第16回:面接官ガチャについて。 【初歩から学ぶ面接合格戦略】(30回連載シリーズ)
【初歩から学ぶ面接合格戦略】(30回連載シリーズ)
第16回:面接官ガチャについて
★面接官には、当たりはずれがあります
最初に、率直に書いておきます。
面接官には、当たりはずれがあります。
ものすごく好意的な面接官に当たり、終始うなずきながら聞いてもらえて、高い評価で合格することがあります。
厳しく、やや意地悪な面接官に当たり、言葉を遮られ、低い評価で不合格になることもあります。
同じ受験者が、同じ語りをしても、結果が変わる場合があります。
偶然と言えば偶然です。
運命と言えば運命です。
この要素は、確かに存在します。
まず、ここを認めるところから始めます。

★ばらつきは、二つの層で生まれます
面接官ごとの差は、二つの層に分けて整理できます。
第一層は、立場による差です。
校長。
教頭。
教育委員会の指導主事。
センター長。
行政職の中間管理職。
自治体によっては、民間人面接官。
それぞれの立場で、期待するものや求めるものが違います。
第二層は、個人による差です。
同じ校長でも、考え方が違います。
性格も違います。
優しい面接官がいます。
厳しい面接官がいます。
ちょっと意地悪に感じられる面接官もいるかもしれません。
この二つの層は、性質がまったく違います。
★第一層は、設計で対応できます
立場による差は、予測できます。
誰が座るかは分かりません。
しかし、座る可能性のある立場は、限られています。
学校の管理職。
教育委員会の指導主事や管理職。
そして、民間人面接官。
この三つの目に同時に届く語りを用意しておけば、立場によるばらつきは大きく吸収できます。
ここは、運の領域ではありません。
準備の領域です。
★第二層は、完全には予測できません
一方で、個人の性格や好みは、事前には分かりません。
話のテンポが速い方を好む面接官がいます。
ゆっくり話す方を好む面接官もいます。
熱意を高く評価する面接官がいます。
冷静さを高く評価する面接官もいます。
同じ語りが、ある面接官には好ましく響き、別の面接官には物足りなく響く。
こうした現象は、実際に起こります。
ここに、運の要素が残ります。
★厳しい面接官が、低評価の面接官とは限りません
ここで、誤解を一つ解いておきます。
厳しい質問が続いたから不合格だった。
この因果は、成立しません。
追質問が増えるのは、面接官が関心を持ち、自分で考え始めた合図です。
もっと知りたいという動きが、質問の形になって出てきます。
圧迫されたと感じた面接が、高い評価だった例があります。
和やかに終わった面接が、低い評価だった例もあります。
面接中の体感と、評価票の点数は、しばしば一致しません。
厳しい面接官に当たったと感じたときほど、落ち着いて最後まで語り切ってください。
★運が動かせる幅は、限られています
ここが、今回の中心です。
評価票には、複数の観点があります。
質問の背景に答えているか。
話が分かりやすいか。
教育観が一貫しているか。
表情と態度が整っているか。
子どもへの視線があるか。
これらの土台部分が高い水準にあれば、どの面接官に当たっても、一定以上の評価に届きます。
面接官の個人的な好みが左右できるのは、その上に乗る部分です。
数点分の幅にすぎません。
そして、ここに大切な構造があります。
準備の水準が低いほど、運の比重は相対的に大きくなります。
土台が薄いと、面接官の気分や好みが、そのまま結果を決めてしまいます。
準備の水準が高いほど、運の比重は小さくなります。
土台が厚ければ、多少の好みの差は、結果をひっくり返しません。
面接官ガチャへの対策は、ガチャの結果を変えることではありません。
ガチャの影響を受ける範囲を、小さくしていく作業です。
★どんな面接官にも届く語りの五つの条件
では、誰に当たっても機能する語りとは、どのようなものでしょうか。
五つの条件があります。
1.結論を先に置く。
テンポの好みに関わらず、最初の一文で要点が届きます。
途中で話を遮られても、核心はすでに相手の手元にあります。
2.誰にでも分かる言葉を使う。
専門用語や、学校現場の内輪の言い回しを避けます。
そうすれば、どの立場の面接官にも、同じ内容が同じ形で伝わります。
民間人面接官がいる場合、この条件はさらに重要になります。
3.具体的な場面を入れる。
抽象論への好みは、面接官によって分かれます。
しかし、人の姿が浮かぶ話は、立場や性格を越えて残ります。
教室の光景。
生徒の表情。
そこで自分が何を感じたか。
この部分は、どんな面接官の中にも像を結びます。
4.断定を強くしすぎない。
語尾が強いと、厳しい面接官との間に摩擦が生まれます。
反論したくなる気持ちを、相手の中に作ってしまいます。
柔らかい語尾は、どの相手とも衝突しません。
最も伝えたい一文だけ、強さを残す。
それ以外は、一段下げておきます。
5.三人全員に視線を配る。
質問した一人だけに向けて語ると、残りの面接官の評価が置き去りになります。
答え始めは、質問した面接官を見ます。
語りの途中で、他の面接官にも視線を移します。
最後に、もう一度、質問した面接官に戻ります。
この配り方ができると、全員が自分に向けて話されたと感じます。
★当たりを引いたときに、取りこぼさないこと
好意的な面接官に当たったときのことも、考えておいてください。
うなずきが返ってきます。
和やかな空気になります。
話を広げる余地が生まれます。
そのとき、広げる材料を持っているかどうか。
ここで、得点が伸びるかどうかが決まります。
当たりを引いても、手元に材料がなければ、点は伸びません。
控えの札を用意しておくことが、ここで効いてきます。
運に恵まれたときに、その運を得点に変えられるかどうかも、準備で決まります。
★結果を、面接官のせいにしないでください
最後に、分析の姿勢について述べておきます。
不合格だったとき、面接官が厳しかったからだと結論づけてしまうと、翌年の改善点が一つも残りません。
運の要素は、確かに存在します。
しかし、それを分析の出口にすると、そこで思考が止まります。
順序を決めておいてください。
まず、自分の側で改善できる部分を洗い出します。
結論を先に置けていたか。
言葉は分かりやすかったか。
具体的な場面を語れたか。
表情はどうだったか。
そこまで点検して、それでも説明がつかない部分だけを、運として処理します。
この順序を守れば、毎年、改善点が残ります。
★第16回のまとめ
面接官ガチャは、実在します。
立場による違いは、設計で対応できます。
個人の性格や好みによる違いは、完全には予測できません。
ただし、運が動かせる幅は限られています。
準備の水準を上げるほど、運の比重は下がっていきます。
結論を先に置く。
誰にでも分かる言葉を使う。
具体的な場面を入れる。
断定を強くしすぎない。
全員に視線を配る。
どの面接官に当たっても機能する語りを持つこと。
これが、面接官ガチャへの唯一の対策です。
河野正夫

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