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第19回:<大学生のための面接無料講座> 「エピソード」を主張に変えるストーリーテリング技術

  • 執筆者の写真: 河野正夫
    河野正夫
  • 2025年6月25日
  • 読了時間: 4分

第19回:「エピソード」を主張に変えるストーリーテリング技術


面接におけるエピソードの構造化と説得力の創出



面接試験において、「あなた自身の経験を踏まえて答えてください」といった形式の問いは非常に多く出題されます。


このような問いに対して、単に「体験談を語るだけ」では、十分な評価を得ることはできません。


面接官が評価するのは、あなたの経験そのものではなく、「その経験をいかに教育的文脈に変換し、自らの主張を構造的に語ることができるか」という能力です。


そこで今回は、「エピソードを主張に変えるストーリーテリング技術」について詳しく解説します。





1.なぜ“ストーリー”が必要なのか?



面接の現場では、数分程度の会話の中で受験者の資質や思考力を把握しなければなりません。


その際、印象に残るのは単なるスローガンや抽象的な理念ではなく、「文脈と具体性を備えた語り」です。


ストーリーテリングとは、単なる物語ではなく、「主張」と「根拠」と「意義」の三要素を一貫性のある流れで提示する構成技術です。


これは、教育現場で児童生徒に指導する際にも重要とされる「論理的に語る力」に直結します。


つまり、面接官はエピソードを通じて、あなたの教育的資質や伝達力を観察しています。



2.PREP法では足りない理由と拡張的な構造



多くの就職対策では、PREP法


(Point→Reason→Example→Point)


が推奨されますが(このブログでも、基本的には、PREP法を推奨していますが)、教員採用試験の面接では、これだけでは不十分な場合もあります。


なぜなら、教育現場では「状況への対応」「価値の判断」「関係性の形成」など、より複雑な要素が問われるからです。



そのため、時には、以下のような構造化も効果的です。



背景(Background):


どのような状況・課題があったのか



行動(Action):


その中で自分がどのように動いたのか



結果(Result):


何が変わり、どのような成果や学びがあったのか



意義(Meaning):


それを今の自分にどう活かしているのか、教育にどうつなげるのか



この流れを意識することで、単なる「経験の紹介」から脱却し、「自分の教育観に根ざした主張」へと昇華させることができます。



3.主張を先に語るのが基本



ストーリーは重要ですが、語り始めは常に「結論=主張」から入ることが基本です。


面接官は一人あたりの面接時間が限られており、序盤の内容で評価の方向性が大きく定まります。


そのため、「私の強みは協働力です」「私の教育観は、信頼関係を土台にした指導です」など、明確なポイントを冒頭に提示し、その裏づけとしてエピソードを語る必要があります。


これは話し手にとっても、論理の軸がぶれないという効果があります。



4.“成功談”だけが評価されるわけではない



語られるエピソードが必ずしも成功体験である必要はありません。


むしろ、失敗や葛藤を通じて得た学びを語る方が、面接官にとっては「深み」と「信頼性」を感じさせることがあります。


例えば、「初めての教育実習で、生徒の反応が得られずに悩んだが、授業後の振り返りを重ねて次第に変化が見えた」といったように、試行錯誤のプロセスこそが教育者としての成長の証となります。


重要なのは、「何に気づき、どう変わったのか」という変容の描写です。



5.自己理解とストーリーの整合性



エピソードを語る際には、自己分析と一貫性を持たせることが重要です。


「人と協力するのが得意です」と述べながら、「個人で成し遂げた成果」のエピソードを語ってしまうと、面接官は混乱します。


あくまで、「この経験から私はこう考えるようになった」という語りの構造が必要です。


ストーリーテリングとは、単なる思い出話ではなく、「自己理解に裏打ちされた選択的な記憶の再構成」なのです。



6.教育的価値への橋渡し


最後に、面接で語るすべてのエピソードは、「教育現場でどう活かせるか」という未来の視点に接続されなければなりません。


これは自己PRや志望動機など、すべての回答に共通して言えることです。


たとえば、「部活動でのキャプテン経験」があれば、それを「児童生徒のリーダーシップを育てる支援に活かしたい」と語ることで、教育者としての視座を持っていることが伝わります。


単なる経験ではなく、「価値転換された教育的エピソード」が、面接突破の鍵となります。



まとめ



「エピソードを語る」ことは、面接における一つの武器であると同時に、その扱い方を誤ると「印象に残らない話」になってしまいます。


重要なのは、背景→行動→結果→意義という構造を意識しながら、主張の補強としてのストーリーを展開することです。


そして、それが常に教育現場に接続されていることが評価の基準になります。


記憶の断片を物語に変え、主張へと昇華させる、それが、教員採用面接におけるストーリーテリングの技術です。



次回の第20回では、面接本番で避けて通れない「追質問」への対応力を高めるために、論理構造の記憶術と即興的応答のトレーニング法について解説します。


瞬時に答える力を鍛えるための具体的な練習方法を知りたい方は、ぜひご覧ください。




河野正夫



 
 
 

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