top of page
検索

第22回:<大学生のための面接無料講座> いじめ・不登校・ヤングケアラー、現代の教育課題と向き合う力。

  • 執筆者の写真: 河野正夫
    河野正夫
  • 2025年6月28日
  • 読了時間: 5分

第22回 いじめ・不登校・ヤングケアラー、現代の教育課題と向き合う力


制度的理解と人間的姿勢を両立させて語る



教員採用試験の面接において、「いじめ」「不登校」「ヤングケアラー」といった社会的教育課題は、単なる知識問題ではなく、受験者の教育的視座・人間理解・現場への構えを測る問いとして、頻出しています。


これらの課題は、いずれも複雑な背景を持ち、単一の対応策では語りきれません。


しかし、その一方で、面接では限られた時間の中で、誠実さと現実的な対応力、そして制度的理解を統合して語る必要があります。


今回は、現代の教育課題にどう向き合うかというテーマについて、面接で語るべき最低限の制度的理解と、教師としての人間的な姿勢をどう表現するかを考えていきます。





1.「知っている」だけでは通用しない時代



教育課題について問われたとき、多くの受験者は「知識の有無」に焦点を当てがちです。


しかし、面接官が見ているのは「この人は現実の子どもたちの中で、何を大切にしようとしているか」「制度と個のあいだで、どんな姿勢を保とうとしているか」という、受験者の教育観のあり方です。


たとえば、「いじめ防止対策推進法があります」と答えるだけでは不十分です。


むしろ、その法制度の背後にある「子どもの尊厳を守る」という理念に、どのように自分が関わっていくつもりかを語ることが求められます。



2.いじめ


「未然防止」と「組織対応」の両輪



いじめに関する質問では、「未然に防ぐ取り組み」と「発生時の対応」の両面を押さえて語る必要があります。


制度面では、いじめ防止対策推進法や、学校におけるいじめ防止基本方針、学級担任としての初期対応、校内組織(いじめ対策委員会など)の存在を最低限知っておくことが望まれます。


同時に、人間的姿勢として、「子どもの小さなサインを見逃さない感受性」「同調圧力の芽に気づく観察力」「加害者・被害者という単純な構図にとらわれない理解力」が問われます。


たとえば、「私は毎日のちょっとした言動の背景に、孤立や対人不安の兆しがあるかもしれないと捉えるように意識しています」といった具体的な視点があると、受け止める力のある教師像が伝わります。



3.不登校


「支援」ではなく「関係の再構築」



不登校は単なる登校の有無ではなく、「学校という場に戻ることが困難な状態にある子どもたち」との関係をどう取り戻していくかという長期的な問いかけです。


文部科学省の「不登校児童生徒への支援の在り方に関する通知」や、「教育支援センター」「家庭訪問」「校内フリースペース」などの支援体制は最低限押さえておく必要があります。


それ以上に大切なのは、「子どもの選択を尊重し、学校に戻すことを目的化しない支援」ができるかどうかです。


たとえば、「子どもが学校以外の場で安心して過ごせる時間を確保し、再び学びへの関心が育まれるような関係づくりを重視します」といった語りには、制度と教育的まなざしの両方が含まれています。



4.ヤングケアラー


家庭の役割と子ども時代の保護



ヤングケアラー(家族の世話や介護、家事などを日常的に担っている子どもたち)への関心は、近年急速に高まっています。


しかし、面接でこの話題が出た際、表面的な同情で終わらせてしまうと、かえって評価を落とす可能性もあります。


求められるのは、「家庭に介入する」という難しさを踏まえた上で、「子どもにとっての安心基地としての学校をどのように機能させるか」という視点です。


たとえば、「私は、家庭状況に立ち入ることが難しい場合でも、子どもが学校で過ごす時間に安心できるよう、過剰な期待や役割の押しつけを避け、まずは丁寧に話を聴くことから始めます」といった語りができれば、現実を踏まえた上での具体的な教育的対応が見えてきます。



5.「制度」と「姿勢」を一体化して語る



これらの課題に対応するには、制度的な知識と教育的な関係構築力が不可分であることを理解し、語ることが必要です。


どちらか一方に偏ってしまうと、「勉強はしているが現場に立つ準備ができていない」「想いはあるが知識が不足している」と判断されるおそれがあります。


語るべきは、「どんな制度があるか」ではなく、「自分はその制度を、子どものどんな場面で、どう活かしたいと思っているか」です。


この視点を持って語ることで、単なる知識の羅列ではなく、「この人は現場で具体的に動けそうだ」と伝えることができます。



6.教育課題を「誰のためのものか」と捉え直す



面接の本質は、「目の前にいる受験者が、現場で誰の味方になれるか」を見極めることにあります。


いじめ、不登校、ヤングケアラーは、いずれも「弱音を言いにくい子どもたち」に関わる課題です。


したがって、「一人ひとりの声を聴く姿勢を持ち続けること」「“普通”という枠にとらわれず、その子の生きる現実を理解する努力を続けること」が、語りの中でにじみ出ているかどうかが問われます。



まとめ



いじめ、不登校、ヤングケアラーといった教育課題に向き合うには、制度的な知識の整理とともに、「教師としての態度」を言語化する力が必要です。


そのためには、制度を道具のように扱うのではなく、「その制度を使って何を守りたいのか」「子どものどんな成長を支えたいのか」を、自分の言葉で語る準備が欠かせません。


面接では、こうした課題に出会ったとき、自分は何を大切にして、どこから始めるのかという姿勢と構えが伝わる語りを目指してください。



次回(第23回)は、「ICT活用・GIGAスクール時代に教師はどう対応すべきか」をテーマに、テクノロジーと教育の関係性を、自分の教育観とつなげて語る方法を解説します。



ご期待ください!




河野正夫





 
 
 

コメント


bottom of page