第23回 面接官を味方にする態度と表情の使い方
- 河野正夫
- 2025年9月18日
- 読了時間: 5分
第23回 面接官を味方にする態度と表情の使い方
<教員採用試験 面接合格講座(連載全30回)>
1.はじめに
教員採用試験の面接は、単なる質疑応答の場ではありません。
面接官は、受験者の教育観や指導観を言語的に確認するだけでなく、態度や表情から教育者としての適性を総合的に評価しています。
面接官は同時に複数の受験者を評価するため、「この人と一緒に働きたい」「子どもや保護者に任せても安心だ」という感覚を持てるかどうかが、合否を分ける大きな要因となります。
そのため、面接官と信頼関係を築き、味方にできるような態度と表情を意識することが極めて重要です。
本稿では、心理学的理論と教育現場の実情を踏まえながら、面接官を味方にするための具体的な戦略を解説します。

2.面接官が重視する「態度」の意味
(1)態度は教育者としての人格の表れ
面接でいう「態度」とは、単に礼儀作法を守ることだけを意味しません。
受験者の内面的な価値観や人柄が、外面的な行動として現れるものです。
たとえば、姿勢の保ち方や話し方のテンポは、子どもとの関わり方や授業中の指導姿勢を連想させます。
面接官はこれらを通して、採用後の具体的な姿をイメージします。
(2)態度から推測される三つのポイント
面接官が態度を見て推測するのは、主に以下の三点です。
1. 安定感:教室で冷静に子どもを導けるか
2. 協働性:他の教員や保護者と円滑に連携できるか
3. 信頼性:子どもや保護者に安心感を与えられるか
これらが欠けていると、教育技術や知識が優れていても、総合評価は下がります。
3.表情が与える心理的影響
(1)「笑顔」の基本的役割
面接における表情で最も重要なのは、自然な笑顔です。
笑顔は、面接官に安心感を与えるだけでなく、受験者自身の緊張を和らげる効果もあります。
ただし、常に笑っていれば良いというわけではありません。
質問内容によっては、真剣な表情で答えることも必要です。
表情の切り替えが、教育者としての成熟度を示します。
(2)無表情が与えるマイナス効果
無表情は、冷淡さや自信のなさと誤解されやすく、評価を下げます。
特に、緊張して表情が固まると、実際以上に「覇気がない」「やる気が感じられない」と受け取られることがあります。
これを防ぐためには、口角を少し上げる「微笑」を基本とし、自然な表情を維持する訓練が必要です。
(3)視線との連動
表情と視線は一体となって評価されます。
笑顔であっても視線が泳いでいると不自然に見えます。
面接官の目を適度に見ながら、誠実さを伝えることが大切です。
4.具体的な態度のポイント
ここでは、面接官に安心感を与えるための具体的な態度のポイントを紹介します。
(1)入室時
ドアを静かに開閉する。
面接官の方を向き、落ち着いて一礼する。
「失礼いたします」とはっきりと挨拶する。
目線を正面に保ち、歩くスピードはゆっくりと。
この一連の動作が第一印象を決定づけます。
慌てて入室すると、不安定な印象を与えます。
(2)着席から応答まで
背筋をまっすぐに保ち、肩の力を抜く。
両手は膝の上に自然に置く。
足を組まない、貧乏ゆすりをしない。
教師としての安定感は、落ち着いた姿勢から伝わります。細部まで意識しましょう。
(3)応答中の態度
面接官の話を聞くときは軽くうなずき、理解していることを示す。
声の大きさは教室で授業を行うときよりもやや小さめに。
言葉を発する前に一拍おき、間を意識する。
これらの積み重ねが「子どもにとって安心できる教師像」を形成します。
5.心理的距離を縮めるための戦略
面接官を「敵」として捉えると、緊張が増し、表情や態度が硬直します。
むしろ、面接官を協働者として捉えることが重要です。
(1)面接官を「同じ目標を持つパートナー」と考える
面接官は受験者を落とすためではなく、子どもを任せられる人材を見極めるために質問をしています。
「教育現場をより良くしたい」という共通の目的を持っていると考えると、心理的な距離が近づきます。
(2)非言語で「共感」を示す
面接官の話をよく聞き、表情で共感を示す。
「うなずき」「微笑み」「前傾姿勢」で積極的な姿勢を伝える。
こうした非言語の共感表現は、言葉以上に「この人は協働できる」という印象を与えます。
(3)面接室全体を意識する
視線は特定の面接官だけに集中させず、全員に均等に配ります。
また、話すときは面接官の後ろに子どもがいるイメージを持つと、自然で教育的な表情になります。
6.練習とフィードバック
態度や表情は、自分では客観的に把握することが難しいため、教員採用試験に精通した優れた指導者に評価してもらうことが不可欠です。
勤務校の管理職や同僚、ゼミ仲間は面接指導の専門家ではないため、適切な助言は期待できません。
(1)録画による自己分析
入室から退室までを録画し、表情、視線、姿勢を確認します。
自分では気づかない癖や不自然さを客観的に把握できます。
(2)模擬面接での修正
専門家による模擬面接を繰り返すことで、安定感と自然さが身につきます。
特に、表情が硬い人は繰り返し練習することで柔らかさを獲得できます。
7.よくある失敗例と改善策
(1)作り笑いが不自然になる
改善策:
口角をわずかに上げる「微笑」を基本にし、目元も柔らかく保つ。
(2)視線が泳ぐ
改善策:
面接官の目と鼻の間あたりを見ると自然に見える。
(3)姿勢が硬直する
改善策:
深呼吸で肩の力を抜き、座る前に一度姿勢を整える。
8.まとめ
面接官を味方にするためには、言語内容だけでなく、態度と表情が重要な役割を果たします。
☆態度は教育者としての人格を表す。
☆表情は誠実さと安心感を伝える。
☆非言語で共感を示すことで心理的距離を縮める。
☆練習は必ず教員採用試験に精通した優れた指導者の指導のもとで行う。
面接官は「この人と共に働きたい」と思える受験者を求めています。
態度と表情を磨くことは、単なる面接対策にとどまらず、教員としての資質を高める営みでもあります。
次回予告
第24回は「自信を伝える身体表現―『姿勢』『ジェスチャー』の実践」です。
身体表現を通じて面接官に安心感と説得力を与える方法を解説します。
河野正夫



コメント