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第15回:養護教諭としてのキャリアビジョンの語り方

  • 執筆者の写真: 河野正夫
    河野正夫
  • 2025年6月21日
  • 読了時間: 4分

『養護教諭のための無料講座』【全20回連載】


第15回:養護教諭としてのキャリアビジョンの語り方


5年後・10年後を見据えた目標設定と語り方


面接官の印象に残る展望の伝え方



はじめに


「今」だけでなく「未来」を語る力



教員採用試験において、近年ますます重視されているのが、「将来的な成長可能性」と「持続的な教育観」の提示です。


養護教諭という専門性の高い職種においてはなおさら、自らの職務をどう発展させ、どのような貢献を果たそうとしているのかを、中長期的な視野で語る力が問われます。


面接官は、受験者の“いまの能力”だけでなく、“将来の姿”にも高い関心を寄せています。


なぜなら、採用後に長期間にわたって学校組織の一員として働くことを前提に、人材を見極めているからです。


本稿では、5年後・10年後のキャリアビジョンの構築法と、それを印象的に語るための戦略について、具体的に検討していきます。





キャリアビジョンの構築法


「時間軸」と「成長軸」の明確化



キャリアビジョンを描く際の基本は、時間軸に沿った段階的な目標設定と、専門性や貢献の深まりを示す成長軸の明確化です。


単に「こうなりたい」という希望を述べるだけでは、面接官には届きません。


あくまで教育現場のリアリティに基づいた実行可能な目標を、論理的かつ具体的に語る必要があります。


たとえば5年後には、「学校内外の関係機関と連携しながら、組織的な健康教育の推進に寄与する存在になる」ことを掲げ、10年後には「地域や保護者との信頼関係を軸に、学校保健活動全体を支える中核的な存在になる」といったように、養護教諭としての役割の進展を段階的に示すと効果的です。



専門性と展望の両立


「何を深め、何に貢献するか」を言語化する



キャリアビジョンを語る際には、自分が「何を伸ばしたいのか」、そして「何に貢献したいのか」の2点を両立させて述べることが求められます。


例えば、「子どもの心理的ケアに関する専門性を深め、学級担任やスクールカウンセラーと連携しながら、不登校予防に寄与していきたい」といった語りは、その両者をうまく接続しています。


「養護教諭としての独自の支援観」と「組織の一員としての貢献」という二項をどう統合するかが、語りの深みを生み出します。


そこに、これまでの経験や学びを裏付けとして加えることで、より説得力ある展望を示すことができるのです。



面接での伝え方


印象に残る「語りの構造」と表現技術



キャリアビジョンの語り方においては、「構造」と「表現」の両面が重要です。


構造としては以下の三段構成を推奨します:



1. 現在の課題認識や関心領域(例:子どもたちの心理的サポートに関心がある)


2. 今後深めたい専門性や取組内容(例:発達段階に応じた健康相談力を高めたい)


3. 将来的な貢献のイメージ(例:保健室を地域連携のハブとする構想を持っている)



このような構成で語ることで、「根拠のある未来志向」が伝わります。また表現においては、「〜と考えています」「〜を目指したいと思います」といった言い切りすぎない語尾を用いることで、意欲と謙虚さの両方を感じさせる印象を残すことができます。



よくある失敗例とその回避法



以下のような語りは、面接官に不安を与える可能性があるため注意が必要です。



☆抽象的な理想論だけを語る:


「子どもに寄り添える養護教諭になりたい」だけでは不十分



☆現実性に乏しい目標設定:


「教育委員会の指導主事になりたい」など、直線的すぎる展望



☆職務と関係の薄い個人的な目標:


「結婚しても仕事を続けたい」などは焦点がずれる



これらを避けるためには、常に「学校現場で養護教諭として何をするか」という視点に立ち返り、学校の中での自分の未来像を描くことが大切です。



おわりに


未来を語ることで「いま」を確かなものにする



キャリアビジョンを語るという行為は、単に未来の希望を述べるものではありません。


それは、現在の自己理解と実践意欲の延長線上にある、「いまをどう捉えているか」の表明でもあるのです。


したがって、面接におけるビジョンの語りは、「将来どのような貢献をしたいか」という問いと同時に、「それを実現するために現在何をしているのか」という自己評価を、誠実に示す場でもあります。


養護教諭という専門職の中で、長期的な成長と地域・学校への貢献をどう結びつけるか。


その姿勢こそが、面接官の印象に残る最大の要素となるのです。



次回は、第16回「模擬面接で見落とされがちな失点ポイント」に進みます。


細部の気配りが合否を分ける、その見極めと対処法について考察していきます。




河野正夫



 
 
 

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