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第25回:暗記と理解・定着の違い。【初歩から学ぶ面接合格戦略】(30回連載シリーズ)

執筆者の写真: 河野正夫
河野正夫
17 時間前
読了時間: 6分

【初歩から学ぶ面接合格戦略】(30回連載シリーズ)


第25回:暗記と理解・定着の違い



★脚本ができあがったあと、何をするのでしょうか



脚本が、完成しました。


戦略に基づいて設計されています。


自分の経験と、自分の言葉で書かれています。


声に出して、音の検証も済んでいます。



さて、ここから何をするでしょうか。



多くの受験者が、次の作業として暗記を始めます。



何十回も読み返します。


そらで言えるようにしていきます。


言葉が一つも抜けなくなるまで、繰り返します。



この工程が、本当に必要な作業なのか。


今回は、ここを考えていきます。





★三つの状態を定義します



まず、言葉を三つに分けます。



暗記とは、言葉の順序を記憶している状態です。


理解とは、なぜその言葉が選ばれたのかが分かっている状態です。


定着とは、その内容が、自分のイメージとして身についている状態です。



この三つは、段階として連なっています。



暗記は、出発点です。


理解は、経由点です。


定着が、到達点です。



多くの受験者は、出発点で足を止めています。



★暗記で止まると、本番で何が起きるか



暗記したまま本番を迎えると、四つのことが起こります。



1.追質問で崩れます。


暗記した言葉の外側に出された瞬間、手元に何もなくなります。


用意した文の続きを探しても、どこにもありません。



2.一語忘れると、全体が止まります。


順序で覚えているため、途中が抜けると復旧できません。


一つの言葉が出てこないだけで、沈黙が生まれます。



3.語り方が、平板になります。


思い出す作業をしている間、表情は動きません。


声の抑揚も消えます。


目線は、宙を泳ぎます。



4.受験作文として響きます。


暗記した言葉には、音に特徴的な硬さが出ます。


語尾がそろい、間の位置が機械的になります。



四つ目が、最も深刻です。



面接官は、暗記された語りを毎年聞いています。


数秒で、見分けがつきます。



★それでも、暗記には効用があります



ここは、公平に書いておきます。


暗記には、確かな効用があります。



緊張の中でも、最低限の内容が出てきます。


話の順序が崩れません。


沈黙を避けられます。


話す長さの見当がつきます。



ですから、暗記そのものを否定する話ではありません。



暗記で止まることが、問題だという話です。


暗記は、通過すべき段階です。


そこに居座ってしまうと、本番で力を失います。



★理解とは、設計意図が分かることです



第二段階に進みます。



脚本には、必ず設計があります。



なぜ、この場面を選んだのか。


なぜ、この順序で並べたのか。


なぜ、この言葉を使ったのか。


なぜ、ここで言い切らずに止めたのか。



この設計意図が分かっていれば、言葉を変えても、同じ効果を出せます。


別の言い方で語っても、狙いは達成されます。


前後を入れ替えても、着地点は変わりません。



理解のある受験者は、脚本から自由になります。


脚本に縛られないために、脚本を理解する。


ここが、第二段階の意味です。



★理解できているかを、確認します



自分が理解しているかどうかは、簡単に確かめられます。


方法が、二つあります。



一つ目。


脚本の一文ごとに、「なぜ、この文があるのか」と問いかけます。


答えられない文があれば、そこはまだ暗記の段階です。


その文は、書いた人の意図のまま、自分の中を素通りしています。



二つ目。


同じ内容を、三通りの言い方で語ってみます。


三通り出てくれば、理解しています。


一通りしか出てこなければ、言葉の順序を覚えているだけです。


この二つの確認は、今日からできます。



★定着とは、イメージが身についた状態です



第三段階です。


ここが、今回の中心になります。



面接官の中に残るのは、イメージです。


定着とは、そのイメージを、自分の側でも持っている状態を指します。


自分は、どんな教師として面接室にいるのか。


その像が自分の中にあれば、どの質問に対しても、そこから言葉が出てきます。



ここで、大切な区別があります。



暗記されているのは、言葉です。


定着しているのは、イメージです。



言葉は、忘れます。


緊張すれば、なおさら消えていきます。



イメージは、消えません。


自分が何者であるかを、人は忘れないからです。



★定着は、役作りによって生まれます



ここで、役作りという考え方に触れておきます。


俳優は、台詞を覚えるだけでは舞台に立てません。



その役が、どういう人物なのか。


どこで生まれ、何を大切にし、何を恐れているのか。


その人物像を、自分の中に作ります。



作られた人物像があるから、台詞が自然に出てきます。


台詞を思い出している状態とは違います。


その人物として、話している状態です。



面接も、同じです。



脚本の言葉を覚えるのではありません。


脚本が描いている人物を、自分の中に作ります。



その作り方には、具体的な手順があります。


ここでは、定着の到達点が役作りであることを押さえておいてください。



★暗記から定着へ移る四つの工程



実際の手順を示します。



1.脚本を音読します。


まず、言葉を体に入れます。


この段階は、暗記で構いません。



2.一文ごとに、設計意図を言語化します。


なぜこの文があるのかを、自分の言葉で説明してみます。


説明できない文には、印をつけておきます。



3.脚本を見ずに、別の言い方で語ってみます。


言葉が変わっても、狙いが同じであれば、それでよしとします。


同じ着地点に、別の道で到達できるかを確かめます。



4.人物像を、一文で言います。


自分は、面接室で何者としているのか。


それを、短い一文にします。


ここまで到達すると、脚本を手放せます。



★定着した受験者の本番



到達点を、描いておきます。


定着している受験者は、本番で脚本を思い出しません。


思い出す必要が、ないからです。



質問を聞きます。


自分の中の人物像から、言葉が出てきます。


暗記した言葉と同じ場合もあります。


違う言葉が出てくる場合もあります。


どちらでも、構いません。


向かっている方向が、同じだからです。



そして、表情と声が自由になります。


思い出す作業をしていないため、相手の顔を見ながら話せます。


相手の反応を見て、長さを調整することもできます。


これが、定着した状態の面接です。



★第25回のまとめ



暗記は、出発点です。


理解は、経由点です。


定着が、到達点です。



暗記されるのは、言葉です。


定着するのは、イメージです。


言葉は忘れますが、イメージは消えません。



脚本を完成させたあと、何十回も読み返す作業に入る前に、一度立ち止まってください。



その作業が、暗記に向かっているのか。


それとも、定着に向かっているのか。



向かう先で、本番の語りはまったく違うものになります。




河野正夫




 
 
 

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