第20回:<大学生のための面接無料講座> 追質問に強くなるための「構造記憶術」と即応訓練
- 河野正夫
- 2025年6月26日
- 読了時間: 5分
第20回:追質問に強くなるための「構造記憶術」と即応訓練
即興ではなく、準備された反応力を育てる
教員採用試験の面接では、一問一答形式の質問に加えて、「それはなぜですか?」「具体的には?」「ほかにはありますか?」といった“追質問”が頻繁に行われます。
一次回答の内容に応じて変化するこの形式は、受験者の思考の深さや即応性を評価するためのものです。
しかし、「即答できなかった」「焦って話がブレた」「同じことを繰り返してしまった」など、追質問に対応しきれずに印象を下げてしまう受験者も少なくありません。
今回は、そうした状況を回避するための「構造記憶術」と「即応訓練」の方法を詳しく解説します。

1.追質問は“応用力”より“構造力”を見ている
追質問は、受験者の「反射神経」ではなく、「論理構造への理解」と「一貫性」を見極めるために行われます。
つまり、答えを“用意しているかどうか”ではなく、「自分の主張の中に含まれている前提や展開を、他者の問いに応じて適切に取り出せるかどうか」が見られています。
このとき、思いつきで話を補足することなく、自分の回答がどういう構造で組み立てられているかを理解し、そこから要素を選択的に抽出して答える力=構造的記憶の力が問われます。
2.構造記憶術:PREP+MECEで整理する
即興力を鍛える前に、まずは「そもそも自分の回答が構造的に記憶できているか」を点検する必要があります。
そこで有効なのが、以下の二つのフレームを組み合わせる方法です。
PREP(Point → Reason → Example → Point)
Point(主張):最初に結論を明言する
Reason(理由):主張を支える根拠を述べる
Example(具体例):経験や事例を挙げて説得力を高める
Point(再主張):簡潔に結論を繰り返す
MECE(Mutually Exclusive, Collectively Exhaustive)
相互に排他的で、かつ全体を網羅する要素分けの考え方です。
たとえば「教員に必要な資質は?」と問われた際に、「責任感」「共感力」「柔軟性」と3つ挙げるなら、それぞれの内容が重複せず、合わせて全体像を構成している必要があります。
PREPで話を構成し、MECEでその要素を整理すると、追質問が来たときに「理由の部分をもう少し展開しよう」「具体例の視点を変えて話そう」といった目的に応じた切り出しが可能になります。
3.「予測話法」と「再言語化」で即応力を鍛える
追質問に対して的確に応じるためには、「その場で考えて出す」即興力よりも、「事前に準備していた内容を再構成して出す」能力の方が重要です。
以下の2つの技法が効果的です。
(1)予測話法
面接練習の際、想定質問を作成するだけでなく、それに対する追質問候補を最低3つは用意しておきます。
たとえば:
Q:「なぜ教員になろうと思ったのですか?」
追問例:
「具体的にどんな教師に影響を受けましたか?」
「いつからそう考えるようになりましたか?」
「その気持ちはどのように深まりましたか?」
これを想定することで、「深掘りされるポイント」を意識して話す訓練ができます。
(2)再言語化訓練
同じ内容を異なる言葉で語る練習です。
主張・理由・具体例のそれぞれを、3パターン以上の言い回しで表現してみましょう。
たとえば:
主張①:私は子ども一人ひとりの可能性を信じて接することができます。
主張②:どのような背景を持つ子どもに対しても、公平に関心を向ける姿勢を大切にしています。
主張③:子どもの多様な特性を尊重し、成長を支援することにやりがいを感じます。
こうすることで、同じ軸の上で「問い方に応じた表現の調整」ができるようになります。
4.「話しすぎないこと」も即応力の一部
追質問に強くなるためには、「初回の回答で語りすぎない」ことも、時に重要です。
面接で緊張して長く話しすぎると、「もうこれ以上、補足する内容がない」状態になってしまい、追質問に対して繰り返しや曖昧な返答しかできなくなります。
むしろ、“余白”を残しておくことで、追質問によって自分の主張をより具体化・深化させるチャンスになります。
最初からすべてを語り切る必要はありません。
「主張+核となる理由」までを明確に伝え、そこから誘導的に深掘りさせるのも一つの戦略です。
5.面接練習における「追質問ラウンド」の導入
模擬面接では、以下のような追質問ラウンドを必ず設けるようにしましょう。
1. 1分以内の回答を提示する
2. 面接者役が内容をもとに自由に深掘りする
3. その追質問に対して即座に30秒以内で返す
この往復を通して、構造的理解・言い換え能力・焦らず考える習慣が身につきます。特に教育現場では、予期せぬ出来事に対応する力が求められます。
面接でも、その資質が反映されます。
まとめ
追質問は、単に“深く聞かれること”ではなく、「思考の構造を問われる第二ラウンド」です。
瞬発力や場当たり的な対話力ではなく、あらかじめ構造を意識して記憶・整理し、柔軟に引き出せる訓練が最重要です。
PREP+MECEで構造を明確にし、再言語化と予測話法で柔軟性を高め、模擬面接で実践に落とし込む、この反復が、即応力を“備えた力”へと昇華させる鍵となります。
次回(第21回)は、「学習指導要領」や教育課程の基本的理解を扱い、教育現場の土台に関する知識をどのように面接で活かすかを解説します。
教育的な知識武装の第一歩として、確実に押さえておきたいポイントを整理します。
河野正夫



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