第15回:模擬授業の完璧な構築と実践 【教員採用試験の不合格を合格に変える!】(全20回連載)
- 河野正夫
- 2025年10月12日
- 読了時間: 8分
第15回:模擬授業の完璧な構築と実践
【教員採用試験の不合格を合格に変える!】(全20回連載)
# 第15回:模擬授業の完璧な構築と実践
## はじめに
教員採用試験の模擬授業は、多くの受験者が最も緊張する試験の一つです。
「子どもがいない中でどう授業するのか」「たった5分〜15分で何を見せればいいのか」という不安は深刻です。
まず重要なのは、模擬授業の性質を正しく理解することです。
模擬授業は、完結した授業を行うのではありません。
本来45分(小学校)、50分(中高)の授業の導入部分を、5分〜15分程度で演じるものです。
授業全体の中の「つかみ」の部分を切り取って見せる試験です。
この記事では、授業設計理論をもとに、評価される模擬授業の構築と実践方法を分かりやすく解説します。

## 模擬授業の性質を理解する
効果的な模擬授業を行うには、まずその性質を正確に把握する必要があります。
**導入部分の切り取り**
模擬授業は、多くの場合、45分・50分の授業の導入部分です。
授業の「つかみ」から、本時のめあてや課題を提示するまでが中心になります。
**完結させる必要はない**
5分〜15分で問題を解決したり、結論を出したりする必要はありません。
「この後、子どもたちはどう学んでいくか」という展開への期待感を持たせることが重要です。
**教師としての基礎力を見る試験**
面接官は、授業の完成度よりも、教師としての基礎的な力を見ています。
声の大きさ、話し方、子どもへの問いかけ方、板書、表情などが評価されます。
## 模擬授業で評価されるポイント
面接官は、模擬授業で何を見ているのでしょうか。
**声の大きさと明瞭さ**
教室の後ろまで届く、はっきりとした声で話せるかが基本です。
緊張すると声が小さくなるので、意識的に大きめの声を出します。
**表情の豊かさ**
笑顔で、子どもたちに語りかけるような温かい表情が大切です。
硬い表情では、子どもは安心して学べません。
**子どもへの問いかけ方**
適切な発問ができるか、子ども役の反応を受け止められるかが評価されます。
一方的に話すのではなく、双方向のやりとりを意識します。
**板書の構造と見やすさ**
板書が整理されているか、字は読みやすいか、チョークの色使いは適切かが見られます。
**授業の構成**
導入として適切な流れになっているか、本時のめあてが明確かが評価されます。
**時間管理**
指定された時間内で上手く見せることも重要です。
時間感覚がなさすぎると、大きな減点になります。
## 模擬授業の基本構成
導入部分の模擬授業は、以下のような構成が基本です。
**1. 導入・つかみ(1〜3分)**
子どもの興味を引き、授業への期待感を持たせる部分です。
導入の方法:
- 身近な話題や経験から入る
- 実物や写真を見せる
- 簡単な問いかけから始める
- 前時の復習から入る
**2. めあて・課題の提示(1〜2分)**
本時で何を学ぶのかを明確に示します。
めあての示し方:
- 分かりやすい言葉で板書する
- 子どもたちと一緒に確認する
- なぜこれを学ぶのか、簡単に動機づける
**3. 展開への橋渡し(1〜3分)**
本時の中心課題や活動への期待感を持たせて終わります。
橋渡しの方法:
- 「では、この問題を考えてみましょう」
- 「これからグループで話し合ってもらいます」
**時間配分の例(10分の場合)**
- 導入・つかみ:4分
- めあての提示:3分
- 展開への橋渡し:3分
## テーマの選び方
模擬授業のテーマは、当日に発表される場合と、事前に準備できる場合があります。
**準備可能な場合**
小学校であれば、国語、算数、理科、社会の主要教科の、各学年の基本的な単元を複数準備します。
中高であれば、専門教科の基本的な単元を準備します。
準備のポイント:
- 教科書の目次を見て、代表的な単元を選ぶ
- 導入がしやすい単元を優先する
- 実物や教材が使える単元だと印象に残る
**当日発表の場合**
学習指導要領の内容を理解していれば、当日でも対応できます。
基本的な授業の型を身につけておくことが重要です。
## 指導案の準備
模擬授業には、簡単な指導案を準備する必要がある場合があります。
**指導案の基本項目**
- 単元名
- 本時の目標
- 本時の展開(時間、学習活動、指導上の留意点)
- 評価の観点
- 板書計画
**指導案作成のポイント**
指導案は詳しく書きすぎず、要点を押さえて簡潔にまとめます。
面接官は指導案の完成度よりも、実際の授業を重視します。
## 効果的な導入の作り方
導入は模擬授業の最も重要な部分です。
**子どもの興味を引く**
「これ、知ってる?」「不思議だと思わない?」という問いかけで、子どもの好奇心を刺激します。
良い導入例(算数・分数の導入):
「先生、昨日ピザを食べたんだけど、友達と半分ずつ分けて食べたんだ。半分って、どう表すか知ってる? そう、1/2だね。でも、3人で分けたらどうなるかな? 今日はそれを勉強します。」
**身近な例から入る**
子どもたちの生活に関連する話題から入ると、学習への動機づけになります。
良い導入例(理科・天気の変化):
「今日、学校に来る時、空を見ましたか? どんな天気でしたか? そうですね、晴れていましたね。天気は毎日変わります。なぜ天気は変わるのでしょう。今日はその仕組みを学びます。」
**前時とのつながり**
前回の学習を簡単に振り返ってから、本時の学習につなげる方法も効果的です。
## 発問の工夫
模擬授業での発問は、授業の質を左右します。
**開かれた発問を意識する**
「はい」「いいえ」だけで答えられる発問ではなく、子どもが考える発問を工夫します。
悪い例:「これは三角形ですか?」
良い例:「この形の特徴は何でしょう?」
**段階的な発問**
簡単な発問から始めて、徐々に思考を深める発問へと進みます。
段階的発問の例:
1. 「何が見えますか?」(観察)
2. 「どう違いますか?」(比較)
3. 「なぜそうなると思いますか?」(推論)
**子ども役への対応**
面接官が子ども役として反応することがあります。
その反応を拾って、授業を進めることが大切です。
対応例:
子ども役「分かりません」
→「そうだよね、難しいよね。じゃあ、ヒントを出すね。」
子ども役が答える
→「いい意見ですね! みんな、今の○○さんの考え、どう思う?」
## 板書の基本
板書は、模擬授業で最も目に見える評価ポイントです。
**基本的な配置**
- 中央上部:本時のめあて
- 左側:導入の内容や資料
- 右側:展開への橋渡し内容
**見やすさの工夫**
- 字は大きく、丁寧に書く
- 重要な言葉は色チョークで強調(使いすぎない)
- 適度な行間を空ける
- 図や絵を活用する
**板書の練習**
模擬授業の練習では、必ず実際に板書します。
ホワイトボードでも構いません。
チョークやマーカーの持ち方、書くスピード、字の大きさなど、練習でしか身につきません。
## 準備と練習の方法
模擬授業の完成度は、練習量に比例します。
**一人での練習**
声に出して、実際に授業をする練習を繰り返します。
最低でも10回以上は練習しましょう。
練習のポイント:
- 本番と同じ時間設定で行う
- 録画して自分の様子を確認する
- 板書も実際に書く
- 表情や声の大きさを意識する
**優れた指導者からのフィードバック**
可能であれば、優れた指導者に、授業を見てもらい、助言をもらいます。
専門的な視点からの指摘が、大きな改善につながります。
**複数パターンの準備**
一つの授業だけでなく、複数の単元で模擬授業を準備します。
どんなテーマが出ても対応できるようにします。
## 当日の注意点
模擬授業当日の心構えも重要です。
**教材の準備**
教材の持ち込みOKの自治体では(例えば、神奈川県)、実物、写真、カードなど、使える教材があれば持参します。
ただし、現場での準備に時間がかかりすぎるものは避けます。
**服装と身だしなみ**
動きやすく、清潔感のある服装で臨みます。
チョークの粉がつくことも考慮します。
**笑顔を忘れない**
緊張していても、笑顔を意識します。
子どもたちに向き合う教師として、温かい表情が大切です。
**失敗を恐れない**
完璧な授業をする必要はありません。
多少失敗しても、落ち着いて続けることが大切です。
## よくある失敗とその対策
模擬授業での典型的な失敗を知っておきましょう。
**失敗1:教師が一方的に話す**
子どもへの問いかけを忘れず、双方向の授業を心がけます。
**失敗2:声が小さい**
緊張すると声が小さくなります。意識的に大きな声を出します。
**失敗3:めあてが不明確**
何を学ぶのかを明確に示すことを忘れないようにします。
**失敗4:板書が汚い**
丁寧に、大きく書くことを意識します。
## まとめ
模擬授業の完璧な構築と実践には、導入部分の性質の理解、、効果的な発問、見やすい板書、そして十分な練習という4つの要素が重要です。
模擬授業は45分・50分の授業の導入部分であり、完結させる必要はありません。
子どもの興味を引き、学習への期待感を持たせることが目標です。
重要なのは、完璧な授業をすることではなく、教師としての基礎的な力と、子どもへの温かいまなざしを示すことです。
笑顔で、分かりやすく、丁寧に、子どもたちに語りかける姿勢が、何よりも評価されます。
次回は、実技試験における差別化戦略について解説します。
音楽、体育、美術などの実技試験で、他の受験者と差をつける方法を学んでいきましょう。
河野正夫



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