第21回:<大学生のための面接無料講座> 今さら聞けない「学習指導要領」と教育課程の理解
- 河野正夫
- 2025年6月27日
- 読了時間: 5分
第21回 今さら聞けない「学習指導要領」と教育課程の理解
制度の基礎を、自分の教育観と結びつけて語る
教員採用試験の面接では、「教育観」や「授業づくり」など、教育的思考を問う質問に対して、必ずと言ってよいほど、全国水準の教育制度をどのように理解しているかが暗黙に問われます。
その中心に位置するのが、「学習指導要領」と「教育課程」の理解です。
しかし、この両者の関係や意味を明瞭に語れる受験者は意外と少なく、単なる知識として覚えているだけでは面接では通用しません。
今回は、教職に就く上で必須となる制度理解を、「語る力」としてどう準備すべきかを解説します。

1.学習指導要領とは何か
学習指導要領とは、文部科学省が定めた全国共通の教育課程の基準であり、小学校・中学校・高等学校・特別支援学校で教えるべき内容、目標、指導上の配慮事項などが明示されています。
これは教育基本法や学校教育法といった法令に基づく公的文書であり、いわば「全国の学校教育の設計図」にあたるものです。
教育現場におけるすべての授業や活動は、学習指導要領の示す目標や観点とつながっていなければなりません。
たとえば、「主体的・対話的で深い学び」という表現は、総則において全教科の根本的な目標とされており、この考え方はすべての指導場面に貫かれるものです。
つまり、教育的理念と実際の指導行動をつなぐ枠組みとして、学習指導要領は機能しています。
2.教育課程との違いと関係
学習指導要領と教育課程は、混同されやすい概念ですが、その関係は明確です。
学習指導要領が全国共通の「基準」であるのに対して、教育課程とは、学校ごとに編成される具体的な教育内容と指導計画の全体を指します。
すなわち、教育課程とは、学習指導要領に基づきながら、各学校が地域や児童生徒の実態に応じて自主的に作成するものです。
面接においては、「教育課程の編成に関わっていく意識がありますか?」といった問いに対して、「学習指導要領を土台に、校種や児童生徒の特性を踏まえた教育課程づくりに携わっていく必要性を感じています」といったように、両者の関係性を明確に語る必要があります。
3.単なる知識として覚えるのではなく、「使う」ために理解する
学習指導要領の内容を丸暗記しても、それを自分の語りや行動に活かせなければ意味がありません。
むしろ、評価されるのは「どの記述に注目し、それをどのように自分の教育観や授業づくりに結びつけているか」という解釈と応用の力です。
たとえば、総則で強調される「カリキュラム・マネジメント」に関心があると語る受験者は、「私は教科横断的な学びや学校全体の連携による資質・能力の育成に関心があります」と続けることで、単なる制度知識を越えて、自らの教育的視座と接続させることができます。
4.面接で問われる典型的な論点
以下のような問いが、学習指導要領・教育課程の理解を測る目的で用いられることが多くあります。
「授業づくりにおいて、学習指導要領はどのような意味を持つと考えていますか?」
「教育課程を編成する際に、学校としてどのような点を重視するべきだと思いますか?」
「主体的・対話的で深い学びを、どのような形で授業に取り入れたいと考えていますか?」
これらの問いに対しては、制度的知識を踏まえた上で、自分の経験や価値観を通して「語り直す」力が求められます。
重要なのは、制度をただ説明するのではなく、それが自分にとって「なぜ大切で、どう活かしたいのか」を主語を明確にして語ることです。
5.教育実習や模擬授業との接点を意識する
制度理解は、現場経験と結びついたときに説得力を持ちます。
たとえば、教育実習で行った授業を振り返り、「目標は学習指導要領の内容に沿って設定したが、指導と評価の一体化を意識しきれなかった」といった失敗や気づきを交えて語ると、学習指導要領を“生きたもの”として理解していることが伝わります。
また、「国語の授業で、話す・聞く活動を中心に組み立てたが、深い学びのための振り返り活動が不十分だった」といったように、自らの指導と学習指導要領の接点を具体的に語ると、制度を“使える力”として身につけていると評価されます。
6.常に「教育の全体構造」を意識する視点を持つ
学習指導要領は単なる教科書のような文書ではなく、「子どもたちがどのような力を身につけ、どのような社会的存在として成長するか」を設計する全国レベルの教育設計です。
だからこそ、受験者には「自分がこの設計の一部に関わっていく存在である」という認識が必要です。
たとえば、「子どもの主体性を育てたい」という理想を語るだけでは不十分です。
その主体性が、「学習指導要領で言う“学びに向かう力・人間性”の育成にどうつながるか」を自分の言葉で語れたとき、制度的理解が本物であると認識されます。
まとめ
学習指導要領と教育課程の理解は、教職への入り口でありながら、最終的には面接で最も本質的な部分を問われるテーマです。
表面的な理解ではなく、自分の教育観、授業観、学校観とどのように接続しているかを語れるかどうかが、評価を分けます。
採用試験に向けては、制度をただ覚えるのではなく、「自分はどの理念に共感し、それをどう実践につなげたいか」という視点で、学習指導要領の読み直しと語りの準備を進めてください。
次回(第22回)は、「いじめ・不登校・ヤングケアラー」など、現代の教育課題にどう向き合うかをテーマに、制度的理解と人間的姿勢の両面から語る方法を解説します。
ご期待ください!
河野正夫



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