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第22回 緊張コントロール:呼吸・マインドセット・ルーティン法

  • 執筆者の写真: 河野正夫
    河野正夫
  • 2025年9月17日
  • 読了時間: 6分

第22回 緊張コントロール:呼吸・マインドセット・ルーティン法



<教員採用試験 面接合格講座(連載全30回)>



1.はじめに



教員採用試験の面接は、多くの受験者にとって人生を左右する大きな関門です。


そのため、本番では緊張感が高まり、思考や身体のコントロールが難しくなることがあります。


緊張は決して悪いものではなく、適度な緊張は集中力を高め、パフォーマンスを向上させます。


しかし、緊張が過度になると、声が震える、頭が真っ白になる、表情がこわばるといった状態に陥り、本来の力を発揮できません。


本稿では、面接本番で最大限の実力を発揮するために、科学的根拠に基づいた緊張コントロール法を解説します。


特に「呼吸」「マインドセット」「ルーティン」という三つの柱に焦点を当て、実践的な戦略を提示します。





2.緊張のメカニズム



緊張を効果的にコントロールするためには、まずそのメカニズムを理解する必要があります。



(1)自律神経と緊張


緊張は、自律神経のうち「交感神経」が優位になることで生じます。


交感神経が活発になると、心拍数が上がり、呼吸が浅く速くなり、筋肉が硬直します。これは身体が「戦うか逃げるか」の準備をしている状態で、面接という重要な場面では自然に起こる反応です。



(2)適度な緊張と過度な緊張


適度な緊張は集中力を高めますが、過度な緊張はパフォーマンスを妨げます。


心理学ではこれを「逆U字仮説」として説明します。


緊張がゼロでは気が緩み、緊張が高すぎると実力が発揮できません。


中程度の緊張状態が最も望ましいのです。



(3)緊張の自覚が第一歩


多くの受験者は、緊張を「抑えよう」と考えますが、完全にゼロにすることは不可能です。


大切なのは、緊張を自覚し、そのエネルギーをコントロールしてパフォーマンスに活かすことです。



3.呼吸法


身体から心を整える



呼吸は、自律神経に直接働きかける最も効果的な方法です。


緊張で呼吸が浅くなると酸素が不足し、さらに焦りが増します。


意識的な呼吸法を取り入れることで、身体と心を落ち着かせることができます。



(1)腹式呼吸


最も基本的な呼吸法が腹式呼吸です。


以下の手順で行います。



①椅子に座り、背筋を伸ばす。


②鼻からゆっくり息を吸い込み、お腹をふくらませる。


③口からゆっくり息を吐き、お腹をへこませる。


④吸う:吐く=1:2のリズムを意識する。



面接直前に腹式呼吸を数回行うだけで、心拍数が落ち着き、冷静さを取り戻せます。



(2)呼吸に意識を向ける


緊張しているときは、「失敗したらどうしよう」という不安が頭を支配します。


呼吸に意識を集中させると、過剰な思考を一時的に止めることができます。


これは、マインドフルネスと呼ばれる心理学的手法の一部でもあります。



(3)実践のタイミング


☆面接会場に入る前に深呼吸をする。


☆面接官に呼ばれる直前に腹式呼吸を3回行う。


☆質問を受けて答える前に一拍置き、呼吸を整える。



これらを習慣化すると、自然に身体が落ち着く状態を作れます。



4.マインドセット


考え方を切り替える



緊張の多くは「失敗したらどうしよう」というネガティブな思考から生じます。


思考を切り替えるマインドセットを身につけることで、緊張をエネルギーに変えられます。



(1)緊張を敵視しない


「緊張してはいけない」と思うほど、緊張は強まります。


緊張は身体が「大切な場面で力を発揮しようとしているサイン」です。


「緊張しているからこそ集中できる」と捉えることで、恐怖心を軽減できます。



(2)自己効力感を高める


自己効力感とは、「自分はやり遂げられる」という感覚です。


これを高めるためには、過去の成功体験を思い出すことが有効です。

例えば、講師として授業をうまく進められた経験や、子どもと信頼関係を築けた場面を思い出し、「自分はできる」という意識を強化します。



(3)結果ではなくプロセスに集中する


合否という結果ばかりに意識が向くと、緊張が高まります。


面接では「一つひとつの質問に誠実に答える」「落ち着いた所作で行動する」といったプロセス目標を設定しましょう。


プロセスに集中することで、自然と実力が発揮されます。



5.ルーティン法


習慣化による安定化



スポーツ選手が試合前に決まった行動をとるように、面接前にもルーティンを取り入れることで、心を安定させることができます。


ルーティンは「合図」として機能し、身体と心に「これから面接だ」というスイッチを入れます。



(1)ルーティンの例


☆会場到着後に腹式呼吸を3回行う。


☆控室でノートを1ページだけ見返す。


☆面接室に入る前に肩を軽く回す。


☆入室前に「私は落ち着いて答えられる」と心の中で唱える。



これらはシンプルで短時間にできることが望ましいです。



(2)一貫性を保つ


ルーティンは毎回同じ手順で行うことが重要です。


同じ動作を繰り返すことで、脳が安心感を覚え、余計な緊張が減ります。



(3)練習と本番のギャップをなくす


模擬面接でも本番と同じルーティンを行います。


こうすることで、「練習と本番が同じ」という感覚を脳に植え付け、面接当日の特別な緊張を和らげます。



6.模擬面接での練習



緊張コントロールは理論を学ぶだけでは身につきません。


教員採用試験に精通した優れた指導者に評価してもらいながら、模擬面接で実践することが必要です。



模擬面接でのポイントは以下の通りです。



☆呼吸法を実際の場面で試す。


☆面接開始前にルーティンを行い、本番さながらに練習する。


☆指導者から所作や声の安定感に関するフィードバックを受ける。



こうした練習を繰り返すことで、緊張状態でも自然に落ち着いて振る舞えるようになります。



7.よくある失敗と改善策



(1)緊張を抑え込もうとする


「緊張してはいけない」と思うと逆効果です。


改善策:


緊張を受け入れ、「適度な緊張は力になる」と意識を切り替える。



(2)呼吸が乱れる


緊張で呼吸が浅くなると、声が震えたり思考が停止したりします。


改善策:


腹式呼吸を習慣化し、息を吐く時間を長くする。



(3)ルーティンを複雑にする


複雑なルーティンは本番で混乱を招きます。


改善策:


シンプルで覚えやすいルーティンを作る。



8.まとめ



緊張は敵ではなく、使い方次第で味方になります。


教員採用試験の面接では、緊張を完全に消すことを目指すのではなく、コントロールして集中力に変えることが重要です。



☆呼吸法で身体から落ち着きを取り戻す。


☆マインドセットで思考を切り替える。


☆ルーティンで面接モードにスイッチを入れる。


☆専門家による模擬面接で実践的に練習する。



これらを組み合わせることで、面接本番でも自分らしさを保ちながら、最高のパフォーマンスを発揮できます。



次回予告


第23回は「面接官を味方にする態度と表情の使い方」です。


面接官との心理的距離を縮め、信頼関係を築くための非言語コミュニケーションの戦略を解説します。




河野正夫



 
 
 

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