけ学習
新しい知識を既に知っている知識と関連づけることで、記憶に残りやすくなります。
例えば、教育法規を学ぶ際に、実際の学校現場でどう適用されるかを考えます。
☆アウトプット重視
読むだけでなく、声に出す、紙に書く、誰かに説明するなど、アウトプットすることで記憶が定着します。
特に、重要な条文や理論は、自分の言葉で説明できるレベルまで理解を深めましょう。
★★過去問を使った実践的学習★★
教職教養の学習において、過去問の活用は極めて重要です。
☆過去問の段階的活用法
第1段階(学習初期):
過去問を見て、どんな知識が問われるかを確認します。
この段階では解けなくても構いません。
「こういう形で出題されるのか」と把握することが目的です。
第2段階(学習中期):
各分野の基礎学習が終わったら、その分野の過去問を解きます。
間違えた問題は、なぜ間違えたのかを分析し、該当箇所を教材で復習します。
第3段階(学習後期):
時間を測って本番と同じ条件で過去問を解きます。
時間配分の練習も兼ねて、実践的な力をつけます。
☆頻出パターンの発見
過去問を複数年分解くと、出題パターンが見えてきます。
同じ条文、同じ理論、同じ教育思想家が繰り返し出題されていることに気づくはずです。
このパターンを把握することが、効率的学習の鍵です。
★★教育時事への対応★★
最新の教育政策や教育課題も出題されます。
☆文部科学省の資料チェック
文部科学省のホームページで発表される以下の資料は、必ず目を通しましょう。
・中央教育審議会の答申
・教育振興基本計画
・生徒指導提要(改訂版)
・各種調査結果(全国学力・学習状況調査など)
☆教育時事の学習方法
教育専門誌やニュースで最新の教育動向を把握します。
特に、いじめ、不登校、ICT教育、働き方改革など、現在の教育課題は出題されやすい傾向があります。
★★まとめ★★
教職教養の効率的マスターには、全体像の把握、優先順位の設定、体系的な理解、効率的な暗記法、過去問の活用という5つの要素が重要です。
膨大な範囲に圧倒されず、戦略的に学習を進めることで、確実に得点源にすることができます。
重要なのは、すべてを完璧に覚えようとしないことです。
頻出分野を重点的に学習し、基礎的な内容を確実に押さえることで、合格に必要な得点は十分に取れます。
次回は、専門教科対策の戦略的アプローチについて解説します。
教養と専門教科の両方をバランス良く学習することで、確実な合格を目指しましょう。
河野正夫



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