top of page
検索

第5回:子ども理解と関係づくりのスタンスを示す【講師枠・臨採枠・現職枠で受験する人のために】

  • 執筆者の写真: 河野正夫
    河野正夫
  • 2025年7月1日
  • 読了時間: 6分

【講師枠・臨採枠・現職枠で受験する人のための無料面接講座(連載・全10回)】



第5回:子ども理解と関係づくりのスタンスを示す


行動の背景に目を向ける視座と、信頼構築の実践的思考



教員採用試験の面接では、教育観を問う場面において、「子ども理解」や「信頼関係の築き方」といったテーマが頻繁に取り上げられます。


特に経験者枠においては、「実際にどのように子どもと向き合ってきたのか」「関係づくりに対してどのような姿勢を持っているか」が、教育者としての成熟度を測る重要な指標となります。


本稿では、子どもの姿をどのように理解し、それにどのように応答してきたかを語る際の視点と構造を整理します。


行動の背景を読み取る力と、信頼を築くための実践的なスタンスが面接にどう反映されるかを具体的に解説します。





子ども理解は「評価」ではなく「解釈」である



子ども理解という言葉はしばしば曖昧に用いられます。


しかし、教育における子ども理解とは、子どもの行動を一面的に評価することではなく、その行動が生まれた背景や心理的状況、社会的文脈を「解釈」しようとする営みです。


たとえば、授業中に発言しない児童を「消極的だ」と片づけるのではなく、「なぜ発言しないのか」「どのような環境なら声を出せるのか」という問いをもつ姿勢こそが、子ども理解の核心です。


そこには、行動そのものを対象化するのではなく、「子どもを見るまなざし」が問われています。


このまなざしは、決して一度の観察や短期的な関わりで得られるものではありません。


日々の関わりを通じて、子どもの表情や言葉、反応の変化を読み取り、文脈と重ねていく地道な営みが求められます。



関係づくりの出発点は「一人の人間としての尊重」



信頼関係を築くうえで基盤となるのは、「子どもを一人の主体的な人間として捉える視点」です。


子どもを「指導すべき対象」「支援すべき存在」とみなすだけでは、関係性は一方向的なものになりがちです。


関係構築の出発点は、教員が「自分の言動や姿勢が、相手にどう受け取られるか」に自覚的であることにあります。


たとえば、注意や指導の際に、「子どもにどう伝わるか」「どのタイミングなら受け入れやすいか」を熟慮して発言する姿勢は、教師中心の関係ではなく、対話的関係への転換を促します。


また、日常の些細なやりとり、あいさつ、立ち話、視線を合わせる場面などを丁寧に積み重ねることが、信頼関係の基盤を形成します。


特別なイベントや劇的な出来事によって関係が築かれるわけではなく、日々の関わりの「質と継続」が鍵となります。



面接で問われる「スタンス」とは何か



面接で「子どもとの関係づくりについてどう考えていますか」「関係がうまくいかなかった経験はありますか」といった質問が投げかけられる背景には、単なる技法や経験の有無だけでなく、受験者の根底にある「スタンス」を読み取ろうとする意図があります。


スタンスとは、指導方法や接し方のテクニックではなく、「子どもとの関係をどう捉えているか」「自分自身をどう位置づけているか」にかかわる基本的な態度です。


これは面接のあらゆる場面に滲み出てくるため、語りの随所に一貫した姿勢が求められます。


たとえば、「信頼を築くために子どもの話をよく聞いています」と語る際に、その“聴く”という行為が単なる行動にとどまらず、「子どもの声には意味がある」「教員の理解不足が背景にあるかもしれない」といった内省と結びついていれば、それは成熟したスタンスと評価されます。



語りの構造:子ども理解と関係づくりを語る4ステップ



面接において、子ども理解と関係づくりを具体的に語る際には、次のような4つの段階で構成することで、論理性と誠実さを両立させた語りが可能になります。



1.子どもの姿(状況の描写)


まず、その子どもがどのような様子であったか、どんな行動が見られたかを丁寧に描写します。


ここでは、「困っていたこと」「集団との関係性」「表情・態度・言葉」などを通じて、受験者の“見取りの力”を表現することが重要です。



例:「授業中にノートを開けずに座っている子がいました。声をかけても反応が乏しく、周囲ともあまり関わりが見られませんでした。」



2.理解と仮説(背景へのまなざし)


その行動の背景にある心理的・社会的要因について、どのような理解や仮説を立てたのかを語ります。


ここでは、「すぐに評価せず、情報を集めながら慎重に見立てる姿勢」が評価されます。



例:「担任交代があった学期初めであったこと、前年度の担任との関係が深かったことを知り、新しい環境に戸惑いがあるのではないかと考えました。」



3.関わりと応答(信頼関係へのアプローチ)


その理解をもとに、どのような関わりを試みたのかを具体的に語ります。


ポイントは、対話の質・頻度・表情・距離感といった細部への配慮を含めることです。



例:「授業中の声かけだけでなく、休み時間に短い会話を重ねるようにしました。教室の掲示物に興味を示した瞬間をきっかけに、自然なやりとりを続けました。」



4.関係の変化と自己の内省


最後に、子どもの反応や関係性の変化を振り返りつつ、それが自分自身の学びにつながった点を整理します。


単なる結果の良し悪しではなく、自身のスタンスがどう変化したか、今後どう活かしていきたいかを語ると、語りに深みが出ます。



例:「しばらくすると、自分からノートを開くようになり、隣の子どもとの会話も増えていきました。子どもにとって安全な関係ができるまでに時間がかかることを実感し、教員側の焦りが信頼構築を妨げることがあると学びました。」



スタンスの一貫性は他の質問にも波及する



面接において、子ども理解や関係づくりのスタンスは、志望動機、指導経験、学級経営、困難な経験の語りなど、すべてのトピックに影響を与える基盤的な視点です。


ある質問で「子どもに寄り添いたい」と語りながら、別の質問で一方的な指導を正当化する語りをしてしまえば、面接官は整合性の欠如を敏感に察知します。


したがって、「自分が子どもをどう見ているのか」「子どもとどのような関係を築きたいと考えているのか」を、明確な言葉で表現できるよう準備しておくことが、面接全体の印象を左右する決定的な要素となります。



総括:


第5回のまとめ



☆子ども理解とは「評価」ではなく「解釈」の営みである


☆信頼関係の土台は、子どもを主体的存在として捉える視座にある


☆面接官が見ているのは、行動よりも「スタンス」の一貫性である


☆語りの構造は、「子どもの姿」→「理解と仮説」→「関わりの工夫」→「変化と学び」の4段階が基本


☆一貫したスタンスは、面接全体の語りに説得力をもたらす基盤となる



次回(第6回)では、「学級経営観の表現と、実践からの裏づけ」をテーマに、経験者として期待される教育理念と、それに基づく具体的実践との往復をどのように語るかを深く掘り下げていきます。


理念倒れでも、具体一辺倒でもない、“思想と実践が響き合う語り”の構築を目指します。




河野正夫



 
 
 

コメント


bottom of page