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第23回:<大学生のための面接無料講座> ICT活用・GIGAスクール時代に教師はどう対応すべきか?

  • 執筆者の写真: 河野正夫
    河野正夫
  • 2025年6月29日
  • 読了時間: 5分

第23回 ICT活用・GIGAスクール時代に教師はどう対応すべきか


テクノロジーと教育観の接続を言語化する



かつて「黒板とチョーク」が当たり前だった教室は、今や1人1台の端末と高速通信ネットワークが整備された、いわゆる「GIGAスクール時代」へと大きく変貌を遂げました。


文部科学省の推進するGIGAスクール構想は、子どもたちの学びの可能性を拡げると同時に、教師に対しても新たな力量や教育観の更新を迫るものです。


教員採用試験の面接では、ICT活用に関する質問が年々増えており、それは「使えるかどうか」だけではなく、「どのような理念に基づいて、どう活用するか」という教育的姿勢まで含めて評価される傾向にあります。


今回は、ICT活用の制度的背景と、教師としての応答の構えをどのように語ればよいかを考察します。





1.GIGAスクール構想とは何か



GIGA(Global and Innovation Gateway for All)スクール構想は、すべての児童生徒に1人1台の端末と高速通信ネットワークを整備し、個別最適化された学びと協働的な学びを両立させる教育環境を実現しようとする取り組みです。


これは単なるデジタル化ではなく、学びの本質的な変革を目指す構想であり、教師の側にも新しい授業観や教育観が求められます。


面接では、「ICTをどう活用したいですか?」という形式で問われることが多いですが、その背景には「あなたは学びの変化にどう応じる姿勢を持っていますか?」という本質的な問いが隠れています。



2.「操作」よりも「教育目的の明確化」が問われる



ICT活用と聞くと、「端末の使い方」「アプリの活用法」といったスキル的な話題に意識が向きがちです。


しかし、面接で評価されるのは、「なぜその手段を使うのか」「どんな学びを実現したいのか」という目的の明確さです。


たとえば、「ロイロノートを使って発表資料を作成させたい」と語るだけでは弱く、「対話的な学びを成立させるために、情報を視覚的に共有する手段として端末を用いることで、生徒同士の気づきや議論を深めたい」といった文脈まで含めて語る必要があります。



3.ICT活用を「個別最適化」と「協働的な学び」の両面から捉える



GIGAスクール構想の核心は、ICTを用いて「個別最適化された学び」と「協働的な学び」を両立させる点にあります。


個別最適化とは、一人ひとりの進度や関心に応じた学習を支援する視点であり、協働的な学びは、他者との対話や協働によって学びを深めていく視点です。


面接で語る際には、「この2つのバランスをどう取るか」という視点が効果的です。


たとえば、「児童が自分の理解度に合わせて動画教材を見たり、演習課題に取り組んだりする個別学習の時間を設けた上で、その後にグループで意見を共有し合う活動を組み合わせたい」といった語りは、両者を意識した実践構想として説得力があります。



4.「ICTを使う教師像」をどう描くか



ICT活用が苦手な学生にとって、「私は機械が得意ではないので…」という言い訳が口癖になることがありますが、現場に立てば、苦手・得意にかかわらず対応が求められます。


したがって、面接では「操作力の有無」ではなく、「学びのために手段を選ぶ柔軟性」や「学ぶ姿勢を持ち続けられる教師かどうか」が問われています。


たとえば、「ICTにはまだ習熟の余地がありますが、子どもと一緒に学ぶ姿勢で、必要な場面で適切な手段を選べるよう努めています」と語れば、誠実さと教育的成長意欲の両面が伝わります。



5.ICT活用で「見えにくくなるもの」にも目を向ける



ICTの活用には明るい側面だけでなく、注意すべき課題もあります。


たとえば、画面上のやりとりでは子どもの感情や表情の変化が見えにくくなること、対面でのやりとりが減ることで関係性が希薄になることなどが挙げられます。


面接でICT活用を語る際には、こうしたリスクに対しての配慮を示すことで、教育的なバランス感覚が評価されます。


たとえば、「端末の活用が学習の効率を高める一方で、子ども同士や教師との直接的な関わりを意識的に確保する必要もあると感じています」と語ることで、単なる“導入ありき”ではない慎重な視座が伝わります。



6.ICTは“手段”であり、“価値の媒介”である



ICT活用において、もっとも重要な前提は、「ICTは教育の価値を媒介する手段である」という認識です。


あくまで主役は子どもであり、ICTは子どもたちの思考を引き出したり、表現を助けたり、つながりを支えたりするための手段であるべきです。


したがって、面接では「○○を使いたい」ではなく、「○○という手段を通して、どのような子どもの変化を目指すか」という視点で語ることが、最も信頼されるアプローチとなります。



まとめ



ICT活用やGIGAスクール構想に対する問いは、「あなたはこれからの学びのあり方を、どう捉えているか」を問うものです。


その答えは、ツールの知識やスキルではなく、「学びの意味」や「子どもとの関係性」をどう設計していくかという教育観の問題として構築する必要があります。


制度的な背景を理解したうえで、自分なりの教育哲学と接続した語りを準備することが、これからの面接では欠かせません。


ICTは「目的」ではなく「手段」である。


この軸を忘れずに、自分らしい実践のイメージを育ててください。



次回(第24回)は、「特別支援教育の基本と面接での語り方」を扱います。


特別な支援を必要とする児童生徒との関わりにおいて、制度と人間理解をどう融合させるかを解説します。



ご期待ください!




河野正夫


 
 
 

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