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第19回 模擬授業と面接の接続―指導観を一貫させる

  • 執筆者の写真: 河野正夫
    河野正夫
  • 2025年9月14日
  • 読了時間: 7分

第19回 模擬授業と面接の接続―指導観を一貫させる



<教員採用試験 面接合格講座(連載全30回)>



1.はじめに



教員採用試験において、模擬授業と個人面接はしばしば別の試験項目として実施されます。


しかし、面接官は両者を完全に独立したものとして評価しているわけではありません。


むしろ、模擬授業での受験者の言動と、面接で語る教育観や指導観の一貫性を重視しています。


模擬授業が優れていても、面接で語る教育観と齟齬があれば「現場での実践が理念とつながっていない」と判断されます。


逆に、面接で立派な理念を語っても、模擬授業がそれを体現していなければ「言葉だけの教育観」と見なされます。


したがって、模擬授業と面接は相互に補完し合う一対の試験であると理解し、両者をつなぐ明確な戦略を立てることが合格への鍵となります。


本稿では、模擬授業と面接を接続するための視点と実践的な準備方法を解説します。





2.模擬授業と面接が評価するポイント



模擬授業と面接は、評価対象が異なるように見えますが、本質的には同じ教育者像を別の角度から確認しています。



(1)模擬授業が評価するもの


模擬授業では、受験者が教室でどのように子どもと関わり、学びを支援するかが重視されます。


具体的には以下の点が評価対象となります。



☆子どもにわかりやすく説明する力


☆授業の構成力と展開力


☆板書、発問、指示などの基本的技術


☆子どもの反応を想定した柔軟な対応力


☆教師としての立ち居振る舞い



模擬授業は、「理念を現場でどう具体化するか」を示す実技試験といえます。



(2)面接が評価するもの



面接では、受験者の教育観、指導観、人間性、そして現場での協働力が問われます。


模擬授業が実践力を直接確認する場であるのに対し、面接は考え方や方針を言語化して説明する場です。



(3)一貫性が評価される理由


面接官は、模擬授業と面接を通じて「言動に一貫性があるか」を見極めます。


授業では子ども主体の活動を行っているのに、面接では「教師主導の管理型教育」を語る、といった矛盾があると評価が下がります。


逆に、授業と面接で語る内容が一致していれば、受験者の教育者像が明確になり、信頼感が高まります。



3.指導観の明確化


模擬授業と面接を接続するためには、まず自分自身の指導観を明確にする必要があります。



(1)指導観とは何か


指導観とは、教師がどのように子どもと関わり、学びを支援するかという基本的な考え方です。


授業づくりや学級経営の基盤となるものであり、面接で必ず問われるテーマでもあります。


指導観は「子ども観」「学習観」と密接に関連します。子どもをどう捉えるか、学びをどう考えるかによって、指導のスタイルは大きく変わります。



(2)典型的な指導観の例



☆子ども主体型


子どもが自ら考え、対話を通して学びを深めることを重視する指導観。


主体的・対話的で深い学びを実現するための工夫が求められます。



☆教師支援型


教師が学びをデザインし、子どもを支援する伴走者となる指導観。


学習者の特性に応じた個別最適化が中心となります。



☆管理統制型


近年では減少しているが、教師が主導して授業を進めるスタイル。


一定の場面では必要ですが、これだけでは現代の教育課題には対応できません。



(3)指導観を言語化する


自分の指導観を一文で表現できるように準備します。


例:


「子どもが安心して挑戦できる学級づくりを重視し、自ら考え学ぶ活動を通して成長を支援する。」


この一文は、模擬授業の設計と面接回答の両方に基盤として活用できます。



4.模擬授業に指導観を反映させる



模擬授業では、単に教材研究をしただけでは不十分です。


自分の指導観が授業に現れていなければ、理念と実践が切り離されてしまいます。



(1)授業構成と指導観の一致


☆子ども主体型の指導観ならば、発問を工夫し、子どもが考えを共有する場面を必ず設定する。


☆支援型指導観ならば、個別対応や差別化された課題を盛り込む。


☆管理型の場面が必要な場合でも、目的を明確にして説明できるようにする。



(2)板書や指示に現れる一貫性


板書や指示は、教師の指導観がもっとも表れやすい部分です。



☆子どもの発言を板書に反映するか


☆指示が一方的か、選択肢を提示しているか


☆教師の言葉づかいが尊重的か、命令的か



これらを意識することで、模擬授業全体が指導観と整合します。



(3)授業後の振り返りでの一貫性


模擬授業後に「授業の意図」を説明する場面では、指導観に基づいて語ります。


例:


「子どもが互いに考えを共有し合う場を設けることで、自分の考えを深めることをねらいとしました。」



5.面接で模擬授業を語る



面接では、模擬授業をどのように語るかが重要です。


授業の意図と実践が結びついていることを示すことで、一貫性を証明できます。



(1)模擬授業の背景を説明する



☆なぜその教材やテーマを選んだのか


☆どの学習指導要領の目標に基づいたのか


☆どのような子どもの姿を想定して設計したのか



これらを簡潔に説明することで、授業が偶然ではなく理論に基づいていると示せます。



(2)面接で語る際の構成



PREP法を用いると、わかりやすく伝えられます。



P(結論):


「模擬授業では、子どもが主体的に学ぶ場面を重視しました。」



R(理由):


「子どもが互いに考えを深め合うことで、学習内容が定着すると考えたからです。」



E(具体例):


「意見交換の場面では、子どもが自分の考えを自由に発表できるように工夫しました。」



P(再結論):


「この経験を活かし、現場でも子ども中心の授業を実践したいです。」



6.よくある失敗例と修正法



模擬授業と面接が分断されていると、面接官に不自然な印象を与えます。


以下は典型的な失敗例です。



(1)模擬授業と教育観が矛盾している


模擬授業では子ども主体型なのに、面接では教師主導型の教育観を語る。


修正法:


教育観と模擬授業の設計を事前に統一する。



(2)模擬授業を表面的に説明する


「工夫しました」「頑張りました」など、抽象的な説明で終わる。


修正法:


授業設計の意図や具体的な指導技術を言語化する。



(3)授業のねらいがあいまい


「面白い授業を目指しました」とだけ語る。


修正法:


学習指導要領の目標や子どもの学びのプロセスと結びつける。



7.準備の進め方



(1)模擬授業と面接を一体化した練習


模擬授業の後に、必ず教育観を説明する模擬面接を行います。


こうすることで、授業と面接を一貫した流れとして準備できます。



(2)教員採用試験に精通した優れた指導者に評価してもらう


勤務校の管理職や同僚、ゼミ仲間は面接指導の専門家ではないため、適切な助言は期待できません。


面接指導の優れた専門家のフィードバックを受けることで、授業と面接の接続を的確に改善できます。



(3)録画による自己分析


模擬授業と面接の両方を録画し、表情や声のトーン、指導観の一貫性を客観的に確認します。



8.まとめ



模擬授業と面接は別々の試験ではなく、教育者としての一貫した姿を示す場です。


両者を接続するためには以下の点が重要です。



☆自分の指導観を一文で言語化する。


☆模擬授業に指導観を反映させる。


☆面接で模擬授業を理論的に説明する。


☆教員採用試験に精通した優れた指導者に評価してもらいながら練習する。



授業と面接をつなげることで、面接官に「理念と実践が一致している教師」という印象を与えられます。


これは、合格後に現場で信頼される教師として働くための基盤にもなります。



次回予告


第20回は「ケーススタディ面接の攻略―トラブル事例対応の型」です。


現場で起こりうるトラブル事例にどのように対応するかを問うケーススタディ型の面接について、戦略的な答え方を解説します。




河野正夫




 
 
 

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