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第24回:<大学生のための面接無料講座> 特別支援教育の基本と面接での語り方

  • 執筆者の写真: 河野正夫
    河野正夫
  • 2025年6月30日
  • 読了時間: 5分

第24回 特別支援教育の基本と面接での語り方


制度と人間理解を融合し、「共に学ぶ教育」を語る力を養う



近年の教員採用試験では、「特別支援教育」に関する問いがほぼ毎年のように出題されるようになっています。


これは、制度の変化だけではなく、特別な支援を必要とする児童生徒の在籍があらゆる学校に広がっているという現実を反映しています。


もはや、特別支援教育は、特別支援学校の教員だけが担う領域ではありません。


通常の学級担任であっても、「合理的配慮」や「個別の教育的ニーズ」に対応する力が求められる時代です。


面接では、こうした現状を踏まえたうえで、「特別支援教育についてどのように理解しているか」「そのためにどのような準備をしているか」「自分がどんな教師でありたいと考えているか」を、自らの言葉で語ることが求められます。


今回は、制度的理解と教育観の両面から、語りのポイントを整理していきます。





1.特別支援教育の基本理念を押さえる



特別支援教育は、障害のある子どもたちが自立と社会参加に向けて、最大限に力を伸ばせるよう支援することを目的としています。


その基本には、「インクルーシブ教育システムの構築」があり、これは障害のあるなしにかかわらず、すべての子どもが共に学ぶ社会を目指す考え方です。


この理念を理解しておくことは、面接で語る際の土台になります。


制度的には、2007年から「特別支援教育」へと移行し、障害種別ごとの枠組みから、個別の教育的ニーズに応じた支援へと転換が進められています。


この点に触れることで、「用語や歴史を正しく理解している」という基礎力を示すことができます。



2.「通常の学級における支援」も語れるようにする



特別支援教育というと、特別支援学校や特別支援学級のことだけを想像しがちですが、実際には、通常の学級にもさまざまな困難を抱えた児童生徒が在籍しています。


たとえば、読み書きに著しい困難を示すLD(学習障害)や、対人関係に課題を抱えるASD(自閉スペクトラム症)、注意集中が難しいADHDなど、診断の有無にかかわらず、配慮が必要な子どもは少なくありません。


面接では、「特別支援教育を、通常の学級でどのように生かそうと考えていますか?」という問いがなされることがあります。


その際には、「教科指導の方法を工夫することで、子どもが自分の力を活かせるようにしたい」や「周囲の児童にも多様性を理解する視点を育てたい」といった、実際の教育場面を想定した語りが求められます。



3.合理的配慮とユニバーサルデザインの視点



特別支援教育におけるキーワードとして、「合理的配慮」と「ユニバーサルデザイン」という言葉があります。


合理的配慮とは、一人ひとりの特性に応じた調整や工夫を行うことで、学習や生活の障壁を取り除くことです。


たとえば、黒板の文字が見えづらい子に対して、席の位置を変える、拡大プリントを配布するといった対応がこれにあたります。


一方、ユニバーサルデザインは、誰にとってもわかりやすい・使いやすい授業や環境をあらかじめ設計しておく考え方です。


特定の誰かのためではなく、全員が安心して参加できる学びを構築する意識が問われます。


面接では、「合理的配慮をどのように実現しようと考えていますか?」という問いに対して、「一人ひとりの困り感を見逃さず、本人と話し合いながら調整を加えていく姿勢が重要だと考えます」などと答えることで、支援の主体を子どもに置いた教育的まなざしが伝わります。



4.人間理解と信頼関係の構築



特別な支援が必要な子どもと関わるうえで、制度や知識の理解以上に大切なのが、「その子をどう理解しようとするか」「どう信頼関係を築こうとするか」という姿勢です。


教師は、すべての子どもを“問題行動の主体”としてではなく、“困難さを抱えた存在”として捉える必要があります。


たとえば、教室でじっと座っていられない子がいたとします。


外から見れば「落ち着きがない」と思われるかもしれませんが、その背景には不安や感覚過敏があることもあります。教師として、「行動の背後にある気持ちに目を向ける」というまなざしを持てるかが、面接でも問われています。



5.教育実習やボランティア経験との接続



もしも教育実習や学外活動の中で、特別支援教育に関わった経験があれば、それを語ることは非常に効果的です。


たとえば、「実習先で、読み書きが苦手な児童に対して、板書の要点をピクトグラムで整理する工夫をしました」といった具体的なエピソードは、単なる理論ではなく、実践と姿勢の両方を示す材料となります。


また、特別支援学級の授業参観、支援学級での補助活動、大学での関連科目の履修なども、面接における語りの素材になります。


語る際には、「その経験から、どんな価値観を得たか」「自分の教師像にどんな影響を与えたか」まで落とし込むことで、自己理解としての語りに深みが生まれます。



まとめ



特別支援教育について問われるとき、面接官が見ているのは「知っているかどうか」ではありません。


むしろ、「その子にとって何が必要かを、自分なりに考え続けようとする教師かどうか」が問われています。


制度的な知識、合理的配慮の考え方、通常学級における配慮の工夫などを踏まえつつ、そこに人間的まなざしと教育的意志を融合させて語ることが重要です。


あらゆる教室で、支援が必要な子どもたちと出会う可能性がある今、特別支援教育を自分の専門性の一部として捉え、そのために日々学び続けようとする姿勢を、ぜひ面接でも表現してください。



次回(第25回)は、「教育施策の要点解説:面接に活かすための理解法」と題し、教育政策の知識を単なる暗記で終わらせず、自分の言葉で語るための整理術と応用法を解説します。



ご期待ください!




河野正夫



 
 
 

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