第16回:<大学生のための面接無料講座>「教育課題への理解」、施策や教育観を自己化して語る力
- 河野正夫
- 2025年6月21日
- 読了時間: 5分
第16回:「教育課題への理解」、施策や教育観を自己化して語る力
“暗記”ではなく“内在化”によって伝える受験者になるために
はじめに
「教育施策を語れるか」は合否を左右する
教員採用試験の面接では、教育課題や政策的テーマに関連する質問が数多く出題されます。
たとえば以下のような設問が代表的です。
「GIGAスクール構想をどう捉えていますか?」
「個別最適な学びとは何ですか?」
「いじめの未然防止に、学校はどう取り組むべきでしょうか?」
これらは、教員としての現代的な教育観や政策的関心の有無を測る指標として、面接官が高く評価するポイントです。
にもかかわらず、多くの受験者が教育施策名を「キーワード」として暗記するだけにとどまり、それを自分の教育観と接続して語るまでには至っていません。
本稿では、「教育課題や政策をどう“自己化”して語るか」を中心に、記憶ではなく思考を伝えるための面接戦略を解説します。

1.なぜ教育課題への理解が面接で問われるのか?
(1)教員は“教育政策の担い手”である
教員は教育現場の実践者であると同時に、国や自治体が進める教育施策の「実行者」でもあります。
GIGAスクール構想や学習指導要領の改訂など、文部科学省の施策は、教員の実務と直結しています。
つまり、「教育課題を知らない」=「現場の流れを理解していない」と見なされる危険があるのです。
(2)“時代に適応する力”として評価される
教育施策や課題に関心を持ち、それを自分の言葉で語れるということは、「時代の変化を学び続ける姿勢」を意味します。この姿勢は、新採用教員に求められる重要な資質のひとつです。
2.面接で問われやすい教育課題・政策の例
以下は、直近5年間の面接で出題・言及された教育課題の一部です。
教育課題・施策 キーワード例
☆GIGAスクール構想
☆ICT活用/1人1台端末/情報活用能力
☆個別最適な学び/協働的な学び
☆アクティブラーニング
☆ユニバーサルデザイン
☆探究学習
☆いじめ防止対策
☆いじめ防止対策推進法/未然防止
☆不登校支援/教育機会確保法
☆多様な学びの場/安心できる居場所
☆特別支援教育
☆合理的配慮/インクルーシブ教育
☆働き方改革
☆部活動の地域移行
☆教員の業務削減/時間外労働の是正
☆学習評価の見直し/観点別評価/形成的評価/ポートフォリオ
単に語句を押さえるだけでなく、なぜその施策が必要なのか、現場でどんな意味を持つのかという視点が不可欠です。
3.「知っている」から「自分の教育観に結びつける」へ
【NGな語り方】
単なる知識の羅列
「GIGAスクール構想は、一人一台端末を使った学びを推進する政策です。個別最適な学びや協働的な学びを実現することが目標です。」
これは教科書的で、誰が言っても同じです。「あなたの教育観」が感じられません。
【評価される語り方】
自分の経験・理念との接続
「教育実習でICTを活用した授業に取り組みました。最初は戸惑う児童もいましたが、操作を覚える中で発言が苦手だった子が意欲的に意見を出すようになり、『学び方の多様化』の大切さを実感しました。GIGAスクール構想が目指す“誰一人取り残さない教育”を、私は現場で形にしていきたいと考えています。」
ここでは、政策の理念と実体験とが接続され、「考えている人」として評価されます。
4.自己化するための3ステップ戦略
ステップ①:
政策の背景と目的を理解する
単語だけを覚えるのではなく、「なぜ今この政策が必要なのか」「何を解決しようとしているのか」を把握しましょう。背景を押さえることで語りに深みが出ます。
ステップ②:
自分の体験と結びつける
教育実習、ボランティア、ゼミ活動、日々の学びなど、自分の経験の中から政策に通じるものを探します。「実践知」と「制度知」を架橋することで説得力が生まれます。
ステップ③:
教育観・将来像と統合する
その教育施策を通じて、どんな教育を実現したいのか。どんな教師になりたいのか。語りの終点は常に「自分の教育観」に向かわせましょう。
5.模範回答例
質問:「“個別最適な学び”についてどう考えていますか?」
私は、“個別最適な学び”は、すべての児童生徒が自分のペースで学び、理解を深められるよう支援する考え方だと理解しています。
教育実習では、発達段階や理解のスピードが異なる児童への指導に苦労しましたが、ICTを活用して学習の進度を調整したり、課題を選択制にしたりする工夫を通して、児童の主体性が高まる様子を実感しました。
この経験から、「一斉指導に縛られず、子どもの可能性に応じて柔軟に支援すること」が教育の質を高めると確信しました。
今後は、子どもの理解度や興味関心に応じた教材研究と支援体制の構築に努め、“誰もが学びにアクセスできる教室づくり”を実現していきたいです。
6.対策の具体的方法
☆新聞や文科省のウェブサイトで施策の背景を把握する
→ 単なる要約記事でなく、制度の背景・課題まで目を通す習慣を持ちましょう。
☆「施策 × 自分の実体験」のマトリクスを作成する
→ 各教育課題に対して、自分の体験や学びを1つずつ結びつけておくと、面接で即応できます。
☆ゼミや仲間との対話で視点を増やす
→ 自分では気づけない論点や他者の視点からのヒントを得ることができます。
おわりに
「教育課題」は“自分ごと”である
教員採用面接において、政策や教育課題を自分の教育観に落とし込んで語れる人は、きわめて高く評価されます。「知っている」では足りません。「考えている」「経験を通じて自分のものにしている」ことが求められているのです。
だからこそ、政策を単なる試験対策のキーワードとしてではなく、自分自身が担う教育の姿そのものとして捉え、語れるようになることが合格への確かな一歩となるのです。
次回予告
第17回:「300字で語る」
話すための脚本作成トレーニング
面接本番での回答は、長くても1分以内。
「300字」で論理を構成し、印象を残すための“話すための原稿”作成法と練習法を紹介します。
河野正夫



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