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第26回:面接における役作り。【初歩から学ぶ面接合格戦略】(30回連載シリーズ)

執筆者の写真: 河野正夫
河野正夫
13 時間前
読了時間: 6分

【初歩から学ぶ面接合格戦略】(30回連載シリーズ)


第26回:面接における役作り



★役作りとは、選び取る作業です



役作りと聞くと、別人になることだと受け取る方がいらっしゃいます。


面接における役作りは、違います。


自分の中にすでにある要素のうち、どれを前に出すかを選び取る作業です。



考えてみてください。


人は、場面によって見せる面が変わります。



家族の前での自分。


職場での自分。


初対面の相手に会うときの自分。


子どもたちの前に立つときの自分。



どれも、嘘ではありません。


どれも、自分です。



面接室で見せる面を、意図的に選ぶ。


それが、役作りです。





★無から作ると、必ず崩れます



先に、歯止めを置いておきます。


自分にない面を、ゼロから作ってはいけません。


作った役は、必ず崩れます。



追質問で、細部を聞かれたときに、根拠が出てきません。


話しているうちに、表情と言葉がずれていきます。


緊張が強まった瞬間に、素の自分が顔を出します。



役作りは、素材の中から選ぶ作業に限られます。


自分の中にある面を、磨いて前に出す。


ここから外れると、違和感が生まれます。



★第一工程 人物設定を一文にします



ここから、作り方に入ります。



脚本に置いた人物設定の一文を、役の核として据え直します。


自分は、面接室で何者としているのか。


例えば、


「一人の子どもの小さな変化を見逃さず、その変化を学級全体の力に変えていける教師」


この一文が、役の設計図になります。


これから作るすべての要素は、この一文から導き出されます。



★第二工程 その人物の過去を持ちます



ここで、俳優の技法を借ります。


舞台俳優は、脚本に書かれていない部分まで、自分で設定します。



その役が、どこで生まれたか。


どんな家庭で育ったか。


何を大切にしてきたか。


何を恐れているか。



台詞の背後にある人生を持っているから、台詞が自然に出てきます。



面接では、この作業が容易です。


自分の人生が、そのまま素材だからです。



人物設定の一文に至るまでに、自分の中で何があったか。



いつ、その考えを持つようになったか。


どんな出来事が、きっかけだったか。


その考えが、強まった場面はどこか。



この道筋を、三つから五つの場面として持ちます。


場面を持っている受験者は、どこから質問されても崩れません。


答えが、その場面から出てくるからです。



★第三工程 その人物の身体を持ちます



次は、外から見える部分です。



決めた人物は、どんな姿勢で座るでしょうか。


どんな速さで話すでしょうか。


どこを見ているでしょうか。


どんなときに、表情がゆるむでしょうか。



ここで、順序が大切になります。



姿勢や表情を先に決めてはいけません。


人物を決めてから、その人物の身体を導き出します。



小さな変化を見逃さない教師であれば、相手の話をよく聞く姿勢になります。


うなずきが深くなります。


話す速さは、ゆっくりになります。



挑戦を続ける教師であれば、前に出る姿勢になります。


声に力が入ります。


表情の動きが大きくなります。



外側から作ると、不自然になります。


内側から導くと、自然になります。



★第四工程 その人物の答え方を持ちます



最後に決めるのは、答えの内容とは別のものです。


その人物の、答え方を決めます。



質問を聞いたとき、すぐ話し出すか、一拍置くか。


分からないことを聞かれたとき、どう応じるか。


褒められたとき、どう受けるか。


異なる見方を示されたとき、どう返すか。



これらは、どんな質問が来ても、共通して現れます。


そして、答え方が一貫していると、面接官の中で人物像が安定します。


内容は質問ごとに変わります。


答え方は、最初から最後まで同じです。


この一貫性が、イメージを強く結ばせます。



★役と自分の距離



ここが、今回の中心です。


役は、自分から遠すぎても、近すぎても機能しません。


遠すぎると、演じきれません。



普段おとなしい方が、熱血教師の役を作ったとします。


最初の数分は持ちます。


しかし、追質問で焦った瞬間に、素の自分が出てきます。


そこで、落差が違和感として残ります。



近すぎると、役になりません。



普段のままで面接室に入ると、場面に合わない面まで出てしまいます。


友人と話すときの口調。


職場での気のゆるみ。


そうしたものが、混じります。



適切な距離は、自分の延長線上の、一割から二割先です。


普段の自分を、面接という場に合わせて少し整えた姿。


ここが、最も安定して維持できます。



計算し尽くした上で、計算を感じさせない。


日本庭園の原理が、役作りでも働きます。



★役は、本番であなたを守ります



役作りには、大きな効用があります。


緊張の中で、素の自分だけで立つのは困難です。


役があると、支えになります。


その人物ならどう答えるか、という基準が手元にあるからです。



想定外の質問が来たときも、同じです。


正解を探す必要がありません。


その人物として答えれば、それが答えになります。



そして、失敗したときにも効きます。


一問うまく答えられなくても、役は崩れません。


役が崩れなければ、面接官の中のイメージも崩れません。



一問の失敗を、全体の崩壊につなげないための装置。


それが、役です。



★役作りの練習方法



実際の練習を、四つ挙げます。



1.人物設定の一文を、声に出して言います。



毎日の練習の、いちばん最初に置いてください。


これから誰として話すのかを、自分に確認する作業です。



2.日常の中で、その人物として振る舞う時間を作ります。



職場での会話。


人との挨拶。


電話での受け答え。


面接室だけで役を出そうとしても、間に合いません。


日常で慣らしておきます。



3.鏡や動画で、その人物の身体を確認します。



自分が思っている姿と、実際に見える姿には、差があります。


その差を埋めていきます。



4.想定外の質問に、その人物として即興で答えます。



四つの中で、最も効果があります。


脚本のない状態で、役が機能するかを確かめる作業です。


ここで答えられれば、役は定着しています。



★役作りが完成した状態



到達点を、描いておきます。


本番で、演じているという感覚がなくなります。



その人物として、自然に座っています。


その人物として、自然に話しています。



面接官の側から見ると、一人の教師がそこにいます。


試験を受けに来た人がいるのではありません。


教師として立っている人が、座っています。



この状態になったとき、好感・共感・好印象は、自然に生まれます。



★第26回のまとめ



役作りとは、自分の中にある要素を選び取る作業です。


四つの工程があります。



人物設定を、一文にする。


その人物の過去を、場面として持つ。


その人物の身体を、人物から導き出す。


その人物の答え方を、決めておく。



役と自分の距離は、一割から二割先に置きます。


そして、役は本番であなたを守ります。


言葉は忘れても、役は残ります。




河野正夫



 
 
 

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