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第2回:自己アピール・志望動機の説得力を高める。【講師枠・臨採枠・現職枠で受験する人のために】

  • 執筆者の写真: 河野正夫
    河野正夫
  • 2025年6月28日
  • 読了時間: 6分

【講師枠・臨採枠・現職枠で受験する人のための無料面接講座(連載・全10回)】



第2回:自己アピール・志望動機の説得力を高める


臨採経験を「語りの根拠」として結び直す



教員採用試験の面接において、「自己アピール」と「志望動機」は最も基本的な質問項目のひとつです。


しかし経験者枠においては、これらの問いが形式的に扱われることはほとんどありません。


むしろ、現場での実体験を通して、どのように「教職に就くことの必然性」を見出したのか、その過程そのものが重視されます。


したがって、「何ができる人なのか」と「なぜ教員でありたいのか」を、現場での気づきと一貫した論理のもとに語る必要があります。


本稿では、臨採経験を踏まえた自己アピールと志望動機の語り方について、構造的な観点から整理していきます。





自己アピールとは「資質」の翻訳である



自己アピールというと、「自分の長所や強みを前向きに述べること」と捉えられがちです。


しかし面接の場における自己アピールは、単なる自己賛美とは異なります。


面接官が知りたいのは、「この人は、なぜ教員としてふさわしいのか」「どのような資質を持ち、それが学校現場でどう生きるのか」という視点です。


したがって、自己アピールには必ず「場面」と「行動」と「効果」の3点を含めて語ることが望まれます。


例えば、「人との信頼関係を築く力があります」と語る場合、それがどのような場面で発揮され、どのような対応や工夫を行い、その結果としてどのような変化が生まれたのかを併せて示す必要があります。


抽象的な特性ではなく、具体的な行動の積み重ねから導かれた資質であることを証明する語りが求められます。



志望動機に求められる「気づき」と「必然性」



志望動機についても、表面的な志向を述べるだけでは説得力に欠けます。


特に臨採や講師経験のある受験者にとっては、「なぜ教職を選ぶのか」以上に、「なぜ今このタイミングで本採用を志すのか」「臨採では得られなかったものを、どう教員として実現したいのか」が問われる傾向があります。


このとき鍵となるのが、「現場での気づき」をどのように語るかです。


たとえば、学級担任として子どもたちと深く関わる中で、子どもの変化に気づいた経験や、チームの一員として学校経営に関わるなかで得た視点などは、単なる感想ではなく、職務理解に裏づけられた志望理由として力をもちはじめます。


加えて、「気づき」だけではなく、「自分はどうしたいのか」「何を成し遂げたいのか」という展望を伴っていることが必要です。


「こういう体験をした → だから教員になりたい」ではなく、「こういう体験をした → その中で課題や責任を実感した → 教員として長期的に向き合っていきたい」という構造があることで、志望動機が初めて内発的なものとして響いてきます。



語りの構造:自己アピールと志望動機の接続



自己アピールと志望動機は、面接上は別個に問われることが多いものの、本質的には密接につながっています。


自己アピールで語った特性が、志望動機の中でも自然に裏打ちされているかどうか。


逆に、志望動機に込めた理由が、自己アピールによって補強されているかどうか。


両者が一貫していることが、語りに説得力をもたらします。


この接続を意識するためには、自身の経験を一度「抽象化」して捉え直す作業が有効です。


たとえば、「関係づくりが得意だ」という自己アピールと、「子どもの声を受け止められる教員でありたい」という志望動機を結びつけるとき、「相手の立場を理解しようとする姿勢」「信頼に時間をかけて向き合う態度」など、根底にある資質や価値観を抽出することで、一貫性を持たせることができます。



説得力を支える2つの視点:


第三者の評価と変化の実感



語りに説得力をもたせるうえで有効なのが、「第三者の視点」と「自身の変化への実感」を語ることです。


まず、第三者の視点とは、自分の行動や働きかけに対して、子ども・保護者・同僚・管理職など他者がどう反応したか、どのように評価されたかを取り入れることを指します。


これは客観性の担保になると同時に、学校現場における協働性への理解を示す材料にもなります。


また、自身の変化を語ることも非常に有効です。


臨採経験を通して「どのようなことに気づき、どう考えが変わったのか」「以前はできなかったことが、今ではどうなっているのか」など、内面の成長や意識の変容を具体的に言語化することで、面接官に「この人は学び続ける人だ」という印象を与えることができます。



避けたい語り:


志望動機の「義務感」と「一般論化」



説得力を損なう語りとしてよく見られるのが、「義務感」や「一般論」に終始するパターンです。


たとえば、「自分が関わった子どもたちが気になるので、数年間かけて、最後まで責任をもちたい」という志望動機は、いかにも正論に見えますが、「臨採では不十分」というネガティブな理由として聞こえてしまう危険があります。


また、「子どもの成長に寄り添える教員になりたい」「社会貢献として教職を目指したい」といった語りも、それだけでは他の多くの受験者と差別化されにくくなります。


重要なのは、自分自身の体験に即した、固有の言葉で語ることです。


臨採で関わった子どもの具体的な変化、自分自身の中で育った願い、そして今後取り組みたい課題を重ねていくことで、志望理由に「あなただからこそ語れる納得性」が生まれます。



自己アピールと志望動機を「問い直す」習慣をもつ



最後に、自己アピールと志望動機は、一度まとめれば終わりというものではありません。


模擬面接を通して、あるいは他者との対話を通して、「その語りに説得力があるか」「論理的に接続されているか」「具体的な事例と言葉に乖離がないか」を常に問い直す必要があります。


面接練習を重ねるなかで、自分では気づかない言葉の曖昧さや論理の飛躍が浮き彫りになることもあります。


それらを修正し続けることで、自分自身の教育観や職務理解も深まり、語りの軸がより確かなものへと育っていきます。



総括:


第2回のまとめ



本稿では、臨採経験を踏まえた自己アピール・志望動機の語り方について、以下の観点から整理しました。



☆自己アピールには、具体的な場面・行動・効果の3点を含めると説得力が増す


☆志望動機では、「気づき」→「課題認識」→「展望」という構造が有効


☆自己アピールと志望動機が一貫しているかを確認することが大切


☆語りに第三者の視点や自身の変化を盛り込むことで客観性と成長性が伝わる


☆義務感や一般論ではなく、自分固有の経験と言葉を用いる


☆模擬練習やフィードバックを通して、語りの軸を何度も問い直す習慣が必要



次回(第3回)は、「これまでの指導経験をどう語るか(具体性と構造)」をテーマに、経験者としての信頼感を高める語りの技術について深掘りしていきます。


信念を持った実践者として、言葉と経験をどう結びつけていくか。


面接で信頼を勝ち取るための語りの構造を詳述します。




河野正夫



 
 
 

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