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第26回:生成AI・ICTを面接でどう語るか——論点整理。

  • 執筆者の写真: 河野正夫
    河野正夫
  • 2 日前
  • 読了時間: 7分

【教採ブログ連載】


第26回


生成AI・ICTを面接でどう語るか——論点整理





★生成AI・ICTは「避けられないテーマ」である



教員採用試験の2次試験の面接において、生成AIやICTに関する質問は、近年出題頻度が高まっているテーマです。


「生成AIの教育への活用についてどう考えますか」「ICTを使った授業改善にどう取り組みますか」「子どもたちがAIと共存していく時代に、教師としてどのような力を育てますか」といった形で問われます。


このテーマを苦手とする受験者は少なくありません。


技術的な知識がなければ答えられないと感じていたり、どの立場で語ればよいかわからなかったりするからです。


しかし、面接官が生成AI・ICTについて問うとき、受験者の技術的な知識の深さを測りたいわけではありません。


教育の専門職として、生成AIやICTを教育にどう位置づけ、どのように活用し、子どもたちにどのような力を育てようとしているかという、教師としての考え方を問うています。


技術の専門家としての回答ではなく、教育の専門家としての回答が求められているという点を、まず理解してください。



★論点①——ICT・生成AIは「手段」であり「目的」ではない



生成AI・ICTに関する面接回答において、最も重要な論点は、ICTや生成AIは手段であり目的ではないという視点です。


「ICTを使う授業をします」


「生成AIを積極的に活用します」


という回答は、ICTや生成AIの活用そのものを目的にしています。


面接官が評価するのは、この方向の回答ではありません。


「子どもたちのどのような学びを実現するために、ICTをどのように位置づけるか」という視点が、回答の核心に置かれるべきです。


たとえば、「調べる・まとめる・共有する・振り返る」という学習活動の中で、ICTがそれぞれの場面でどのような役割を果たすかを具体的に語ることが、手段としてのICTを論じることです。


生成AIについても同様です。


「生成AIを使えば効率的に情報収集できます」という回答は、手段と目的が逆転しています。


「生成AIが生み出した情報を批判的に検討する力を育てるために、どのような授業を設計するか」という視点が、教師としての回答として機能します。


ICT・生成AIは手段であるという論点を、回答の骨格に据えてください。



★論点②——生成AIとの向き合い方を子どもに教える



生成AIの教育活用において、面接で問われる重要な論点の一つが、子どもたちに生成AIとどう向き合わせるかという視点です。


生成AIは、現在の子どもたちが社会に出たとき、日常的に使う道具の一つになっています。


「生成AIを使わせない」という方向だけで子どもたちを指導することは、社会の現実と乖離しています。


一方で、「生成AIに何でも頼ればよい」という方向も、子どもたちの思考力・判断力・表現力の育成という教育の根本から外れます。


面接で語るべき視点は、生成AIを使いこなす力と、生成AIに依存しない力の両方を育てるという方向です。



生成AIが出力した情報が正確かどうかを確認する力、


生成AIに頼らず自分で考え表現する場面を意図的に設ける授業設計、


生成AIの限界と可能性を子ども自身が理解できるような学習活動。



これらの視点を、自分の言葉で語れる準備をしておくことが、このテーマへの回答の核心です。



★論点③——情報活用能力と批判的思考力の育成



生成AI・ICTの教育活用と深く結びついているのが、情報活用能力と批判的思考力の育成という論点です。


情報活用能力とは、必要な情報を収集し、整理し、判断し、発信する力です。


現行の学習指導要領では、情報活用能力は「学習の基盤となる資質・能力」として位置づけられています。


ICTの活用は、この情報活用能力を育てる文脈の中で語ることが、制度的な裏づけのある回答になります。


批判的思考力とは、与えられた情報を無批判に受け入れるのではなく、根拠・信頼性・論理の整合性を検討する力です。


生成AIが出力する情報は、正確でない場合があります。


生成AIを教育に活用する文脈において、批判的思考力の育成は避けて通れない論点です。


「生成AIが出力した文章や情報を、そのまま使うのではなく、根拠を確認し、別の情報源と照らし合わせ、自分の言葉で再構成する」


という学習活動の設計が、批判的思考力の育成と生成AI活用を結びつける具体的な実践例として語れます。



★論点④——教師自身のICT活用能力



生成AI・ICTに関する面接質問の中には、教師自身のICT活用能力を問うものもあります。


「ICTを使った授業をどのように準備しますか」


「デジタル教材をどのように活用しますか」


といった形で問われます。


この論点への回答で重要な視点は、教師自身も学び続けるという姿勢を示すことです。


ICT・生成AIの技術は急速に変化しています。


現時点での知識や技術が、数年後も有効であり続けるとは限りません。


「現在学んでいること」


「今後学ぼうとしていること」


という姿勢を示すことで、変化に対応し続ける教師としての姿勢が伝わります。


また、一人で抱え込まず、校内の得意な教員と学び合う・研修に積極的に参加するという姿勢も、組織的な対応という現在の教育の方向性に沿った回答として評価されます。



★論点⑤——ICT活用の「光」と「影」を両方語る



生成AI・ICTの教育活用について面接で語る際に、その有効性だけを一方的に語ることは、避けてください。


ICT・生成AIの活用には、有効性と同時に課題があります。


この両方を理解したうえで語ることが、教育の専門職として成熟した回答になります。



有効性としては、


個々の学習状況に応じた個別最適な学習の実現、


情報の収集・整理・共有の効率化、


視覚的・聴覚的な教材による理解の深化、


遠隔でのつながりの確保、


といった点が挙げられます。



課題としては、画面への過度な依存、


対面でのコミュニケーション機会の減少、


情報の真偽を確認しない安易な活用、


プライバシーや著作権に関わるリスク、


といった点があります。



有効性と課題の両方を理解したうえで、「有効性を最大化しながら課題に対処するために、教師としてどのような授業設計をするか」という視点で語ることが、このテーマの回答として最も深みのあるものになります。



★面接での回答の組み立て方



生成AI・ICTに関する質問への回答も、PREP法を基本として組み立ててください。



「生成AIの教育活用についてどう考えますか」という質問を例にして、構成を示します。



Point(結論)


「生成AIは、子どもたちが思考力・判断力・表現力を育てるための学習活動を豊かにする手段として位置づけることが重要だと考えています。」



Reason(理由)


「生成AIの活用を目的にすると、子どもたちが自分で考える機会が失われる可能性があります。一方で、生成AIの出力を批判的に検討し、自分の言葉で再構成するという学習活動の中では、思考力の育成と生成AIの活用が両立できると考えるからです。」



Example(具体例)


「たとえば、生成AIが出力した文章を読んで、その根拠を調べ、自分の考えと比較したうえで意見文を書くという学習活動を設計することで、批判的思考力と表現力の両方を育てることができると考えています。」



Point(結論の再提示)


「生成AIを手段として位置づけ、子どもたちの思考を深める授業設計をすることが、教師としての役割だと考えています。」



この構成で答えることで、教師としての考え方が整理された形で伝わります。



★知識の不足を正直に述べることの重要性



生成AI・ICTに関するテーマは、技術の進歩が速いため、すべての最新動向を把握することは困難です。


知らないことを問われたとき、知ったかぶりをすることは最も避けるべき対応です。


「その点については詳しく存じませんが、教育の観点から考えると、○○ではないかと思います」


という形で、知識の不足を認めながら、教師としての考えを語ることが誠実な回答です。


技術的な詳細を知らないことは、面接における致命的な問題にはなりません。


教師としての視点で考え、語れることが、このテーマの面接回答において求められる核心だからです。



★最後に——生成AI・ICTは「教育の本質」から語る



生成AI・ICTに関する面接質問への回答において、常に立ち返るべき軸は「教育の本質」です。


ICTや生成AIがどれだけ進化しても、教育の目的は変わりません。


子どもたちが自分で考え、判断し、表現し、他者と関わり合いながら成長することを支えることが、教師の仕事の本質です。


ICT・生成AIをその本質に向けた手段として位置づけ、子どもたちの学びをどのように豊かにするかという視点で語ること。


それが、このテーマを面接でどう語るかという問いへの、最も確かな答えです。




河野正夫



 
 
 

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