第14回:想定される「場面指導」質問とその乗り越え方②(教職員間・家庭との対応)『養護教諭のための無料講座』
- 河野正夫
- 2025年6月20日
- 読了時間: 4分
『養護教諭のための無料講座』【全20回連載】
第14回:想定される「場面指導」質問とその乗り越え方②(教職員間・家庭との対応)
苦情対応・連絡調整・情報共有を問う場面
対応の正当性と協調性を両立する表現
はじめに
対人調整のスキルが問われる「場面指導」
教員採用試験の面接において、近年重視されているのが「場面指導」への対応力です。
なかでも、保健室という空間を超えて、教職員間や家庭との連絡・調整を求められる場面は、養護教諭としての力量を測る重要な機会と見なされています。
専門性に基づいた判断と、対人関係の調整力をいかに両立できるか。そのバランス感覚が、合否の分岐点となります。
本講では、苦情対応、連絡調整、情報共有という3つの典型場面を軸に、正当性のある判断を下しながら、協調性ある語りをどのように構築すべきかを具体的に解説していきます。

苦情対応
感情の受容と論点の明確化
養護教諭への苦情は、保健室内の対応に限らず、給食時の声かけや、他教職員への連携の在り方に関するものまで多岐にわたります。
このような場面で重要なのは、「感情の受容」と「論点の明確化」です。
保護者や教職員が発する言葉の背後にある不安や怒りの感情を丁寧に受け止めながら、その上で何が課題であるかを冷静に捉える姿勢が求められます。
たとえば、「なぜうちの子だけ運動を制限されたのか」という苦情に対しては、「お子さんの体調と安全を最優先に考えた判断である」ことを伝えつつも、「保護者の気持ちに寄り添い、説明不足があったことは丁寧に謝罪する」など、両者の視点を踏まえた対応が求められます。
連絡調整
情報の正確性と配慮
連絡調整においては、「伝えるべきこと」と「伝えるべきでないこと」の判断が試されます。個人情報保護の観点を意識しつつ、教職員間での必要な情報共有は円滑に行わなければなりません。
とくに、アレルギーや持病、心理的な配慮が必要な児童生徒に関しては、担任や給食関係者、場合によっては外部機関との連携が必須です。
その際、連絡を怠ることで生じるリスクと、連絡の際の表現の丁寧さの両立がポイントとなります。
具体的には、「事実ベースで淡々と情報を伝える」一方で、「判断を押しつけず、受け手の視点を尊重した伝え方」を意識することが、信頼関係の維持につながります。
情報共有
信頼形成と合意形成の要
場面指導のなかでも特に難易度が高いのが、複数の教職員や家庭を含む情報共有の場です。
例えば、発達段階や心理面に配慮が必要な児童生徒の支援においては、支援会議での発言や日常的な共有メモの内容が、関係者の共通理解に直結します。
このとき重要なのは、「専門職としての視点」と「協働者としての姿勢」の両立です。
例えば、健康観察記録を共有する場合、「本人の希望や保護者の意向に配慮しながら、必要な情報だけを簡潔に共有する」など、プライバシーと実用性のバランスが問われます。
面接での語り方
「対立を乗り越える姿勢」を描く
面接での「場面指導」質問では、想定される対立場面に対して、受験者がどのような価値観と判断軸を持ち、どのように相手に働きかけるかが問われます。
正解は一つではありませんが、「相手の立場を理解しながら、自分の立場や判断も丁寧に説明する」ことが共通して求められます。
その際、「まず相手の意見に耳を傾けた」「全体の安全と個人の尊重を両立する方針を示した」「対応の意図を具体的に伝えた」など、過去の実践に基づいた語りがあると説得力が高まります。
実体験をもとに、感情面・論理面の両方から語れるよう準備しておきましょう。
おわりに
調整力と信頼構築の技術を磨く
養護教諭に求められる「連携・調整力」は、表面的な協調性ではなく、実質的な信頼形成の技術です。相手に安心感を与えつつ、必要な支援を適切に行うことです。
その両立を図る力こそが、専門職としての真価を問われる場面での鍵となります。面接においては、その力を物語的に、かつ構造的に語る準備が必要です。
次回は、第15回「養護教諭としてのキャリアビジョンの語り方」に進みます。
これまでの回で培った自己理解を、未来志向で言語化する技術を深めていきましょう。
河野正夫


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