第1回:面接とは?【初歩から学ぶ面接合格戦略】(30回連載シリーズ)
【初歩から学ぶ面接合格戦略】(30回連載シリーズ)
第1回:面接とは?
この連載は、教員採用試験の面接を受けるすべての方に向けたものです。
大学生の方も、講師として働いている方も、民間企業から教職を目指す方も、同じ入口に立っています。
その入口にあるのが、「面接とは何か」という問いです。
最初にこの問いを扱うことには理由があります。
面接というものの正体をどう捉えているかで、準備の方向が丸ごと変わってしまうからです。
方向さえ定まれば、同じ量の努力が、そのまま得点に変わっていきます。

★面接は、オーディションです
面接は、面接官との会話の時間として用意されているわけではありません。
面接は、採用のためのオーディションです。
舞台に立つ人を選ぶ場であり、選ばれるために自分を見せる場です。
オーディションと聞くと、大げさに感じる方もいらっしゃると思います。
けれども、構造はまったく同じです。
限られた時間の中で、選ぶ側が「この人と一緒にやっていきたい」と感じるかどうかで結果が決まります。
ですから、面接は、戦略的なアピールの場です。
自分という素材を、どう見せれば面接官の心が動くのか。
その設計をした受験者が、高い評価を受け取っていきます。
★面接官は、アンケートを取っていません
面接では、実にさまざまなことを聞かれます。
志望動機、学級経営、いじめへの対応、そして趣味や特技。
ここで押さえておきたいのは、面接官が情報を集めているわけではないという点です。
たとえば、「あなたの趣味・特技は何ですか」と聞かれたとします。
面接官は、受験者の趣味の統計を取っているわけではありません。
読書が何十パーセント、サイクリングが何パーセントといった数字に、面接官の関心はまったく向いていません。
では、面接官が見ているものは何でしょうか。
趣味を語るときのあなたの表情、声の調子、話の運び方を見ています。
その語りの中ににじみ出てくる、人間的な魅力や深みを見ています。
趣味の話には、その人の輪郭がよく表れます。
何に心を動かされてきたのか。
どんなふうに物事に向き合ってきたのか。
初めて聞く相手にも届くように、言葉を選べているか。
短い語りの中に、そうしたものが全部乗ってきます。
答えの中身より、答えている人そのものが見られています。
この一点を理解しているかどうかで、準備の質は大きく変わります。
★質問は、対話をするための材料です
面接で出される質問は、対話を始めるための材料です。
どの質問にどう答えたかで、採点表が機械的に埋まっていくわけではありません。
一連のやり取りを通して、受験者がどういう人物なのかが立ち上がってきます。
教員採用試験は、教師としての適性がある人を採用する場です。
面接官は、目の前の受験者を見ながら、別の光景を思い浮かべています。
この人を子供の前に立たせたら、適切な指導ができるだろうか。
この人に保護者対応を任せたら、落ち着いたやり取りができるだろうか。
この人と職員室で机を並べたら、どうだろうか。
面接官は、この想像を働かせながら、受験者の話を聞いています。
評価されているのは、教師として、人間として、一人の社会人として、適切な対話ができるかどうかです。
職業人としてのコミュニケーション能力が、質問の内容を越えたところで測られています。
同じ内容を答えても、伝わり方には差が生まれます。
声の届き方、間の取り方、相手の反応を受け止める姿勢。
そうした要素が積み重なって、「この人は現場でやっていける」という感触が育っていきます。
★採用する側の視点に立ってみる
面接には、もうひとつの側面があります。
面接は、採用される側が、採用する側に気に入ってもらえるかを試される場です。
採用する側の気持ちを想像してみましょう。
教育委員会も、学校も、ひとつの組織です。
組織には、文化があり、風土があり、独特の雰囲気があります。
採用する側は、その組織に合う人を迎え入れたいと考えます。
一緒に働きたいか。
部下として迎えたいか。
同じ組織に属してほしいか。
面接官は、この三つを判断しています。
面接官は、その自治体で長く教育に携わってきた方々です。
自分たちの学校に、来年度、新しい先生として立ってもらう人を選んでいます。
その目線で見られていると考えると、面接の景色は変わってきます。
この視点に立つと、準備すべきことが見えてきます。
正しい内容を用意することは、出発点です。
その上に、面接官の心が動く要素を積み上げていく作業が待っています。
★好感・共感・好印象が、合格のカギです
面接で高い評価を受ける方には、共通点があります。
面接官に、三つの感情を持ってもらえていることです。
好感です。「いいね」と感じてもらうこと。
共感です。「私もそう感じる」と思ってもらうこと。
好印象です。「いい人だね」と受け止めてもらうこと。
法律や施策を引用して、整った答えを述べることには意味があります。
自分の能力を的確に伝えることにも意味があります。
その上に、この三つの感情が加わったとき、評価は大きく伸びていきます。
面接官も人間です。
人が人を選ぶ場である以上、聞いている側の感情が動くかどうかが、結果を左右します。
そして、この三つは、生まれ持った性格で決まるものではありません。
語る材料の選び方、話の組み立て方、伝え方の工夫で、意図的に作り出していけます。
この連載で扱っていくのは、その具体的な方法です。
★第1回のまとめ
面接は、単なるテストではありません。
面接は、単なる会話でもありません。
面接は、あなたが教師として、人間として、社会人として、魅力ある人であるかどうかが判断される場です。
そして、面接官が、あなたと一緒に働きたいと感じるかどうかを見極める場です。
面接官から、好感・共感・好印象を感じ取ってもらうこと。
これが、合格への最大の王道です。
まずは、この一点を胸に置いてください。
ここから先の準備は、すべてこの土台の上に積み上がっていきます。
河野正夫


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