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第20回(最終回):合格後を見据えた継続的成長戦略 

  • 執筆者の写真: 河野正夫
    河野正夫
  • 10月19日
  • 読了時間: 8分

第20回(最終回):合格後を見据えた継続的成長戦略



【教員採用試験の不合格を合格に変える!】(全20回連載)



# 第20回(最終回):合格後を見据えた継続的成長戦略



## はじめに



教員採用試験の合格は、大きな喜びと達成感をもたらします。


しかし、合格はゴールではありません。


むしろ、教員としての長いキャリアのスタート地点です。


優れた教員は、採用試験に合格した後も、生涯にわたって学び続けます。


子どもたちは変化し、社会は変化し、教育を取り巻く環境も変化します。


その中で、常に成長し続ける教員であることが求められます。


最終回の記事では、合格後を見据えて、どのように継続的に成長していくかをお話します。



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## 合格は始まりに過ぎない



まず、合格の意味を正しく理解することが大切です。



**採用試験が測るもの**


採用試験は、教員としての基礎的な資質や知識を測るものです。優れた教員になるための最低限の条件をクリアしたという証明であり、完成された教員であることを意味するものではありません。



**教員の仕事の奥深さ**


教員の仕事は、試験で測れるものだけではありません。


授業づくり、学級経営、生徒指導、保護者対応、同僚との協働など、実践の中でしか学べないことが無数にあります。



**学び続ける姿勢**


教員に最も必要な資質は、「学び続ける姿勢」です。


完璧な教員など存在しません。


日々の実践から学び、常に向上を目指す姿勢が、優れた教員の条件です。



## 採用前から始める準備



合格してから初任者研修が始まるまでの期間も、成長のための重要な時間です。



**基礎的な知識の維持**


採用試験で学んだ教育法規、学習指導要領、教育理論などの知識は、忘れないよう定期的にブラッシュアップします。


これらは、実際の教育活動の土台となります。



**教育書や実践記録を読む**


優れた教員の実践記録や、教育に関する書籍を読みます。


先輩教員たちがどのような工夫をしているのか、どのような考え方で教育に取り組んでいるのかを学びます。



**学習指導要領の深い理解**


採用試験対策として学んだ学習指導要領を、今度は実践者として読み直します。


「この内容を、実際にどう授業にするのか」という視点で読むと、新しい発見があります。



**教材研究の準備**


自分が担当する可能性のある学年や教科について、教科書や指導書を読んでおきます。


完璧に準備する必要はありませんが、事前に目を通しておくことで、着任後の不安が軽減されます。



## 初任者としての学び



初任者の時期は、教員としての基盤を作る最も重要な時期です。



**初任者研修を最大限に活用する**


初任者研修は、教員としての基礎を学ぶ貴重な機会です。


形式的にこなすのではなく、一つ一つの研修から学ぼうとする姿勢が大切です。



**先輩教員に学ぶ**


職場の先輩教員は、最も身近な教師です。


授業の進め方、学級経営の工夫、保護者対応の方法など、積極的に質問し、学びます。



**謙虚に助言を求める**


「分からない」「教えてください」と素直に言える謙虚さが、成長を加速させます。


一人で抱え込まず、分からないことは必ず先輩教員や管理職に相談します。



**失敗から学ぶ**


初任者は失敗して当然です。


失敗を恐れず、失敗から何を学ぶかが重要です。


「なぜうまくいかなかったのか」「次はどう改善するか」を考える習慣をつけます。



## 日々の実践から学ぶ力



教員としての成長の大部分は、日々の実践から生まれます。



**振り返りの習慣**


毎日の授業や学級経営を振り返る習慣をつけます。


「今日の授業でうまくいったことは何か」「改善すべき点は何か」を記録します。



振り返りの方法:


- 授業後、5分間でメモを取る


- 週末に一週間を振り返る


- 学期末に学期全体を振り返る



**子どもから学ぶ**


子どもたちの反応は、最も正直なフィードバックです。


子どもたちが楽しそうに学んでいるか、理解できているか、よく観察します。



**記録を残す**



日々の気づきや学びを記録に残します。


後で見返すことで、自分の成長が分かり、同じ失敗を繰り返すことも防げます。



## 授業力の向上



教員の核となる力は、授業力です。



**授業研究への参加**


校内の授業研究会や、教科の研究会に積極的に参加します。


他の教員の授業を見ることで、多くの学びが得られます。



**教材研究の深化**


教科書を教えるのではなく、教科書で教えます。


一つの単元について、深く教材研究することで、子どもにとって本当に必要な学びが見えてきます。



**発問の工夫**


子どもの思考を深める発問を工夫します。


「はい」「いいえ」で答えられる発問ではなく、子どもが考える発問を意識します。



**評価の充実**


子どもの学びを適切に評価し、次の指導に活かします。


テストの点数だけでなく、子どもの成長を多面的に捉える力を育てます。



## 生徒指導・学級経営の力



授業力と同じくらい重要なのが、生徒指導と学級経営の力です。



**子ども理解を深める**


一人ひとりの子どもを理解しようとします。


家庭環境、友人関係、得意なこと、苦手なこと、興味関心など、多面的に子どもを見る目を育てます。



**温かい関係づくり**


子どもとの信頼関係が、すべての教育活動の土台です。


一人ひとりに声をかけ、話を聞き、温かい関係を築きます。



**組織的対応の実践**


いじめや不登校など、困難な問題には一人で抱え込まず、必ず組織で対応します。


報告・連絡・相談を確実に行う習慣をつけます。



## 保護者・地域との連携



教育は、学校だけで完結するものではありません。



**保護者との信頼関係**


保護者との良好な関係が、子どもの成長を支えます。


日頃から、子どもの良い面を伝え、困った時には早めに相談します。



**丁寧なコミュニケーション**


保護者との連絡や面談では、誠実で丁寧なコミュニケーションを心がけます。


保護者の不安や心配に、真摯に向き合います。



**地域との連携**


地域の方々との協力も大切です。


地域の教育資源を活用したり、地域行事に参加したりすることで、開かれた学校づくりに貢献します。



## 同僚との協働



教員は、チームで働く職業です。



**学年団での協力**


学年の先生方と協力して、学年経営を行います。


情報を共有し、助け合い、学年全体で子どもたちを育てます。



**教科会での学び**


教科の研究会では、指導法や教材について意見を交換します。


他の先生の実践から学び、自分の実践を共有します。



**職員室での学び**


職員室での日常的な会話の中にも、多くの学びがあります。


先輩教員の何気ない一言が、大きなヒントになることもあります。



## 専門性の向上



教員としての専門性を高め続けることも重要です。



**研修への参加**


校内研修だけでなく、教育委員会や教育センターなどが主催する研修にも積極的に参加します。


最新の教育動向や指導法を学びます。



**自主的な学習**


教育に関する書籍を読む、教育雑誌を購読する、オンライン講座を受講するなど、自主的に学び続けます。



**研究と実践の往還**


理論だけでなく実践、実践だけでなく理論、両方を大切にします。


理論に裏付けられた実践、実践から生まれる理論の両方が、専門性を高めます。



## ICT活用力の向上



現代の教員に必須の力が、ICT活用力です。



**基本的なスキルの習得**


GIGAスクール構想により、ICTは教育の基盤となっています。


基本的な操作や活用方法を確実に身につけます。



**効果的な活用法の研究**


ICTは道具です。子どもの学びを深めるために、どう活用するのが効果的かを常に考えます。



**情報モラル教育**


ICTを使うだけでなく、子どもたちに情報モラルを指導する力も必要です。


安全で適切な使い方を指導できるよう、自分自身が正しい知識を持ちます。



## 自己管理と健康



長く教員を続けるには、自己管理が不可欠です。



**ワークライフバランス**


仕事に全力を尽くすことは大切ですが、自分の健康や生活も大切にします。


無理をして体調を崩しては、子どもたちに迷惑をかけることになります。



**ストレスマネジメント**


教員の仕事には、ストレスがつきものです。


適度な運動、趣味の時間、信頼できる人との会話など、ストレスを解消する方法を持ちます。



**長期的視点**


教員のキャリアは長いものです。


最初から全力疾走すると、燃え尽きてしまいます。


長く走り続けるペース配分を考えます。



## 教育への情熱を持ち続ける



最も大切なのは、教育への情熱を持ち続けることです。



**初心を忘れない**


「なぜ教員になりたかったのか」という初心を忘れないことが大切です。


子どもたちの成長を支えたいという思いを、常に心に持ち続けます。



**子どもから学ぶ姿勢**


子どもたちは、毎日新しい発見や気づきを与えてくれます。


教員として教えるだけでなく、子どもから学ぶ謙虚さを持ち続けます。



**教育の意義を見失わない**


日々の忙しさの中で、教育の本質を見失わないようにします。


目の前の事務作業や雑務に追われても、「子どもの成長」という目的を忘れません。



## まとめ



合格後の継続的成長には、学び続ける姿勢、日々の振り返り、授業力と生徒指導力の向上、同僚との協働、専門性の向上、自己管理という6つの要素が重要です。


教員採用試験の合格は、教員としてのキャリアの始まりに過ぎません。


重要なのは、「完璧な教員」を目指すことではなく、「成長し続ける教員」であることです。


失敗や挫折を経験しながら、そこから学び、少しずつ成長していく。その姿勢こそが、子どもたちの模範となります。


あなたが教員になりたいと願い、努力してきたその思いは、必ず子どもたちに届きます。


教員採用試験の準備を通じて身につけた知識や姿勢を土台に、これから始まる教員人生を、充実したものにしてください。


子どもたちの未来のために、共に歩んでいきましょう。


最終回まで、この連載を読んでくださった皆さんが、教員採用試験に合格し、優れた教員として成長されることを、心から願っています。




河野正夫



 
 
 

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