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第13回:面接における演出とは? 【初歩から学ぶ面接合格戦略】(30回連載シリーズ)

執筆者の写真: 河野正夫
河野正夫
15 時間前
読了時間: 9分

【初歩から学ぶ面接合格戦略】(30回連載シリーズ)


第13回:面接における演出とは?



★演出は、表情を整えることとは違います



口角を上げる。

明るい表情をする。


元気に話す。


背筋を伸ばす。


視線を保つ。



これらは、すべての受験者が共通して踏む土台です。


ここができていなければ、土俵に上がれません。



そして、ここができただけでは、まだ演出になりません。



演出は、この土台の上から始まります。


今回は、その先の話をしていきます。





★演出とは、面接官の目にどう映るかの設計です



戦略が、配分を決めました。


脚本が、言葉を決めました。


演出は、その言葉の届き方を決めます。



同じ脚本を、二人の受験者が語ったとします。


一字一句、同じ言葉を使ったとします。



それでも、面接官が受け取る人物像は、まったく別のものになります。



声の高さ。


話す速さ。


間の取り方。


体の姿勢。


視線の向け方。


うなずきの深さ。



これらの組み合わせが、言葉に意味を与えます。



演出とは、この組み合わせを、意図をもって設計する作業です。



脚本が、面接官の耳に届くものを決めます。


演出は、面接官の目に映るものを決めます。


この二つがそろって、はじめて一人の人物像が立ち上がります。



★同じ振る舞いが、人によって逆に働きます



ここが、今回の中心です。



演出には、全員に共通する正解がありません。


同じ振る舞いが、受験者によって、まったく逆の効果を生みます。



例を挙げます。



二十二歳の大学生が、元気に、明るく、勢いよく語ったとします。


面接官は、若さと伸びしろを受け取ります。


この学生を育てていきたい、という気持ちが生まれます。



四十五歳の社会人が、まったく同じ調子で語ったとします。


面接官は、年齢に見合わない軽さを受け取る場合があります。


この年齢で、この語り方をするのはなぜか、という疑問が生まれます。



逆の例も見てみます。



落ち着いた低い声で、ゆっくりと、静かに語ったとします。



四十五歳の社会人であれば、安定感として届きます。


組織の中で長く働いてきた重みが、そこに乗ります。



二十二歳の大学生であれば、覇気のなさとして届く場合があります。


若いのに、なぜこんなに枯れているのか、と受け取られます。



正解は、一つではありません。


自分の属性によって、解が変わります。



演出も、戦略や脚本と同じく、一人ひとり個別に最適化する必要があります。



★属性ごとの演出設計 その一 年齢と経歴



受験者の年齢と経歴によって、面接官が警戒する点と期待する点が変わります。


演出は、警戒を打ち消し、期待に応える方向に設計します。



大学生の場合。



期待されているのは、伸びしろと素直さです。


勢いと明るさが、そのまま資産になります。



警戒されているのは、社会経験の不足と、幼さです。


したがって、明るさを土台に置きながら、落ち着きを一割だけ混ぜます。



質問を最後まで聞いてから答え始める。


語尾を伸ばさずに、きちんと止める。



この二つを守るだけで、幼さの印象は消えていきます。



講師経験一年目の場合。



期待されているのは、現場を知っている強みです。


警戒されているのは、一年の経験で分かったつもりになっていないか、という点です。



ここは、両立が課題になります。



現場の話を語るときは、具体的に語ります。


同時に、まだ学んでいる途中だという姿勢を、表情と語尾で示します。



分かっている風に語ると、経験の浅さと自信過剰が同時に露見します。



一年目であることは、隠す必要がありません。


一年間で何を学び、何が分かっていないかを語れる方が、はるかに高い評価につながります。



講師経験十五年目の場合。



最大の資産は、安定感です。


どんな質問が来ても動じない構えが、そのまま信頼になります。



一方で、警戒される点があります。


長年の経験が、「もう教わることはない」という空気として表に出る場合です。



面接官は、その空気に敏感です。


採用後に指導が入らない人ではないか、と身構えます。



したがって、柔らかさと素直さを、意識的に上乗せします。



面接官の話にうなずく。


新しい施策について問われたとき、学んでいる途中だと率直に述べる。



経験が長いほど、この上乗せが効きます。



年配の社会人の場合。



期待されているのは、前職で培った視点と、即戦力としての安定感です。



警戒されるのは、威圧感です。


前職での実績が大きいほど、その空気が出やすくなります。


面接官より年上である場合も、珍しくありません。


したがって、腰の低さと、学ぶ姿勢を前面に出します。


前職の実績を語るときは、成果の大きさより、そこで学んだことに重心を置きます。


教育の現場については、これから学ばせていただく立場だという姿勢を、はっきり示します。



★属性ごとの演出設計 その二 校種と職種



志望する校種と職種によっても、期待される見え方が変わります。



保健体育科の場合。



声の張り、姿勢、体の使い方が、そのまま職務適性の証明になります。



グラウンドで、離れた場所にいる生徒まで声が届くか。


危険な場面で、瞬時に動ける体か。



面接官は、座っている姿からその力を推し量ります。


背筋を伸ばし、声を前に出し、返事をはっきり返す。


この演出が、内容の説得力を支えます。



養護教諭の場合。



期待されるものが、大きく変わります。



落ち着き。


静かな受け止め方。


視線の柔らかさ。



保健室に来る子供は、体調が悪いか、心に何かを抱えています。


その子供の前に座る人として、ふさわしい佇まいがあるかどうか。



面接官は、そこを見ています。


声を張り上げる演出は、この職種では逆効果になります。


ゆっくり話し、相手の言葉を待ち、最後まで聞く姿勢を示します。



小学校教諭の場合。



温かさと明るさが、前面に出ます。


表情の動きを大きめに取り、声に抑揚をつけます。


低学年の子供の前に立つ姿が、面接官に思い浮かぶようにします。



高等学校教諭の場合。



知的な落ち着きが求められます。


話の運びを整理し、言葉を選んで話します。


進路について生徒と対話する場面が、想像されやすくなります。



特別支援学校教諭の場合。



穏やかさと、待つ姿勢です。


急がず、相手の反応を確かめながら進む話し方が、そのまま指導観の証明になります。



栄養教諭の場合。



食を通じて子供と関わる立場です。


親しみやすさと、専門職としての確かさの両方が求められます。


明るい表情を保ちながら、知識について問われたときには落ち着いて答える。


この切り替えが、演出の要点になります。



★演出は、脚本と連動させます



演出を設計するとき、手元に置くものがあります。


脚本の人物設定の一文です。



人物設定が「一人の子供の小さな変化を見逃さない教師」であれば、演出はその方向に寄せます。


よく聞く。


深くうなずく。


静かに、丁寧に語る。



人物設定が「失敗を恐れず挑戦し、その姿を子供たちに見せ続ける教師」であれば、演出も変わります。


前に出る勢いを残す。


声に力を込める。


表情を大きく動かす。



ここで注意すべき点があります。


脚本と演出がずれると、その不一致が違和感として面接官に届きます。


静かに寄り添う教師像を語りながら、声を張り上げて勢いよく話す。

挑戦する教師像を語りながら、伏し目がちに小さな声で話す。


どちらも、言葉と見え方が食い違います。


面接官は、言葉の方を疑い始めます。


語っている内容と、語っている姿が、同じ方向を向いていること。

これが、演出の最低条件です。



★自分の演出を設計する三つの手順



実際の作業として、三つの手順を示します。



1.自分の属性を確認します。


年齢。


経歴。


志望する校種。


志望する教科や職種。


これらを、紙に書き出します。



2.その属性で、面接官が警戒する点と期待する点を書き出します。


警戒される点を、正直に書いてください。


若さゆえの経験不足。


年齢ゆえの柔軟性への懸念。


長い講師経験ゆえの固さ。


ここを直視できるかどうかが、演出の質を決めます。



3.警戒を打ち消し、期待に応える見せ方を決めます。


たとえば、四十代の社会人の場合を考えます。


警戒されるのは、柔軟性と協調性です。


したがって、語るときの姿勢をやや前傾にします。


うなずきを深くします。


語尾を柔らかくします。


面接官の言葉を受けてから話し始めます。



この四つを決めて、練習に入ります。


これが、演出の設計です。


決める項目は、四つか五つで十分です。


十も二十も決めると、本番では一つも実行できません。


自分にとって最も効く項目を絞り込み、それだけを確実に実行します。



★過剰な演出は、逆効果になります



ここで、歯止めについても述べておきます。


演出は、あくまで自分の延長線上に置きます。


普段の自分から遠く離れた演出は、不自然さとして表に出ます。

本人は上手に演じているつもりでも、面接官には作り物として映ります。



振れ幅の目安は、普段の自分から一割から二割程度です。



普段から静かに話す人が、突然、声を張り上げて熱弁をふるう。


普段から明るく話す人が、無理に重々しく語る。


どちらも、その場の空気を不自然にします。



自分の素材を生かしながら、方向を少しだけ調整する。


この程度が、最も効果的に働きます。



★演出は、練習で身につきます



設計しただけでは、本番では出ません。



本番では、緊張が入ります。


緊張すると、人は普段の癖に戻ります。


設計した演出は、そのとき真っ先に消えていきます。



ですから、練習によって、設計した見せ方を自分の標準にしていきます。


意識しなくても出てくる状態まで、繰り返します。



そして、確認には他人の目が必要です。



自分では、自分がどう見えているかを確認できません。


動画で撮影し、第三者に見てもらう。


この二つを組み合わせると、精度が上がります。



★第13回のまとめ



面接の準備は、三つの層でできています。



何を語るかを決めるのが、戦略です。


どう組み立てるかが、脚本です。


どう届けるかが、演出です。



演出には、全員共通の正解がありません。


年齢、経歴、校種、職種によって、最適な見せ方が変わります。



同じ振る舞いが、ある受験者には加点になり、別の受験者には減点になります。



自分の属性を確認し、警戒される点を直視し、それを打ち消す見せ方を決める。


その上で、脚本の人物設定と方向をそろえる。


ここまで設計して、はじめて面接の準備が完成します。




河野正夫



 
 
 

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