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第23回:場面指導の頻出パターンと対応の型。【教採ブログ連載】

  • 執筆者の写真: 河野正夫
    河野正夫
  • 3 日前
  • 読了時間: 8分

【教採ブログ連載】


第23回


場面指導の頻出パターンと対応の型





★場面指導とは何を問う試験か



教員採用試験の2次試験における場面指導は、学校現場で実際に起こりうる具体的な場面を設定し、受験者がその場でどのように対応するかを実演する試験です。


「授業中に突然泣き出した子どもへの対応」


「いじめの訴えを打ち明けてきた子どもへの関わり」


「保護者から電話でクレームを受けた場面」


といった場面が、課題として与えられます。


場面指導が問うているのは、知識の量ではありません。


実際の教育場面において、教師としてどのような言葉を使い、どのような態度で関わるかという、実践的な対応力です。


「いじめには組織的に対応します」という知識を持っていても、実際にいじめを打ち明けてきた子どもの前でどのような言葉をかけるかは、別の問題です。


言葉として語れること、動きとして実演できることが、場面指導で求められる力です。


この試験の本質を理解したうえで、準備の方向性を定めることが重要です。



★場面指導の2つの形式



場面指導の実施形式は、自治体によって大きく2つに分かれます。



1つ目は、課題があらかじめ公表される形式です。


川崎市などが代表的な自治体です。



2つ目は、課題が当日その場で提示される形式です。


試験会場で初めて課題を与えられ、非常に短い準備時間の後に実演する形式です。



この2つの形式では、準備の方法が異なります。


しかし、いずれの形式においても、準備の核心となるのは指導脚本を完成させることです。


この点は、模擬授業における授業台本の位置づけと同じです。



★課題が事前公表される自治体の準備



課題テーマがあらかじめ公表されている自治体を受験する場合、準備の方向は明確です。


公表されたテーマについて、完全な指導脚本を作成することが、準備の出発点です。


指導脚本とは、その場面においてどのタイミングで何を言い、どのような表情・動作・間を取るかを、一言一句書き起こしたものです。



「子どもにどう声をかけるか」


「子どもの反応にどう応じるか」


「その後どのように展開するか」


という流れを、脚本として完成させてください。



指導脚本の作成においては、卓越した指導者に書いてもらうことが、最も質の高い準備につながります。


第22回で述べた授業台本と同様に、場面指導の脚本も、専門家が書いたものの質は、独学で作ったものの質を大きく上回ります。


感覚や思いつきだけで作った脚本では、実際の場面での言葉の精度・対応の順序・子どもへの関わり方の自然さに限界があります。


卓越した指導者に脚本を書いてもらい、その意図を丁寧に解説してもらったうえで、演技指導を受けることが、場面指導での高得点合格への最も確かな道筋です。


脚本を受け取ったあとに求められる受験者自身の作業は、その脚本の言葉の意図を深く理解し、自分の言葉として自然に語れる状態にまで仕上げることです。


脚本を暗記することと、脚本を自分のものにすることは、まったく異なります。


脚本の一言一言がなぜそのように書かれているのかを理解したうえで、本番でその言葉が自然に出てくる状態を目指してください。



★課題が当日提示される自治体の準備



課題が当日その場で提示される自治体の場合、準備の方向は異なりますが、指導脚本の重要性は変わりません。


当日課題が出される場合の準備として最も有効なのは、過去問や予想問題について、完全な指導脚本を数多く作成することです。


一つの課題テーマについて、脚本を完成させる作業を繰り返すことで、場面指導における言葉の組み立て方・対応の順序・子どもへの語りかけ方の型が身についていきます。


この場合も、卓越した指導者に脚本を書いてもらい、多くの脚本を読み込むことが有効です。


様々なテーマの脚本を読み込むことで、場面指導における語りの共通構造が見えてきます。


その共通構造が、初めて出会う課題に対しても対応できる「場面指導の型」です。


当日課題が出される場合でも、この型が身についていれば、短い準備時間の中で脚本を組み立て、実演することができます。


ここでも、演技指導を受けることは不可欠です。


脚本を読めること・書けることと、実際に実演できることは、まったく別のスキルです。


脚本をもとに何度も実演し、指導者からフィードバックを受け、修正するというサイクルを繰り返すことが、場面指導の仕上がりを決めます。



★場面指導の頻出パターン



場面指導のテーマは、多岐にわたりますが、頻繁に出題されるパターンがあります。


児童生徒への直接的な関わりを問うパターンとして、以下のものが挙げられます。



いじめを打ち明けてきた子どもへの対応、


授業中に突然泣き出した子どもへの対応、


友達とのトラブルを訴えてきた子どもへの対応、


学校に来たくないと登校を渋っている子どもへの声かけ、


授業中に問題行動を起こした子どもへの指導、



といったパターンです。



保護者対応を問うパターンとして、以下のものが挙げられます。



わが子がいじめられていると訴えてきた保護者への対応、


学校や教師への不満をぶつけてくる保護者への対応、


子どもが学校に行きたがらないと相談してきた保護者への対応、


といったパターンです。



学級全体への指導を問うパターンとして、以下のものが挙げられます。



学級でいじめが疑われる状況への学級全体への語りかけ、


クラスの雰囲気が沈んでいるときの学級経営上の働きかけ、


友達を傷つける言葉が飛び交っているときの指導、



といったパターンです。



これらのパターンを把握しておくことで、どのテーマが出ても対応の方向性が見えやすくなります。



★場面指導の対応の型



場面指導における対応には、テーマをまたいで共通する型があります。


この型を理解しておくことが、課題が当日提示される場合の準備の核心です。



子どもへの直接的な関わりを問う場面の型は、以下の順序で考えることができます。



まず、子どもの話を聞く姿勢を示すことが最初の一歩です。



「どうしたの?」


「話してくれてありがとう」



という形で、子どもが話しやすい雰囲気を作ることが、関わりの出発点です。



次に、子どもの気持ちを受け止めます。



「それは辛かったね」


「そんなことがあったんだね」



という形で、子どもの感情を否定せず、まず受け止めることが重要です。



その後、事実を丁寧に確認します。



「もう少し詳しく教えてもらえる?」



という形で、何が起きているかを把握します。



最後に、子どもへの対応の方向性を示し、組織的な対応につなげます。



「先生が一緒に考えるから、安心して」


「このことは、先生だけでなく、学校全体で考えていくね」



という言葉で、担任一人で抱え込まず、チームとして対応する姿勢を示します。



被害者を守り抜くという姿勢を、言葉と態度の両方で示すことが、すべての子どもへの関わりの場面に共通する最も重要な軸です。



保護者対応の場面の型は、以下の順序です。



まず、保護者の話を丁寧に聞くことを最初に示します。



「お電話いただき、ありがとうございます」


「おっしゃっていることを、丁寧に聞かせてください」



という形で、傾聴の姿勢を示します。



保護者の訴えを否定せず、まず受け止めます。


事実の確認と学校としての対応を伝えます。


管理職への報告と組織としての対応を示して締めくくります。



★脚本を自分のものにする練習



指導脚本が完成したら、それを自分のものにするための練習を繰り返してください。



練習の手順は、模擬授業の台本と同様です。


まず脚本を声に出して読み、言葉の流れを確認します。


次に脚本を見ながら、実際に動きを伴わせて実演します。


子どもに語りかける動作、しゃがんで目線を合わせる動作、保護者に頭を下げる動作といった、身体の動きも脚本と連動させて練習してください。


脚本を見ずに実演できるようになったら、録画して確認します。


言葉の自然さ・表情・間の取り方・子どもや保護者への態度が、脚本の意図と一致しているかを確認してください。



指導者から演技指導を受け、フィードバックをもとに修正するサイクルを繰り返すことが、場面指導の仕上がりを決める最も重要な作業です。


自分では気づかない言葉のぎこちなさ・表情の硬さ・間の取り方の不自然さは、第三者の目を通してしか見えてきません。



★場面指導で避けるべき対応



場面指導でよく見られる、評価を下げる対応のパターンを整理しておきます。



担任一人で解決しようとする対応です。


「私が何とかします」という個人の熱意だけを前面に出す対応は、現在の学校教育の組織的対応という基本から外れています。



問題の深刻さを軽く見る対応です。


「そんなに心配しなくて大丈夫」という言葉は、子どもや保護者の訴えを否定することになります。


まず受け止めることが、すべての場面の出発点です。



子どもの訴えを即座に否定する対応です。


「それは誤解じゃないかな」という形で、子どもの言葉を最初から疑う対応は、信頼関係を損ないます。



これらの対応は、脚本を丁寧に作り込み、演技指導を受けることで、自然に排除されていきます。



★最後に——脚本が、実演を自由にする



場面指導において、脚本を完成させることを「制約」として感じる必要はありません。



脚本があるから、本番で言葉が自然に出てきます。


脚本があるから、子どもや保護者への語りかけに集中できます。


脚本があるから、動きと言葉が連動した自然な実演ができます。


脚本は、場面指導の実演を自由にする土台です。



課題が事前に公表されている自治体では、完全な脚本を作成し、演技指導を受けて徹底的に仕上げてください。


課題が当日提示される自治体では、過去問・予想問題の脚本を数多く読み込み、演技指導を受けることで、場面指導の型を身につけてください。



どちらの形式においても、脚本の質と演技指導の密度が、場面指導の合格を左右します。




河野正夫




 
 
 

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