第16回:実技試験における差別化戦略 【教員採用試験の不合格を合格に変える!】(全20回連載)
- 河野正夫
- 2025年10月13日
- 読了時間: 7分
第16回:実技試験における差別化戦略
【教員採用試験の不合格を合格に変える!】(全20回連載)
# 第16回:実技試験における差別化戦略
## はじめに
体育、音楽、美術、書道、家庭科、技術、英語などの教科では、教員採用試験で実技試験が課されることがあります。
これらの教科を志望する方は、その分野での実技力を既に持っています。
しかし、実技試験で評価されるのは、単なる技術の高さではありません。
実技試験はコンテストやコンクールではありません。
速く走れるか、難しい曲が弾けるか、高度な技ができるかを競うものではありません。
面接官が見ているのは、「この人は生徒の模範となる実技ができるか」「安全に配慮した指導ができそうか」「教師として適切な実技を示せるか」という点です。
この記事では、実技試験の本質を理解し、教師としての資質をアピールする戦略を解説します。

## 実技試験の本質を理解する
まず、実技試験が何を評価しているのかを正確に理解しましょう。
**技術の高さではなく、教師としての実技**
オリンピック選手のような高度な技術や、プロ音楽家のような演奏技術は求められていません。
生徒に「こうやるんだよ」と示せる、標準的で分かりやすい実技が評価されます。
**模範を示せるかどうか**
生徒が見て理解できる、真似しやすい実技かどうかが重要です。
複雑すぎる動きや、特殊な技法は、教師の模範として適切ではありません。
**安全への配慮**
学校現場では、安全が最優先です。
危険を伴う動きや、無理な技を選ぶことは、教師としての判断力を疑われます。
**基本に忠実な形**
奇抜な表現や独自のスタイルではなく、教科書的な正しい形が求められます。
変な癖がある実技は、生徒の模範にはなりません。
## 与えられた課題に対する取り組み方
実技試験では、試験当日に課題が指定されます。
受験者が自由に技や曲を選べるわけではありません。(自治体により、教科により、異なります。)
**課題の性質を理解する**
指定される課題は、通常、学習指導要領に基づいた基本的な内容です。
高度な技術を求めるものではなく、教師として生徒に示すべき標準的な実技が課題となります。
**どんな課題でも対応できる準備**
事前にどの課題が出るかは分かりません。(自治体に寄ります。教科によります。)
そのため、学習指導要領に示されている基本的な内容を、幅広く練習しておく必要があります。
**体育の場合の準備**
マット運動、跳び箱、鉄棒、球技の基本動作など、各領域の基礎的な技を練習します。
どの課題が出ても、正しいフォームで安全に実施できるよう準備します。
**音楽の場合の準備**
ピアノや歌唱など、指定される可能性のある実技について、基礎的な技術を確実にしておきます。
初見演奏が求められる場合もあるため、楽譜を正確に読む力も重要です。
**課題への向き合い方**
当日指定された課題に対して、「難しい」「できない」という態度ではなく、前向きに取り組む姿勢を示すことが大切です。
多少苦手な内容であっても、基本に忠実に、丁寧に実施します。
## 安全への配慮を示す
教師として最も重要な資質の一つが、安全への配慮です。
**準備運動の姿勢**
体育の実技試験では、実技を行う前の準備の様子も見られています。
適切な準備運動をする、服装や靴を確認するといった行動が、安全意識の表れとして評価されます。
**環境への確認**
実技を行う前に、周囲の安全を確認する姿勢を見せます。
「床が滑りやすくないか」「周りに障害物がないか」といった確認は、教師としての基本です。
**補助や段階的指導の意識**
高度な技を行う場合は、「実際の授業では、まず基礎から段階的に指導し、十分な補助をつけます」という意識を持っていることが重要です。
面接で質問された際に、この視点を答えられることが差別化につながります。
## 基本に忠実な形を追求する
実技の正確さは、教師としての信頼性を示します。
**正しいフォーム**
独自のスタイルではなく、教科書や指導書に示されている標準的なフォームを守ります。
「自分はこうやっている」ではなく、「生徒にはこう教える」という視点です。
**書道の場合**
個性的な書風ではなく、楷書・行書の基本に忠実な書を書きます。
筆の持ち方、姿勢、運筆など、生徒に見せる模範として適切な形を意識します。
**美術の場合**
前衛的な表現ではなく、基礎的なデッサン力や色彩感覚を示します。
生徒に説明しやすい、理論に基づいた制作を心がけます。
**英語の場合(スピーキング)**
ネイティブのような流暢さよりも、明瞭で正確な発音、適切な速度での発話が重要です。
生徒が聞き取りやすく、真似しやすい英語を意識します。
## 教師らしい態度と振る舞い
実技そのものだけでなく、態度も評価されます。
**明るく前向きな姿勢**
実技試験では、緊張していても明るい表情を心がけます。
生徒の前に立つ教師として、前向きで元気な姿勢が求められます。
**謙虚な姿勢**
実技が得意であっても、謙虚な姿勢を忘れません。
「まだまだ学ぶことが多い」「生徒とともに成長したい」といった姿勢が好まれます。
(実技試験には、発言の機会はありませんが、そのような態度を見せてください。)
**失敗への対応**
もし実技で失敗しても、動揺せず、落ち着いて対応します。「失敗も学びの機会」という教師らしい姿勢を見せることが大切です。
## 学習指導要領との関連を意識する
実技試験でも、学習指導要領の理解は重要です。
**各学年の内容を把握する**
自分が志望する校種・学年で、どのような実技内容を指導するのかを把握しておきます。
学習指導要領に示されている内容を確認します。
**系統性の理解**
小学校から中学校、高校へと、どのように内容が発展していくのかを理解しておきます。
面接で質問された際に答えられるようにします。
**目標の理解**
単に技術を教えるだけでなく、その教科を通じて何を育てるのかという目標を理解します。
体育なら「生涯にわたって運動に親しむ態度」、音楽なら「豊かな情操」といった視点です。
## 準備と練習の方法
実技試験への準備も戦略的に行います。
**基本技の反復練習**
高度な技ではなく、基本技を完璧にする練習をします。
何度も繰り返し、確実にできるようにします。
**教師目線での練習**
実技をしながら、「これを生徒に見せたらどう見えるか」「生徒が真似しやすいか」を常に意識します。
鏡の前で練習する、録画して確認することが有効です。
**説明の練習**
実技だけでなく、それを説明する練習もします。
「なぜこの形が大切なのか」「どこに注意するのか」を、分かりやすく説明できるようにします。
**優れた指導者からの助言**
可能であれば、現職の実技教科教員や、教員養成系大学の教員に、実技を見てもらい助言を受けます。
「教師としての実技」という視点からのフィードバックが重要です。
## 実技と人物評価の一体性
実技試験は、単なる技術テストではありません。
**実技を通じた人物評価**
面接官は、実技を通じて、その人の人間性を見ています。
謙虚さ、真摯さ、向上心、責任感などが、実技の姿勢から伝わります。
**生徒への愛情が見えるか**
「生徒に分かりやすく教えたい」「生徒が安全に学べるようにしたい」という思いが、実技の行い方から伝わるかが重要です。
**教師としての成長意欲**
完璧でなくても、「これから学び続けたい」「生徒とともに成長したい」という姿勢が見えることが大切です。
## 当日の心構え
実技試験当日の心構えも重要です。
**自分の実技に自信を持つ**
これまでの練習を信じて、自信を持って臨みます。
不安な表情は、生徒にも伝わってしまいます。
**楽しむ気持ち**
実技を楽しんでいる姿勢が、教師としての魅力を高めます。
緊張しすぎず、自分の得意なことを披露する機会だと前向きに捉えます。
**失敗を恐れない**
完璧を目指すあまり、硬くなってしまうより、多少のミスがあっても、堂々と実技を行う方が評価されます。
## まとめ
実技試験における差別化戦略の核心は、「技術の高さ」ではなく「教師としての実技」を示すことです。
コンテストではなく、生徒の模範となる、基本に忠実で安全に配慮した実技を選び、説明する力と教師らしい態度を示すことが重要です。
高度な技で驚かせようとするのではなく、「この人は生徒に適切に指導できそうだ」「安全への配慮ができている」「基礎がしっかりしている」と思わせることが、合格への道です。
実技の専門性を持つあなたの強みを、教師としての視点で示してください。
次回は、直前期の総仕上げと調整法について解説します。
試験1ヶ月前からの効果的な学習計画と、心身のコンディション調整の方法を学んでいきましょう。
河野正夫



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