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第17回:専門的知識を活かした「深掘り質問」への応答訓練。『養護教諭のための無料講座』

  • 執筆者の写真: 河野正夫
    河野正夫
  • 2025年6月24日
  • 読了時間: 5分

養護教諭のための無料講座』【全20回連載】


第17回:専門的知識を活かした「深掘り質問」への応答訓練


養護教諭特有の医学的・心理的・統計的知識/短時間での要約力・論拠提示力の養成



はじめに


深掘り質問の本質と求められる力



近年の教員採用試験では、志望理由や場面対応などの基礎的テーマに加えて、「深掘り質問」が頻出します。


これは、面接官が受験者の知識や経験を深く掘り下げ、そこに前提構造や応答の論理性があるかを見極める意図を持った質問です。


たとえば「過敏性腸症候群の原因と対応策は何ですか」「不安傾向のある児童にどう寄り添いますか」など、単に知っているかではなく、「なぜそう考えるのか」「どう具体化するのか」を問う設問が多く見られます。


特に養護教諭には、医学的・心理的・統計的に裏付けられた知識を、即興で構造化・要約し、論拠ある応答へとつなげる力が求められます。


本講では、こうした「知識の活用型応答」に必要な思考構造とトレーニングの方法を、分野別・手順別に詳述し、短時間で要点を語る実践力を解説します。





1. 知識を応答に変える「三段構成」スキル



深掘り質問に対応するには、以下の三段構成を瞬時に組み立てることが重要です。



1. 観点の特定


質問内容から、「医学的・心理的・統計的」などどの視点が適切かを見極める作業です。


たとえば「最近の子どもの睡眠時間が短くなっている理由は?」という問いなら、ライフスタイルの変化と発達的要求のズレという観点が妥当になります。



2. 要約と根拠提示


たとえば睡眠不足なら「文部科学省のデータによれば、中学生の平均睡眠時間は7時間を切る水準で、WHO基準を下回っていることが示されています」「心理的には、スマートフォン等の影響で入眠が乱れ、脳の睡眠準備ができにくくなっているという研究があります」など、統計と心理研究の二本柱を示すことで信ぴょう性を高めます。



3. 結論と行動提案


最後に、「したがって、私は学校保健活動として、就寝リズムを整える宿題を課し保護者と協働して実施したいと考えます」「保健指導では、図に基づく教材を用いて睡眠の大切さを伝え、日常的なモニタリングを行います」といった行動に落とし込みます。


この三段構成を一貫した応答構造として習得すれば、どのような深掘り質問にも対応できる姿勢が身につきます。



2. 分野別・応答モデルと論拠の構築



① 医学的知識(例:アレルギー疾患)



見極め観点:


原因(食物・環境)、発症メカニズム(IgE媒介型など)、緊急時対応。



要約・根拠提示:


「児童のXX%が何らかのアレルギーを持っており、学童期に初発するケースが多いことが疫学的に示されています」「IgEが高い場合には、エピペン注射の準備が必要とされています」



結論・行動提案:


「私は、保健室でのアレルギー管理計画を作成し、担任・栄養教諭・保護者と共有したうえで、緊急時のシュミレーションを実施します」。



② 心理的支援(例:ストレス反応・不安傾向)



観点:


ストレス因子(人間関係・学業)、心理反応(身体症状との連結)、支援ルート(SC・保護者連携)。



根拠:「慢性的なストレスは、心拍数や血圧に影響することが心理生理学で知られています」「不安が度重なると抑うつや不登校につながる可能性も指摘されています」。



行動提案:


「したがって、宿題の量や休息時間について担任と連携し、保健室では呼吸法やミニ瞑想を教える活動を継続します」。



③ 統計的視点(例:生活習慣・肥満)



観点:


国・自治体別のデータ、変化のトレンド、要因分析(運動量・食習慣・家庭環境)。



根拠:


「厚労省による15〜18歳の肥満率は過去10年間でXXになっており、特に運動時間の減少が指摘されています」。(サンプルです。)



行動提案:


「保健指導では、運動記録の可視化と教室内での簡易ストレッチタイムの導入を推進します」。



3. 瞬時の構成を支える訓練方法



深掘り質問への対応力を伸ばすには、以下の2つの訓練方法が有効です。



クイック構成訓練


問いと該当知識を一度に与えられ、30秒以内に上記三段構成で応答メモを作成するトレーニング。



シャドウレスポンス


本試験想定の深掘り質問例(例:「インフルエンザ罹患後の復帰基準は?」など)に対し、模擬時間で応答を行い録音・録画し、語りの論理性・根拠提示の明確さ・語りのリズムを振り返る自己内評価を行う。



4. 深掘り質問における評価視点と面接官の期待


面接官は、問いを聞いた瞬間に「構造化できているか」「専門知識を一般的な応答に接続できているか」「論拠と行動が一貫しているか」などを見ています。


その意味で、深掘り質問は、受験者の構造的論理力と専門知識の統合力を評価する高度なテストであり、ここに応答力の差が顕著に現れます。



おわりに


専門家として語れる力を身につけるために



養護教諭としての資質は、知識の深さとともに、問いに対して瞬時に整理し、語る構造と意図を形成できる応答力に現れます。


本講で紹介した三段構成と訓練法を日々の学びに組み込むことで、深掘り型面接での応答力を飛躍的に向上させることができます。



次回(第18回)は「面接直前のチェックリストと最終確認事項」を取り上げます。


直前期における調整と心構えを集中して整理します。



どうぞご期待ください。




河野正夫



 
 
 

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